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春であったかくなってきたからって、頭の中まで春になるとか思わないじゃないですか。
まだ唇に痺れるような感覚がある気がして、どうにも布団から動けない。
時計を見ればまだ4時を少し過ぎたくらい。
朝ですらないから、もう一度寝たいけど眠ってしまう勇気が出ない。
思わずハルにメッセージ打ったけれど、まぁ寝てるだろうし返事なんか来ない。
悶々としてしまうのは欲求不満だからなのか、と思えるほど不確かでもない。
眠るたび、夢での感覚がどんどん鋭くなっていっているのがわかる。
しかも、起こったことが…嫌ではない。何なら嬉しい嬉しい嬉しい!と心臓が跳ねている。
あんな風にむさぼるようなキス、したことない。
全部きれいに食べ尽くされて失われていく感覚に、唇や舌だけじゃなく全身が喜びで震えた。
うーん、これも浮気と呼べるものなんだろうか。
誰に相談しても頭の心配される未来しか想像できない。
温かいものでも飲もうとキッチンでお湯を沸かしたものの、
紅茶はなんとなく手に取れずインスタントコーヒーにしてリビングで寛ぐことにした。
録画していた映画を見終わる頃には、両親も起きてきてTVニュースにチャンネルが変わり、
しぶしぶ部屋に戻ると枕の横に置きっぱなしにしていたスマホが光っている。
『バレンタインだったと記憶しておりますが、いかがいたしましたでしょうか』
と、やたら丁寧な返事が届いていた。
うん、よしよし。それでこそ私の彼氏だ。
人が動揺してると落ち着くのは何でだろう。
『私たち、最後にキスしたのいつだっけ?』
律儀に朝イチ寝起きで返事をくれる彼が愛しくてよかった。
私は、ハルが好きだ。




