↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
20/28

第20話 似たもの同士

美月が駆けていくのを見送ったあと、ルーセルはさてと、と少し離れた木々の方へと視線を配る。


「ほんと素直じゃないんだから。よく似てるよ、二人とも……」


木立へと近づき、声を掛ける。

「そろそろ出てきたらどうだ」


木の陰から姿を見せたのは、レイファスだった。

「ひどい顔だな」

「うるさい」

レイファスはチラリとルーセルを睨むと眉間に(しわ)を寄せ、短く息を吐き出す。


「気になって後をつけるくらいなら、お前が行けばよかっただろう」

「俺なんかがいっても、お前のように上手くできない」

今度はルーセルが、盛大な溜息をついた。

「お子様だな」

「はあ?」

イラッとした顔をして、レイファスがルーセルを睨む。


「こういうことは上手く出来る出来ないじゃない。素直にお前の言葉で向き合えばいいんだ」

ついでにもう一度、お子様だと付け加えた。


「マジうるさい。女たらしのお前と一緒にするな」

「気になるのに、女性を一人で泣かすより、ずっとマシだ。それに、俺は女たらしではない。周りの女性が俺を放っておかないだけだ」

フフンと鼻を鳴らし、斜め上からレイファスを見やる。

「………………」

呆れて、突っ込む気すらしない。


「お前とミツキは似ているな」

「は?どこが」

「周りに気を使いすぎて、自分に素直になれないところとかだ。まあ、ミツキのほうが、純粋で聞き分けも良くて、()()()。お前は、可愛げが()()

「悪かったな。気色悪い」

レイファスは心底嫌そうな表情(かお)をして、笑みを浮かべるルーセルを睨んだ。


「だから、なおさら彼女を放って置けないんだろう」

「……べつに、そういうわけでは」

レイファスはルーセルから視線を反らす。

視線を落としたその先に、いつの()にそこにいたのだろう。

草の間に木々の妖精が一匹、葉の上に座って首をかしげこちらを見ている。


妖精と目が合うと、なぜ、素直にならないのか?とまるで妖精からも問われているようだ。

ルーセルの言う通りだということは、よくわかっている。

はあ……

つい、大きな溜息が出て、肩を落とす。


「彼女は、もう大丈夫だ」

ルーセルがきっぱりと言った。

やっぱり悔しいが、ルーセルは自分より大人だ。レイはいつもそう思ってしまう。

この男には、(かな)わない。この余裕はどうすれば持てるのだろうか。


ルーセルは、右手をレイファスの肩にパシッとのせて、にっこりと笑った。

「あとは任せたよ。お前はお前のままで、向き合えばいいと思うけどね」


そう言うと、トンッともう一度肩を叩いて背を向けた。


二、三歩進んだところで、ルーセルが「ああ、そうだ!」と肩越しに振り返る。


「お前……今夜は城に泊まりな」

「はあっ!?」

「急な任務だ」

「なんだ、それ。初耳だが?」

「俺もついさっき初耳だ。ミツキは俺ん家の馬車でランドルフ家に送る。お前ん家にもそのように手配はしたから」

「おい、待てよ」

「お前の()()()()()()()()で馬車で帰るとか、気まずすぎるだろ」

「うっ……ん、まあ、そうかも知れないが……」


「お前、明日はちょうど休みだろ?ちょうどいいじゃないか、もう一つの世界から来た彼女を街に案内してはどうかな。せっかくだしな」


「……ルーセル。いつから俺は明日、非番になった?……それも、()()だ」

「あれ?そうだったかな。まあ、これは宰相からの任務だ」

「任務の時点で、休みではないだろ」

「細かいことを言うな。じゃあ、頼んだよ」


そう言うと、彼はひらひらと手を振りながら去って行った。


一人残されたレイファスは軽くため息をつき、ふと視線を落とす。

先ほど草の上に座っていた妖精と目があった。にこにこと楽しそうに笑っている。


「なあ、街の案内って、どこがいいと思う?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。