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08

「……ッ、」

(お…、終わった――――――――!! グッバイ俺の初恋……!)


 社交場では常に数多の女性を魅了してきた十七歳の貴公子とは思えないこの拙さよ。六歳からというより、もはや六歳児のような告白。

 しかも好きだと告げるどころか、プロポーズしているとは何事だ。本当に手紙から始めるつもりだったとは我ながら思えない。アグレッシブ過ぎる。

 否、確かに結婚したいくらいオリヴィアを好きな自覚くらいあるが、初めてのアプローチで求婚までする自分の恋心、重い。


(大体、六歳の頃から好きだったって、ちょっとこう…重過ぎだろ! せめて一つ上げて「十年前から」にすれば良かった…!)


 などと真剣に後悔するカインだが、思い初めた年齢を一つ上げて七歳にしたところで、一体何が変わるのか。片想い期間(現在進行形)を一年短くした程度では、結局「長い間ひたすら好きでした」という、決して短くはない年月を打ち明けているのと同じ事。重い。

 よりによって一世一代の告白をこんな幼稚な言葉で終わらせるとは。恥ずかしさやら情けなさでカインの顔は赤くなったり青くなったり白くなったり忙しい。


「…あ、あの、」

「! い、今のはなかった事にいいいぃぃぃ!!」


 オリヴィアが何かを言い掛けたのを遮ってカインは叫ぶ。

 王族であらせられるオリヴィアの言を遮るなんて失礼にもほどがあるが、カインはこの時、己の失敗にいっぱいいっぱいだったのだ。


「なかった事……」

「今のは我ながらあんまりなので! 後日に! また後日に改めてリベンジさせて下さいチャンスを下さい! 俺の事まだ振らないで下さい……!」


 必死で言い募るカインは必死なあまり、告白の時も含めさっきから一人称が「俺」になっている事に気付いていない。


「取り敢えず味噌汁で顔洗って出直して来ますうううぅぅぅ!!」


 カインは泣きたい気持ちで言い逃げすると、負け犬のようにその場を駆け出した。

 ドア付近でちっとも隠れていない出歯亀していた王達がぶつからないよう慌ててドアから距離を取る横を「うわあああぁぁぁ俺の馬鹿あああぁぁぁ」と横切るカインだが、そんな乙女チックな逃げ出し方をしているくせに、トーテムポールのように雁首揃えた野次馬連中の中にちゃっかり衛兵も混ざっていたのを見逃さなかった。オイ衛兵、仕事しろ。



 カインが羞恥のあまり猛スピードで廊下を逃げ去るのを見送った一同は、互いに顔を見合せながらも、衛兵以外はやれやれと執務室に入る。


「何だあの告白は。酷過ぎる。カインめ…あんな幼稚な告白をオリヴィアにするとは! 点数を付けるまでもない、マイナス百点で決まりだな」

「何て不肖の息子なんだ……。お父様はカインをあんな稚拙な口説き文句しか言えない男に育てた覚えは…覚えは…! うぅ、お父様は哀しい…」

「カイル殿、そう落ち込まずとも」

「そうですよ。兄上もちょっと厳し過ぎでは? マイナスは流石にないでしょう。僕は結構…、その……微笑ましくて良いのでは、と…………うん……」

「アレックス兄様、そんなに無理してカインをフォローしなくても…。したくなるのも判りますけれど」

「余が知っておるカインはもっとこう、社交でもそつがなく余裕のありそうな少年というイメージだったのだが…今度から見る目が変わりそうであるな」


 散々な言われようである。


「……カインは、」


 カインを扱き下ろす野次馬の中、不意にオリヴィアが彼の名を呟いた。

 途方に暮れたような声音は急な展開への戸惑いも含まれているが、カインの名を呟いたオリヴィアの眼は彼を案じる色が滲んでいる。


「オリヴィア姉上?」

「カインは、ここまで王家の馬車に乗って来たのでしょう? どうやって帰るつもりなのかと…」

「走って邸まで帰るのでは」

「走って!?」

「オリヴィア姉様はあまりカインと密接な親しさではなかったからご存知ないのですね。カインはあぁ見えて、中々体力がありますの。何故か走るのも嫌いじゃないみたいですわ。身体を動かしたくなったら取り敢えずボールを投げる遊びをするか邸の周りを走るそうなので。私にはわざわざ走る、その心理がよく判りませんけれど」


 前世の体育会系の血は、確実にカインをゲーム設定よりは脳筋にしていた。

 幼い頃は姉と瓜二つ故に並ぶと一対の人形のように愛くるしかったカインは、カサンドラ共々王都どころかウィギストリ一美し過ぎる双子と有名だったが、オリヴィアはカインの事を妹の婚約者として見ていたし、五つも歳が離れていた異性なのもあってあまり近しい付き合いをしていなかった。

 少女のように綺麗な男の子は、その美貌を男らしく成長させて甘さを湛えた美男子になったけれど、如何せん幼少のみぎりから線の細い少年という印象がオリヴィアの中では強い為、「走って帰る」という思いがけない肉体派な一面に虚を突かれる。

 オリヴィアは驚いたが、アレックスやイザベラがアッサリ告げる通り、カインは軟派な顔立ちとほっそりした体躯のせいで軟弱そうに見られがちだが、王城からアルベスト邸まで走って帰れるくらいには体力がある。

 誰もあまり知らないし本人もその姿をわざわざ見せないから天才肌と思われているが、カインは優雅に見えて水面下で必死に足をバタ付かせる白鳥のような努力の仕方をする男だ。

 その辺は公爵令息らしくそれなりにプライドが高いと言うか、己の努力を他人に悟られるのは恥だと思っている節がある。


「寧ろ、カインは今、無性に走りたい気分なんじゃないですか? だから馬車とか用意して追い掛ける必要はないと思いますよ、オリヴィア姉上」


 どうしてカインが今無性に走りたい気分になるのか。

 少し疑問だったが、アレックスはカインを「将来義弟になるから」というだけではなく、本当に年下の友人として親しく接しているしオリヴィアと違い男同士で付き合いも長い。だからカインの事はよく知っているのだろう。

 そう思ったオリヴィアは素直に弟の言葉に納得したものの、何でもスマートにこなし汗臭い印象とは無縁だった彼へのイメージが若干変わったのは確かだった。

 イザベラやカサンドラの隣でそつなく綺麗な微笑みを浮かべ、社交場でも優雅に女性達の秋波を受け流し、如何にも女好きする美貌から夜の方でも貴公子の中の貴公子と噂されているカイン。

 王女であるイザベラの婚約者として、実際は噂ほどふしだらではないが、元婚約者だったイザベラが許容出来る範囲で遊んでいるのは事実だろう。

 貴族の男子は初夜で妻を恙無くリードする必要がある為に、年頃になると父兄や先輩などが娼館へ連れて行き、手慣れた娼婦を宛がわれ筆おろしを受けるのが一般的だ。女子は貞節を守り抜いて初夜に潔白をその身で示す事が重要であるが、男子はスムーズに子作りを進める為に、前以って経験を積んでおく。

 それは乱れているというよりもマナーの一環に近い。

 カインはあの容姿で健康的な男子だ。婚約期間中のイザベラに手が出せない故に、他で熱を発散するしかないから多少息抜きに遊ぶのは仕方ない。

 イザベラも上流階級に位置する立場の女としてその辺はキチンと心得ていたから怒る事はしなかったし、カインは遊ぶには遊ぶがのめり込むとはほど遠く、定期的に娼館に通って金払い良く上品に遊ぶだけで、彼が王女の婚約者という自分の立場をどれだけ真面目に考えて日々生活していたか、よく判る。

 大抵、どこの王家にも諜報部隊は存在する。当然、王族の伴侶に求められるのは容姿と血筋、それからクリーンなイメージだ。だから伴侶になる相手の素行調査も仕事の一環に入る。

 世間で流布される華々しい夜の武勇伝は殆どが実際はさり気なく袖にされた貴婦人や婦女子がそれを知られまいと並べ立てた作り話で、実際のカインは娼婦(プロ)しか相手にした事がないのだと、王族の者なら皆知っている。――それは勿論、オリヴィアも。

 そういう部分を含めて、カインは父王に中々見所があると買われていた。

 あちこちで遊んで浮名を流し、色男ぶりを発揮するのも男性としての魅力を見せ付ける真似だから間違ってはいない。だが、王族はクリーンさを求められる立場である。イザベラの婚約者だったカインにもいずれそのイメージを求められる。

 独身だからと華々しく遊ぶのは勝手だが、度が過ぎてしまえば醜聞を引き起こす諸刃の剣。若い欲望を都合良く身分と金で補う事に慣れきって、後々自業自得な羽目になる良家の子息はいつの時代にも居るものだ。

 カインは独身だがそういった隙を見せてはいけないと、女性関係は娼婦に委ねる事で身綺麗さを保持している。しかもイザベラを不愉快にさせない程度の頻度だから、その年頃の綺麗な男な割に随分と娼館に通う回数も少なくて。

 だからオリヴィアは、いつか妹の夫になる義弟がカインで良かったと心から思っていた。イザベラは末っ子で皆の可愛いお姫様だから、優しく賢く素敵な男性と一緒になってほしいと願うのは、姉として当然の事で。

 ……なのに。

 そんなカインが自分をずっと想っていたなんて、予想外過ぎて俄かに信じられない。

 隣の部屋でやり取りをずっと聞いていたし、直に告白もされたのに、未だに「何かの間違いでは」と思ってしまうのは、自分に女としての自信がないからか。


「……。あの、お父様」

「オリヴィア。…カインの告白については、まぁ、その、賛否両論ではあるが、」

「賛否両論どころか殆ど否定ですよ父上。あんな告白、それこそ六歳児ですよ父上」


 即座に割り込むフェリックス。とことんブレない王太子である。


「フェリ。そなたはちょっと静かに。……余も正直意外だったのは確かであるが、カインはカインであぁ見えて真面目な男だから、嘘ではないだろう」

「……。イザベラは…、本当に良かったの…?」

「私が先に婚約破棄を願い出ましたのよ、オリヴィア姉様。私の我が儘なのです。カインは被害者なのですわ。……だから、私に気兼ねしないで下さいまし。――ただ、ちゃんと考えて下されば」

「だからと言って、オリヴィア姉上がイザベラに振られたカインに同情して告白を受け入れるという事だけはしないで下さい。オリヴィア姉上がカインをどうしても好きになれないなら、遠慮なく振っても良いので。僕らはオリヴィア姉上が今度こそ幸せな結婚を迎えられるなら、相手は誰でも良いんですから」


 ――例えそれが、カインじゃなくても。

 そう締め括ったアレックスは、彼の友人で彼の恋を応援しているのは事実だが、二番目の姉の幸福を祈っているのも事実だった。


「……。お父様。私、部屋に戻ります」

「うむ。公務で疲れているのに、急に呼び付けて実に済まなかった。晩餐までしっかり休むように」

「はい」

「じゃあ、私もそろそろ帰りますわ。オリヴィア姉様、一緒に戻りましょう。――では皆様、御機嫌よう」

「待て、イザベラ。まだお前に説教していない」

「フェリックス兄様…。その話はまた、後ほど…」


 イザベラはサッとオリヴィアの背後に隠れる。装飾控えめで地味とはいえ、スカート部分を膨らませボリュームのある妹のドレスと違い、休む為に部屋着用の簡素なドレスを着ているオリヴィアは細身なのもあって、後ろに隠れたイザベラを隠しきれない。

 咄嗟に両手を広げ、イザベラをフェリックスから少しでも隠そうと頑張ってみた。


「くっ…。イザベラめ、私がオリヴィアに強気に出られないと知っての狼藉か…!」

「狼藉だなんてあんまりですわフェリックス兄様! 何ですのその言い方!」

「先ほども言いましたが、兄上って本当にブレませんねぇ…。後、イザベラも」


 ほのぼのとした(?)兄妹のやりとりに、次男はマイペースにコメントした。


「まぁ、それはともかく。いつまでも政務の邪魔をしてはいけませんよね。僕も一緒に部屋へ戻るよ。――それじゃあ父上、兄上、バロウズ卿、アルベスト卿、長々と失礼致しました」

「うむ」


 丁寧に礼をして退室した三姉弟妹に続き、フェリックスも時計を見て、


「私も、そろそろ失礼します。来季の騎士団の入団試験が差し迫ってるので」

「あぁ。そなたに初めて任せる仕事だったな。期待しておるぞ」

「はい。頑張ります」


 フェリックスは来年から騎士団に関する国務を全て父王から引き継ぐ算段になっている。今後は騎士団長や宰相とも相談しながら騎士団を纏めていく為、今から準備に余念がない。

 日々頼もしく成長していく息子の後ろ姿を見送ったオーギュストは、執務室のドアの内鍵を掛けた。

 そうして子供達が全て引き払った後に残るのは、男親の三人。



「…それにしても、カイン殿は何と言うか…些か予想外でしたな」

「キース先輩、オーギュストが鍵掛けたの見たでしょ? 見ましたよね? だったらもう人前用のその嘘くさい喋り方、いいんで……。本当、いいんで……」

「はっ! カイル、お前こそなーにが「おとうたまはかなすぃ」だ。お前、いつも家では自分の事そんな風に言ってんのか。マジかよ引くわ」

「キース先輩って素だと本当に口悪いですよね…」

「今に始まった事じゃなかろうよ、カイル。先輩が実はガラ悪い事なんて…」

「オーギュストも今じゃ立派に一人称が「余」になっちまってなぁ…。昔は「俺様」だったのによぉ…」

「言わないで! 言わないで先輩! 辛い! 余の黒歴史辛い!! あの頃の俺様時代、全部なかった事にしたい!!」

「オーギュスト…死ぬな。(恥ずか)死ぬ時は私も一緒だ……」

「カイル……!」

「ホモか」

「「違いますけど!?」」


 細いフレームの眼鏡に氷の如き冷たい美貌を持つ理知的な風貌のキースは、オーギュストやカイルより三つ年上だ。

 そしてリーリル学園に通っていた若かりし頃、この男が実は当時学園を仕切っていた不良優等生だった事を知る者は今の若い世代にはほぼ居ない。

 十代の頃、王子様として蝶よ花よと育てられ少々傲慢に成長してしまったオーギュストとその悪友であった貴族令息カイルは、「親の目がない学園こそ我が楽園!」とばかりに身分と美貌と才覚で派手にやらかしていた。……と言っても、せいぜい三日天下だったが。

 入学して少しした矢先、その高い鼻っ柱を裏番長キースに「テメェらうっせーんだよ」とバキバキにへし折られて以来、彼には頭が上がらない。

 今でこそ、人前ではもはや王と臣下(同僚)だが、周囲に他の目がない場所では、かつて粋がっていた金持ちドラ息子さながらの自分達をシバき倒したキースに対して「怖い先輩」という第一印象が未だもたげてくるのだった。何せ若気の至りとはいえ、昔の自分達は身分を嵩にヤンチャし放題で、今思い返すと我が子の出来の良さに比べて恥ずかしいし居た堪れない。

 悪ガキだった頃の黒歴史(自分達)を知られているばかりか、彼によって教育的指導(物理)も受けている為、普段は跪いている宰相が素を出すと、途端に肩身が狭い思いをする国王と財務大臣だった。弱い。


「…でも、どうしたんですかキース先輩。機嫌良さそうですね」

「機嫌も良くなる」


 薄らと口角が上がる。

 見た目が清廉なキースが流し見るようにカイルに視線を向けた。意味ありげに眇められた眼差しを受け「うっ。何、怖い」と少しばかり身構える後輩に、キースは不遜に笑い掛け。


「俺は元々、テメェの息子を虎視眈々と狙ってたからな。流石に王女の婿にと持ってかれちまって、こっちも諦めるしかなかったが…。他にもシャーリーの婿に見繕ってた男は居たんだが、ソイツも結局カサンドラ嬢の婚約者に据えられちまうし、どうしたもんかと思ってたんだぜ、これでも」

「えぇ――――――――ッ!?」


 まさか息子が彼の娘婿に狙われていたとは露知らず。

 結構長い付き合いだというのに、今の今までそんな事おくびにも出さなかったキースは流石宰相で自分達を平然とシバき倒した剛毅なお人、面の皮が厚い。


「ね、狙ってたんですか、息子を。それと、ラムゼイの息子も」

「否待て、カイル。ラムゼイの倅は判らなくもないのでは…」

「そうだった。キース先輩って元々騎士になりたかった人だから武門狙いでもおかしくなかった。……でも、アルベスト家は代々文官を排出してますが…」

「普通狙うだろ、カインなら誰だって。テメェの若い頃よりずっとイイ男じゃねーか。――他にこれと言った男が見付かんねーってのもあったけど、一縷の望みに掛けてシャーリーに婚約者を作らせずにおいて良かったぜ…本当。あんなたどたどしい口説き文句じゃ、落とせるモンも落とせねーよな。オリヴィア様に振られた時こそ、カインを俺の息子として手に入れる絶好のチャンス…! あー早く振られねーかなー」

「ひぃっ! ウチの子狙われてる! 超狙われてる! 後、キース先輩、顔! 顔! 邪悪過ぎるその笑顔! 後、ウチの子はやれば出来るんです振られるってまだ決め付けないで頂きたい!」

「カインは余の息子になるものだと思っていたのに……まさか先輩まで娘婿に狙っていたとは…」

「オリヴィア様は素晴らしい姫君だが、本人だけが女としての自信がないと思っていらっしゃる姫君だからな…。カインが振られるのも時間の問題だろ。あーカワイソー」

「カインはまだ振られてませんってば! 何ですかその棒読み! キース先輩、私だって怒りますよ!!」

「ぁあ? 怒ってみろよ、オラ」

「サーセン」

「カイル……」

「何だよオーギュスト、そんな顔するなよ…。君だってキース先輩に凄まれたら咄嗟に謝っちゃうだろ?」

「それはともかく。…「ミソシルで顔を洗って出直す」とは一体どういう意味なのか…」

「あぁ、それ。俺も気になってんだよな。ミソシルって何だ?」

「恥ずかしながら、私も初耳で。…顔を洗うって事は、新しい化粧水のメーカーか何かかと……」

「やっぱそう考えるのか妥当か?」

「しかしカインはキャシーと違って、毎日の洗顔は特に化粧水など使ってないんだがなぁ…。水洗いだけのはず」

「水洗いだけであの肌のきめ細かさを維持出来てんのか…。アイツの美貌はいっそ女の敵だな。シャーリーがカインと並んでも霞まないくらいには美人で助かったぜ……俺の美貌のお陰だな」

「先輩、もうカインが振られる事前提で娘婿にする気満々の発言ですな。後、自分の娘を誉めるついでに自分の顔も誉めるという技を何気なく遣う辺りが、流石先輩というか何というか」

「キース先輩、気が早い発言はやめて! 貴方の事は十代の頃からずっと尊敬してますし素晴らしい人だと思ってますけど、いざ身内になると考えると私の胃が…!」

「カイル、しっかりしろ! 余がついておるぞ!」

「オーギュスト……。…そうだな。死ぬ時は一緒だもんな…」

「ホモか」

「否、さっき違うって言いましたよね!?」

「オッサン耳遠いんか!!」

「ぁあ? もっかい言ってみろよ。オラ」

「サーセン」

どんなに偉いオッサンだって恥ずかしい過去くらいあるよね、という。

実は当初、王様は「余ってばマジイケメンじゃよなー」みたいなキャラで書こうとしてた。書かなくて本当に良かった…。

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