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龍翔記  作者: GIN
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0518話 ガブリエルの考え

ヘリガエムトは俺が突き出した剣先を自らの拳で殴りつける形になり、いまも痛みに悶絶しながら壇上を転げ回っている。


「ハハハッ、ヘリガエムト君を倒すとは少しはやるようだが、この人数を相手に勝てるわけがないだろう!」


壇上にいる俺とテレーザに向かってくる信者たちを見てアスピアは高笑いを上げる。


信者たちの大半は素手のようだが中には武器を持っている者もいるようだ。


また鍬や鎌のような農具を持っているものもいる。


少なくともイムロット教がこの国で信仰されているのは事実なのだろう。


一番壇上に近かった信者が早速登ってこようとするのを俺は蹴りで押し返す。


だが、数が違いすぎ左右から次々と壇上へと登ろうとしている信者が全てを止めることはできなさそうだ。


「テレーザ、離れるなよ」


「はい!」


「さぁ、どうです、その者たちは信者ですが覆面を取れば一般の住民と変わりありません、あなたにそのもの達を傷つけることができますか?」


アスピアが勝ち誇ったように言う。


その間に一番早く壇上にあがった信者の一人が俺たちに襲いかかってくる。


襲い来る信者の体格は俺と変わらない。


「ははっ、いいですよ、2人とも捕らえてしまいなさい!」


アスピアの声が教会内に轟く。


そして続いて響いたのは俺たちに迫っていた信者が仰向けに倒れた音だ。


「……なっ!」


倒れた信者はピクリとも動かない。


俺は刀を振るって刃についた血を飛ばす。


驚きの声を上げたのはアスピアだ。


「キ、キサマ!、住民に手を出すとは!」


「何が住民だ……その前に信者だろう……敵として向かってくるなら俺は全力で排除するぞ」


刀の剣先を今にも壇上に迫ろうかという信者たちに向ける。


「敵として向かってくるなら……死ぬ気で来い」


俺はそう言って倒れていた信者を蹴り飛ばす。


壇上から落ちた信者の男の姿を見てたじろぐその他の信者たち。


「くっ……」


アスピアの言う通り、覆面の下は普通に住民なのだろう。


日々、仕事をしながら暮らし、子を育てている普通の住民。


そしてイムロット教を信仰している普通の住民。


なのだろう。


そしてアスピアは住民たちを救う動きをしていた俺たちが手を出せないと考えたらしい。


だが、俺たちは冒険者。


襲いくる敵に無抵抗でやられるはずがない。


住民だろうと襲いかかってくるなら敵。


答えはシンプルなのだ。


「どうした、アテが外れたのか?」


覆面の信者たちは俺が刀を構えているのを見て、壇上に上がってこようとはしない。


反撃されるのは予想外というのは信者たちも同じだったのだろう。


「ふん、信者たちに攻撃できるからといって勝ったつもりか……こっちにも戦えるやつはいるんだ」


そう言ってアスピア壇上の端に目をやる。


「おい、出番だぞガブリエル!、神に仕える天使の力を見せてやれ!」


「……」


アスピアの口から出たガブリエルという名前。


その視線の先、壇上の端に……ガブリエルの姿はなかった。


そこにガブリエルがいたことは俺も見ていた。


テレーザを救うために壇上へと向かった際に見ていた。


「いないようだな」


「くっ……どこにいったんだ!」


「少し前までは端にいたのですが……」


全ての能力を取り戻していないとはいえ熾天使セラフィムであるガブリエル。


その能力は侮っていいはずがない。


「ねぇ、リュウ……」


テレーザが小さい声で話しかけてくる。


俺は目線をアスピアたちから動かさずに小さく頷いて聞いているという合図を送る。


「ガブリエルなんだけどきっと私達を裏切ってはいないと思うの……」


俺は小さく頷く。


「……昨日も私が休めるように取り計らってくれたり、異端者と決定されるまで理不尽な扱いを受けないようにしてくれていたの……」


神への思いからそのようにしただけ、とも言えなくはないが、ここはテレーザの言う通り、ガブリエルが裏切っていないと俺も信じたい。


「……そうだな、俺もそう思う」


「……待たせたな」


ざわつき始めた信者たちの視界にガブリエルの姿が写ったようだ。


壇上の端……袖になって見えなかった部分からガブリエルは現れた。


「どこに行っていた!」


「ああ、すまない……ちょっと確認したいことがってな」


「まぁいい……おい、異端者が暴れているんだ、取り押さえろ」


「異端者?」


「ああ、そこの二人だ、女の方は異端者に認定されているし、男の方はヘリガエムト君とそこに倒れている信者を傷つけた」


「なるほど」


そう言ってガブリエルは俺たちに向き直す。


「……」


「……」


「パーシルの森に行っているはずだが、随分早い戻りだったみたいだな」


「ああ、空を翔けてきたからな」


「空を……ああ、ミカエルの……」


ガブリエルが少し笑ったような気がした。


「……テレーザが世話になったみたいだな」


「ああ……当然のことをしたまでだ」


「ありがとう、ガブリエル」


「いや、いい……自分がすべきことをしただけだ」


「おいガブリエル!、喋ってないで早く取り押さえろ!」


「……どうしてだ?」


アスピアに向かって両手を軽く広げると、何を言っているのか分からないといった様子で言葉を返すガブリエル。


「まさか神の意志に反抗する気か」


「神の……いや、神の意志には反しない」


そう言ってガブリエルは一瞬で俺たちの横に移動してきていた。


「最初から神の意志に従って動いているんだからな……反抗も何もない」


「なに!」


「全てはテレーザを守るための行動だ……」


「街中で私たちに投降したのは……?」


「ガイルもミノスもいたし、全員を倒し切るのも可能かとは思ったが万が一、住民を人質にでも取られたら動きが取りにくいと思ってな……」


「投稿したフリをしていたということか」


「当然だ、投降するフリしたほうがテレーザの側にいられると考えたんだ……絶対に傷つけさせないようにしていたつもりだったが」


テレーザの赤くなった頬を優しく触るガブリエル。


「すまない……全ては防ぎきれなかったようだ」


「いいえ、ガブリエルが私を守ってくれているのは感じていました」


「そう言ってもらえると助かる……」


そう言うとガブリエルは俺に向き直す。


「リュウ……今言ったことに嘘がないことは熾天使セラフィムの誇りにかけて誓おう……だが、リュウが私を許さないというなら……その意志に従うまでだ」


「許すも許さないもない、ガブリエルは自分の役目を果たしただけだろう……テレーザを守ってくれたありがとう」


「……ああ!」


ガブリエルは徒手空拳の構えを取る。


「ここを突破するのかリュウ?」


「そうだな……だが、簡単には通してくれなさそうだ」


出口に繋がっている俺が入ってきた扉……が、あった場所がこの教会の出口だ。


だが、その前には行く手を遮るように覆面の信者たちが立っている。


壇上に上がるのは躊躇ってはいたが、出口を防ぐ役目からは逃げ出さないようだ。


「どうする……全員、ブチのめすのか?」


「いや……流石に数が多い……」


「じゃぁ……」


「大丈夫だ……アイツのことだからもうすぐじゃないか」


俺の言葉が合図になったわけではないだろうが、教会にいる覆面の信者たちの一部がバタバタと倒れていったのだった。

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