64 剣術決闘が終わって……
剣術決闘は当然ながら中止。異界からよくわからないものを呼び出した後始末に学園は追われていた。
Cクラスはカロゥを除いた全生徒に対して今回の召喚についての反省文を書かせることになった。けれども書かれた反省文の内容は、召喚にあたって魔力効率が悪いだの、魔術公理系で再現出来ないだの、意味の違う反省を小論文にして提出した。Cクラス担任のブールズは頭を抱えているらしい。
ちなみに、Cクラスの凶行を止める際に、妨害したモルゼオは1週間の自宅謹慎を言い渡されている。残念でもないし当然。むしろ謹慎で済むのか……。
研究日、休養日を挟んで週明けの授業。
「意思があるかのように動いているからと言って、それが生物であるとは限らない……。生物とは何であるか……?この点はいまだに論争につきない……」
ルーカスは先日の剣術決闘でのよくわからないものを題材に珍しく生物学の内容の講義を行っていた。
ただ、真面目にノートをとるものは少ない。その中にまた珍しくもゲイルが含まれていた。
「…………………………………………」
週が明けてもなおまだ燃え尽きている様子。死んだ魚のような目を浮かべている。ミリーに感情のこもった「大嫌い」を言われて相当のショックだったようで、まだ立ち直れていない。
発言者であるミリーは騒動の時とは打って変わって、いつもの無表情に戻り、素知らぬ顔で授業を受けていた。
ただ、クラスメイトの誰もが「機嫌悪そうだな」と感じていた。
「では次回……。神が生物の範疇に入るのかどうか……。私の持論を述べることとしよう……」
ルーカスの授業が終わり、彼が教室から立ち去ると、ミリーが立ち上がる。
ハッと我にかえってゲイルが呼び止めた。
「ミリー!」
けれどもミリーは耳を傾けることなく、そのまま教室を出ていってしまう。
無視されたショックで膝を地につくゲイル。その姿に誰もが憐れと感じていた。
「ゲイル君?」
よく知る声に顔をあげる。
「相談乗るよ?」
ネルカの優しい申し出にゲイルは涙しながら心のうちを語った。
「義妹がお兄ちゃんって呼んでくれないんですけどおっ!」
その心からの叫びは廊下を突き抜け、歩いていたミリーの耳にも入っていた。
「……ゲイル様のバカ…………」




