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スキルが全ての異世界で俺は何度でも蘇る  作者: P.P.
一章 召喚された勇者の記憶

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010 強くなっていく仲間


 記憶を失ってから始まった魔王討伐の旅。


 あれから二か月が経った今でも、俺のレベルは未だに1だった。いくらモンスターを倒しても変化しないレベルに、最近は苛立ちを隠せないでいる。


「菜音っ、魔法を!!」

「分かってる!! 【炎槍(フレイムランス)】」

「範囲治癒スキル使います! 【キュア】!!」

「あたいも突撃するっす!!」


 今俺たちが戦っている魔物はラビットドラゴン。体長が約二十メートル前後のドラゴンだ。


 特徴としては異世界を彷彿とさせるドラゴンに、うさぎの耳とモフさが追加された感じだ。


 可愛らしい見た目、とも言えないが別に怖くもない見た目だ。だが、通常のドラゴンよりも極めて凶暴であり、目に入った生き物を直ぐ襲う習性がある。


 まあ、そんな危なっかしいドラゴン相手でも皆余裕を持てて戦えている。


 いつの間にか俺以外の勇者はレベル70以上まで上がり、俺と小林以外は全員スキルを解放している。小林は未だスキルの解放条件さえも分かっていないが、レベルが上がり基礎能力が上がっているため、あのような魔物相手でも普通にやり合っている。


 ほら、小林が双剣でラビットドラゴンの耳をぶった切って止めを刺した。


「今日の美玖奈は大活躍だったね」

「美玖奈ちゃん、風みたいに早く走ってて凄かったよ!」

「杏子の治癒スキルも助かった」

「ふふんっ! あたいは今日のMVPっす!!」

 

 この通り、この二ヶ月で皆はどんどん強くなった。


 だが俺はどうだろうか。記憶を無くし、レベルも上がらず、未だスキルの解放条件だって分かっていない。そう考えると、自分が惨めになってくる。


 それに最近は魔王城へと急いで旅を進めている。これは町で聞いた噂なのだが、近々魔王が国家レトロを本格的に侵攻しようとしているらしい。


 勇者たちもレベルが上がり、強くなってきた。そろそろ俺たちも魔王との決戦の日が近いだろう。


 それに最近になって、いくつかスキルについて分かった事がある。後藤のスキルについてだ。

 

 後藤のスキルは、自分の想像した事を現実に出来るという超ぶっ壊れスキル。だがこのスキルは強すぎるがあまり、限度があった。


 自分が最強だと想像すれば、三分だけ最強の力を手に入れれる。時を止めたいと想像すれば、三分だけ時を止めれる。戦い方を上げたらキリがない。想像すればどんな戦い方でも出来る最強スキル。


 だが、回数制限とスキル発動時間があるのだ。


 回数制限は一日に三回、それ以上使おうとすると一週間スキルが使えなくなってしまう。


 スキル発動時間は三分間だけ。まあ三分だけでも十分強いが・・・・・


 だから然程問題がないように見えるが、後藤のスキルが使えないとうちの勇者パーティーは大分戦力が落ちてしまう。だからさっきみたいに、最近はアタッカーなどを小林や星川に任せ、後藤のスキルをなるべく温存させているのだ。


「はぁ・・・・・」


 ため息を吐き、俺は自分のステータスを見る。



 犬間 庄司 記憶喪失の呪い

 レベル 1

 スキル 屍蘇

 魔法 無し

 武器 鋼のメイス・鉄の盾

 装備 鋼のブレストレート 



 ここら辺で後藤の話は置いておいて。俺はというと、最近の役割は主に荷物運びとタンクだ。自慢の盾とメイスで皆を魔物の攻撃から守っている。まあ、強い魔物にはよく吹っ飛ばされるが。


 だが例えレベルが低くとも、質の良い盾や武器を使うので意外にも魔物たちの攻撃には耐えている。それに俺が弱くとも、皆は決して俺を除け者にしたりなどしない。荷物運びも俺が皆に負担を掛けないように自分からやっているだけだ。


「庄司くん、魔物の解体をお願いしますっ」

「ああ分かった。今行くよ」


 皆ともこの二ヵ月間で交流を深め、良好な関係を築けていると思う。前まで俺と話すときに気まずそうにしていた姫川も、今じゃ普通に話しかけてくれる。


 姫川曰く、最初は記憶喪失になった俺の事が怖かったらしい。まあ怖いと思っても仕方のない事だろう。今まで共にしてきた仲間たちとの関係が一瞬で記憶から消える。それすなわち、ただの他人になるってことだ。俺がいつ発情して女子たちを襲うかも分らん。そりゃ怖がったり、警戒だってしたりする。

 

 俺が姫川の立場だったら五メートルは距離を置いていただろう。


「庄司、今日のあなた、少し動きが遅れてたわよ」

「あ、ああ。すまん、ちょっと考え事をしていてな」

「戦闘中に他事は命取りになるっていつも言っているでしょ?」


 少し説教まがいに詰め寄ってくる星川。相変わらず、俺への接し方が少しキツイ。


 これでも最初と比べて態度は軟化した方だが・・・・・俺が記憶喪失になる前はもっと酷かったと後藤から聞いている。


「まあまあ菜音。庄司は魔物の解体作業もあるし、いつもの説教はここらへんで・・・・・」

「戦闘中の他事は命取りになるって伝えているだけ。晴馬は庄司に甘すぎる」


 星川を落ち着かせるべく、話に入ってきた後藤も星川の圧力に少しだけたじろぐ。


 前までは圧倒的カリスマ性で勇者パ-ティーを引っ張っていた後藤だが、最近では後藤に変わり冷静で真面目で怖い星川がこの勇者パーティーを引っ張っている。


 後藤は周りがあまり見えないし、気遣いが出来ないという致命的な短所がある。だから後藤の短所を補っている星川だからこそ今勇者パーティーを引っ張っていけているのだろう。


 そう考えると後藤と星川はお似合いだと思う。魔王討伐の旅が終わったら付き合ったりするのかなぁ。


 そんなどうでもいいことを思案しながらも、俺はラビットドラゴンの解体作業に取り掛かかった。



 

 ☆☆☆




 この世界の魔物は死ぬと灰になって散る。だが正しい手順を踏んで灰になる前に魔物を解体をすれば、灰にならずに素材として保存することが出来る。


 魔物の素材は魔物の位が上がっていく事にどんどんと値段も上がっていく。今日倒したラビットドラゴンは上級モンスターなので素材の価値も高価だろう。


 魔物の解体については記憶を失ってから二週間ぐらいが経過した時、俺たちと同じく冒険していたパーティーに教えてもらった。


 俺たちのパーティは皆、冒険者の人たちに魔物の解体について教えてもらったのだが、魔物の解体を出来たのは俺だけだった。昔から器用と言われていたが、まさかその器用さが魔物の解体で使われるとは昔の俺なら夢にも思わなかっただろう。


「ほんと、犬間っちってなんでも器用にこなしちゃうっすよねぇ~」


 横から顔をぴょこっと出し、前のめりに俺の作業を見ている小林はそう呟く。


「なんでもじゃないぞ。戦闘に関しちゃ三流もいいとこだ」

「あははっ、犬間っちは戦闘以外であたい達をサポートしてくれてるじゃないっすか」


 その優しさがジーンと心に響く。うーん、小林は本当にいい子だ。


「泣ける・・・・」

「あははっ、あたい犬間っち泣かせちゃったっす!」


 こんなふうに良好な関係を続けながら、俺たちは魔王城を目指して順調に旅を続けれていた。


・・・・・俺は闇落ち系大好きだぜぇ・・・・・(不穏)

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