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よろず屋フラン  作者: 天明ほのか
動き出す運命の歯車

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12/41

夢のおとぎ話

「おかあさ~ん。」

灰色の世界で幼い少女は母を呼ぶ。

「うふふ、こっちにおいで。」

誰だろうこの人たち。視界がぼやけて自分がどこにいるのか分からない。

「ねぇおかあさん、またあのおはなしきかせて?」

「いいわよ。昔々、神様と人々は一緒に暮らしていました。神様はみんなが病気になった時、お薬を出して病気を治しました。お日様の光が強いときは雨を降らせてくれました。そうして長い間平和な日が続いていました。でもある時とある人たちが悪いことをしてしまいました。」

「その人たちどんな悪いことしたの?」

「それはね...」

強い光に目が冴え起きると朝になっていた。あの後不可侵領域の探索をしたが特に成果は得られず帰って来たのだった。

それにしても夢にしては鮮明に記憶がある。ふと鏡を見ると自分が涙を流していることに気が付いた。何故?悲しいことがあったわけでもない。涙を拭い服を着替え食堂に行き朝食を済ませる。そうして部屋に戻り依頼の手紙を読んでいると伝書鳩が来た。私はその手紙の中身を確認する。差出人は王都騎士団団長マルクスから。内容は強い魔獣数体が村や町を襲ってる。その原因究明を頼むとのこと。

魔獣は魔法を使ってくるためその辺の獣を相手するより危険だが頻繁に出て来るような生物ではない。それも強い個体ならのさら。ならば人為的なものだと判断したのだろう。


支度をしシエルを連れフーリンの町の近くに転移する。一度来たことがあったので転移は使える。町がある方角を見ると煙が上がっている。急いで町に近づいてみると町は火の海になっておりどこからか騎士団の戦闘の音が鳴り響く。とりあえず爆音が聞こえる方に足を向ける。その先にいたのは団長マルクスだった。見たことのない魔獣は爆裂魔法を放ち、現役ではエルナート王国屈指の実力者の団長が苦戦を強いされて

「団長さん!!」

「もう駆けつけてくれたのか!?援護を頼む!!」

そういい刀に水の魔法を乗せ構える。先に動いたのは魔獣の方だった。爆裂魔法を受け吹き飛んだ団長に爪を立て斬りかかろうとする腕をナイフで切りつけ魔獣は距離を取った。にらみ合いの膠着状態で団長が斬りかかろうとした次の瞬間、魔獣は雄たけびを上げ森の方へ逃げて行った。そしてそれを追うように町のいたであろう魔獣が帰っていった。

「助かった~。」

そう言う団長は緊張の糸が切れたのか地面に倒れこんでしまった。


「それにしても来るのが早かったな?でも助かったよ。シエルちゃんも元気にしてたかい?」

「はい!」

「たまたま用事があってこの町に来てね。」

「つい一刻前に伝書鳩で依頼を出したんだが見れてないよな。今回のような魔獣が頻繁に森から出ては町を襲ってる。そこで森の中の調査をしてほしいんだ。頼めるか?」

「分かったわ。さっそくだけど何か情報はない?何か少しでもおかしな部分があれば言って?」

「そうだなぁ、家畜もいるのに人間しか襲ってこないというところかな。あれは空腹で暴れてるというより人間に恨みでもあるかのような感じだったが。」

「他には?」

「町を襲う強い魔獣は全部見たことのない姿と強い魔法を持っている、これくらいかな。」

「そう、じゃあ行ってくるわ。」

「もう行くのか、言わずもがな森では注意して進めよ。」

「ご忠告どうも。」

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