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最強の相棒はスライム  作者: ニコラス
33/55

第33話 使い心地

ちょっと忙しくて、1日1話のペースが崩れそう……


今、スヴェンと向き合い、武器を構えている。

スヴェンの手には短剣が二本、握られている。

これは昨日、グスタフの大剣を作ったあとに、みんなに作った武器の一つだ。

以前の模擬戦で、スヴェンが短剣を二本使っていたので、新しい武器も二本作った。

どちらも風属性の魔法を付与している。


「どうだ?握った感じは。」

「う、うん……軽くて……振りやすい……」


スヴェンは軽く振ったり、回したりしている。

準備運動が終わったのか、前回とは違う構えをする。

右手の短剣は逆手に持ち、前に出すと、左手の短剣は順手に持ち、顔の横にある。

どんな意図があるのか、読めなかったが、前回と雰囲気が違うのは確かだ。

一方オレは、スヴェンに合わせて短剣にしたいところだが、あまり上手くないので、前回同様に素手だ。


「準備は大丈夫かな?」

「うん……行く……シュッ!!」


スヴェンがオレに向かって、一直線に走る。

速度は前回と変わらない。

オレの目の前まで来た。

が、ここからが違った。

左右に的を絞らせないように動き、低い姿勢で接近し、直前でジャンプ、オレの頭を飛び越え、真後ろからオレに向かって、真っ直ぐ飛んできた。


「『大蛇の大顎(スネークバイト)』!!」

「なにっ?!!」


オレに向かって飛んできたあと、左右の短剣を、クロスさせるように振る。

まるで生き物の顎のように。

オレは、一瞬喰われそうになったが、直線上の攻撃なので、半身になってかわす。

かわされたスヴェンは、着地時に一回転がり、身体がこちらに向くようにした。


「大技会得したな!」

「最近覚えた……当たると思ったのに……」


悔しそうな表情のスヴェン。

武器が軽いからか、一撃のキレが上がっているようだ。

レベルも上がっているのかもしれない。


最初と同じ構えをとり、オレの右側に回りながら、スヴェンが接近、逆手に持ってる短剣で、喉元を狙って斬り込んでくる。

ボクサーが放つ高速のジャブのように、連続で短剣を打ち込んでくる。

それも、直線的に飛んでくる通常のジャブとか違い、鞭のようにしなるように飛んでくる。


「これは、『蛇突』か!!」

「よくわかったね……この剣技は避けづらいでしょ……」


蛇のようにうねりながら放つ技『蛇突』。

ゲームでは剣技ではなく、武技の一つ、格闘の技だった。

スヴェンはそれを剣技として取り入れたようだ。

『蛇突』はフリッカージャブと呼ばれるボクシングの技で、必殺の技ではない。

しかし、鞭のように炸裂するそれは、命中した箇所を腫らす。

顔面に攻撃すれば、視界を奪うことも可能だ。

スヴェンの『蛇突』は短剣を使うことで、高速かつ不規則に切り刻む、必殺の技と言っても過言ではない。

オレは、予測できない動きに、戸惑いながらも対処するが、服の一部を裂かれてしまった。


「当たった!!」

「ちょっと余裕見せすぎたな。もうちょい真面目にやるか!」


スヴェンが喜びのあまり、攻撃の手を止めてしまう。

オレは、その隙を逃さずにスヴェンの視界から消える。

スヴェンはオレを探して、キョロキョロしているが見つけられない。


「スヴェン!後ろよ!あなたにピッタリくっついてるわ!」

「っ?!」


フィリーネの助言に振り向くが、オレを視界に捉えられないようだ。

何度もフィリーネ達が叫び、それに応えスヴェンが振り向くが、見つけられない。

戸惑いの色が隠せないスヴェン。

実はこのとき、オレはあるスキルを使っていた。

スヴェンのジョブ構成を考え、さらに上位のジョブを使い、相手をしようと考えたオレは、忍者のジョブを設定していた。

忍者は相手の五感を騙す技や、潜入、暗殺術に長けている。

このとき使ったスキルというのが、『忍法・影張り』。

端から見れば、ただ相手の背中に張り付いているようにしか見えない。

しかしこのスキル、気配を極限まで減らして張りつくために、一対一だと気づきにくい。

そして、このスキルが決まった場合、自分の勝ちがほぼ決まったようなもんだ。

何故なら、普通気配を殺し背後に張りつくような場合、すぐに喉元を切り裂かれ、敗北が決まったようなものだろう。

オレも、スヴェンの喉を後から掴んだ。


「うぐっ?!」

「はいっ、オレの勝ちねぇ!」

「くそっ……」


オレは、喉を離してやり、評価を言う。


「前回と大分違うな!まさか『大蛇の大顎(スネークバイト)』と『蛇突』を短剣で使ってくるとは思わなかったぞ!特に『蛇突』は避けづらいからなぁ。そのあとに続く攻撃パターンがいくつかあるといいな。」

「わかった……ところで、短剣の魔法使ってない……」

「そういえば忘れてたな!もう一回やるか?」


スヴェンは心底嫌そうな顔をした。

疲れている様子だし仕方がないか。


「じゃあ魔法の方は後で聞かせて!といっても『敏捷強化(アジリティブースト)』が入ってるだけだから、慣れればすぐ使えると思うけど。」

「がんばる……」


オレが渡した、二本の短剣にはどちらも『敏捷強化(アジリティブースト)』が付与されている。

スピード重視のスヴェンが更に速くなれば強いはず。

当たらなければどうということはない。

ただ、火力不足を心配してたが、新たな剣技を覚えたようで、良かった。

次はニーナの出番だな。


「スヴェンお疲れ!次は私ね!」

「ニーナがんばれぇ!ゲストをボコボコにしちゃえー!!」


フィリーネの応援が怖い!

ニーナも気合い充分で、渡した槍を振り回している。

空を切る音が、前より鋭い聞こえる。

槍が扱いやすいのか、訓練の成果か。


「さぁおいで、ニーナ!可愛がってやろう!!」

「完全に舐めてるわね……絶対一発入れてやるんだから!」


スヴェンとの模擬戦で、みんなが少しレベルアップしてるのがわかったため、油断はしない。

つまり、もう当てさせない。

オレもジョブを替え、武器を槍にする。

それも竹槍だ。

竹の先を斜めに鋭角に切っただけの棒だ。

ニーナの表情が真剣になる。

怒りも頂点に達しているのだろうか。

槍を握る手に力が入ってるのがわかる。


「ニーナ?落ち着かないと、ゲストには当たらないわよ!」

「……」


ニーナの耳には届いていないようだ。


「本気で殺ってやるぅー!!!」

「来いやぁー!」


ニーナが雄叫びをあげ、最短距離を突っ込んでくるのだった。

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