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第零話 天使にクレーム付けてみた

本編ブックマーク300件達成しました!


…が、完結間近のこのタイミングで

ほのぼのした話ってのも違う気がしたんで、


お蔵入り予定だった『第零話』をこっちに置いときます。


とりあえず閑話別館はこれにて完結です。

本編も最後まで、どうぞよろしくお願い致します♪

「…で?話を整理するとどうなるって?」


俺の前には白い装束を纏った男が

額に汗を滲ませて正座していた。


背中からは大きな翼を生やし、

頭上には光る輪を浮かせている。


絵画や絵本に出てくるような『天使』のそれだ。


「はいぃ…貴方は現在、

 魂が肉体を離れた状態となっています…。」


「言い換えると?」


「…お亡くなりになられました。」


俺が机をドンッ!と叩くと、

天使がビクッ!と身体を強張らせる。


「俺さぁ、ここに来る前まで

 至って健康体だったと思うんだけど?」


「はいぃ…そうですね…。

 そのように記録されております…。」


俺は天使をジロッと睨む。


「で、そんな俺の死因は何て記録されてるって?」


「はいぃ…誠に申し上げにくいのですが、

 『老衰』と、記録の上ではそうなっております、ハイ…。」


加齢による老化で、生命活動が維持出来なくなって

死に至るのが老衰だ。


心不全や心筋梗塞ならばそのような死因になるだろう。

それが老衰?

健康体だった俺が一夜にして老衰?


「ン な ワ ケ ね ェ よ な ぁ !!?」


「も、もも、申し訳御座いません!!こちらの手違いでして!!」


俺が語気を荒げると、天使は高速で土下座した。

頭上の輪が床に着く見事なドゲザだ。


「で、その上で俺がここに来た後の対応ってどうだった?」


「はいぃ…手続きの都合でお待ち頂いておりました…。」


天使は頭を伏せたまま、ブルブルと震えている。


「そうだよなァ…どんくらい待ったっけ?」


「はいぃ…その、七十時間ほど…。」


そう。ほぼ丸々三日である。


「遅 ェ ん だ よ!!」


「ひぃぃ!すみません!

 処理が立て込んでおりまして!!」


天使は床にめり込む勢いで頭を下げ続ける。


「で?手違いに気付いたなら

 生き返れるように処理して欲しいんだけど?」


「それが…重ね重ね申し上げにくいのですが、

 現世での器が無くなっておりまして…。」


「言い換えると?」


「…肉体が火葬済みの為、蘇生できません。」


そりゃ三日も経つもんね。


「フ ザ ッ け ん な ァ ァ ァ ア ア ア !!!!」


「ひぃぃぃぃ!!!

 申し訳ありません!!申し訳ありません!!!」


天使はガンガン!と音が立つ程、

額を床に何度もぶつけている。


俺は溜息をひとつついてから

目の前の天使を見下ろして問う。


「…それで?どういう対応なら可能なの?」


俺の言葉に顔を上げる天使。


「はい…その…

 元の世界にお戻しするのは難しいのですが…

 別の世界の他者の肉体へなら…転生が可能かと…。」


表情は変えず、だが俺は内心ガッツポーズを取る。

よっしゃあ!異世界転生キター!!


「それでいい。」と答えようとした俺だが、

せっかくなら良い条件にしてもらいたいもんだ。


「…オイオイ。

 まさかただ別人に転生して終わり、ってんじゃねーよなァ?」


俺の言葉に、額から汗をだらだら流す天使。


「…可能な限り、ご要望には沿いたいと存じます。」


おーよしよし。


「んじゃ、とりあえず"健康な身体"な。

 あ!つっても老人はNGだぞ?

 "若くて健康な身体"に転生させてくれ。


 それから無一文じゃやってけねーだろーから、

 "貴族とか王族みたいな身分ある奴"で。


 そんで出来れば"身近なところに可愛い幼女"も。


 あと"特殊な能力"とか持ってっと最高だな。」


俺の要望を焦り顔でメモする天使。

まぁ全部通るとは思ってねぇけど。


「…畏まりました。その条件で転生させて頂きます。」


うぉ!マジか!

要望全部クリアしたのか!?

なんという神対応!!


俺はその後、天使に促されて部屋を出た。


これから始まる異世界生活に、胸を高鳴らせながら…。

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