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いつも君がいた  作者: 遙香
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017:新学期

やっと学校が始まりますー。ここまで長かったですね(汗)このままのペースで行くと高校三年生の一年間が終わるまで一体どんな長さになるのか・・・。

ここからちょいとペースを上げて行きます(予定)

 ・・・・結局、あまり眠れなかった・・・。

 浅い眠りで、眠ったり起きたりを繰り返しながら朝を迎えた零はいつもよりすっきりしない寝起きを迎えていた。今日から新学期、寮生たち以外の、たくさんのクラスメイトや同級生に会う日。授業も始まり、高校三年生としての一年が始まる。そう思いながら、まだ届けられたばかりの制服に袖を通し、鏡の前に立つと少し緊張する。

 ・・・この制服、ちょっとスカート短いんじゃ・・・?

胸元にセンスのいい校章のワッペンがついたワイン色のブレザーに白いブラウス、ブレザーと同じ色の細いタイ、ワイン色を基調としたチェックのスカートはひざ上15センチほどの長さしかない。

 これって、絶対短いよね?でも、これが標準ってこと・・・?

昨日受け取ったばかりの制服が最初から改造されている、とも思えないが、標準でこの長さだとするとかなり短い、と零は思う。

 これしかないし、仕方ないか。

零は真新しい制服に身を包み、いつもより少し念入りに髪を整える。もともとストレートだが猫毛のため油断するとはねるので後ろまで念入りに櫛を通していると、ドアをノックする音が響いた。

「零ちゃん、朝食の時間だよ、」

穏やかなかおるの声に安心してドア開けると、そこには駿の姿もあった。

「おはよう、かおる君、久遠君、」

「おはよう、零ちゃん。制服とっても良く似合ってるよ。可愛すぎて抱きしめたいくらい。」

「あ、ありがとう、」

いつものことながら、サラっと殺人的なセリフを口にするかおるに零は頬を染める。イタリア人だと思えば納得できるが、それでもやはり気恥ずかしい。3人で連れ立って食堂へ向かう途中、階段の踊り場でウロウロしている健に零は声をかけた。

「健君、おはよう!」

零の声が階段に響くと健は顔を上げ、おはよう、と笑顔になった。

「おはよう、健。朝から待ち伏せなんていい趣味だね?」

「ま、待ち伏せなんかしてねーよ!朝からいちいちつっかかってくるんじゃねーよ、」

「そう?気のせいならいいんだけど、どう見ても誰かを待ってるように見えたから、」

それじゃ、と何事もなかったように健の脇をすり抜けていくかおると、言葉に詰まる健。いつもかおるにいいようにあしらわれる健を可哀想に思いながらも零はかおるに続いて階段をおりようとしたが、数段下りたところでかおるは足を止め、後ろにいる零に手を差し出した。

「階段は危ないから、つかまって?」

「・・・は、はい・・・」

かおるの身のこなしはまるで貴族のようで隙がなく、穏やかなその言葉にはなぜか抗えない強さがある。穏やかな口調で、穏やかに微笑んでいるのにどうして従ってしまうのだろう。

 零が差し出されたかおるの手に手を添えると、かおるは軽く握り返してゆっくりと階段を下りる。エスコート、と言う言葉がぴったりと当てはまるその行為に、いつもなら文句を言う健も黙ってその後に続いた。


 始業式、と言う事もあり、食堂に着いた時にはすでに食事を済ませている生徒もおり、今までとは違う慌ただしさに満ちている。食事をしている生徒の中に伊織の姿を見つけた零は思わずかおるの影に隠れた。

「零ちゃん、大丈夫だよ。今日は昨日みたいにはさせないからね、」

かおるは小声で零にそう言い、開いている4人掛けのテーブルに零を座らせると、ここで待ってて、と健を伴って食事を取りにカウンターへ向かった。

「久遠君は行かないの、」

零の隣に座って面白くなさそうな顔をしている駿に、零は恐る恐る声をかける。いつも不機嫌そうで、どう声をかけていいのか、まだよくわからない。

 そう言えば、昨日の夜も怒らせたんだった・・・。

『人騒がせも程々にしろ、』と怒鳴られた事を思い出し、零は俯く。隣の部屋だと言うだけで何かと迷惑をかけている事実は否めない。

「あ・・・あの・・・昨日はごめんなさい・・・迷惑、かけて・・・」

謝りかけて駿の怒りを含んだような呆れたような瞳とぶつかった零は思わず目をそらせてしまう。

「迷惑だと思うなら、隙を作るな。」

「ご、ごめんなさい、」

 やっぱ、怖い・・・・。

零はまっすぐに駿の顔を見れず、早くかおるたちが戻ってきてくれないかとカウンターの方へ目を泳がせた瞬間、フワリ、と強いムスクの香りに包まれた。

「・・・キャッ!」

「おい、離れろ。」

背後から抱きしめられて零が悲鳴を上げるのと同時に、駿が鋭い声をあげて立ち上がる。

「どうして?俺が自分の女を抱いて何か問題でも?」

「離れろ、と言ってるんだ、」

椅子ごと体を抱きしめられ、身動きのとれなくなった零の耳元に鼻をすりよせて、伊織はいい匂い、と囁く。伊織の身体からは強いムスクとフワリとかおるグレープフルーツのような柑橘系の香りがする。激しい行動をとる彼らしい香りだ、と零はそんなどうでもいい事をぼんやりと考えてしまうほど動揺していた。

「伊織、それ以上続けると僕も容赦しない、」

戻ってきたかおるは食卓の上のお盆を置き、零を抱きしめている伊織の肩に手を置く。穏やかなその口調とは裏腹に、冷たく鋭い瞳が周囲の空気を凍らせた。

「・・・フン、ナイト様が出て来たんじゃしょーがねーよなぁ?お姫様?・・・また、後でな、」

伊織はゆっくりと零から離れ、そのまま食堂を後にする。伊織の後ろ姿に目をやり、かおるは小さくため息をついた。

「伊織は、すごく零ちゃんの事が好きみたいだね、・・・大丈夫だった?」

「だ、大丈夫、だと、思う、」

まだ鼻に残るムスクの香り。炎のような伊織、湖のようなかおる、夜の闇のような駿、明るい太陽のような健、4人の寮生とこれから始まる一年間を、零は苦しいような胸の痛みを抱えながらぼんやりと思い描いていた。

あぁいいなぁナイト様☆私にもそんな人いないかしら・・・。

誰か守っておくれ・・・。と思いつつ、ちっちゃくてかわいい零は私の理想の女子でもあります。可愛いのに自信なしというあたりに萌(笑)あんな子なら私でも守りたくなるなぁきっと。誰か絵のうまい人絵を描いてくれないかな(笑)。

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