14話
「燃え盛る赤き炎上の覚醒、我が前に堂々と顕現せん――火魔法レベル6〈炎獄の炎〉!」
「秩序を切り裂く激風の翼よ、荒ぶる嵐を啓示し呼び覚まそう――風魔法レベル6〈疾風翼迅〉!」
「震える天空に怒る豪雷、共鳴する無限の螺旋を紡ぎ操る力とならん――雷魔法レベル5〈稲妻撃〉!」
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[魔法名]
炎獄の炎
[魔法レベル/属性]
レベル6/火-攻撃
[必要MQ]
160以上
[魔力消費]
230
[効果]
敵単体にクリティカル率の高い大ダメージの火属性攻撃。
大地を焼き尽くすほどの炎熱と威力が宿り、周囲を巻き込んで大爆発を起こす。
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[魔法名]
疾風翼迅
[魔法レベル/属性]
レベル6/風-攻撃
[必要MQ]
170以上
[魔力消費]
280
[効果]
敵グループに大ダメージの風属性攻撃。
制御不能な爆風を引き起こし、敵陣の防御力、回避率を低下させる。
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[魔法名]
稲妻撃
[魔法レベル/属性]
レベル5/雷-攻撃
[必要MQ]
150以上
[魔力消費]
250
[効果]
敵全体に中ダメージの雷属性攻撃。
雷撃が広がるチェインが発生し、スタン効果を与える。
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魔法陣からいくつもの攻撃魔法が放たれていく。
さすが天才魔術師だ。
その鮮やかな連続攻撃には一切の隙がない。
強力な魔法を放っては次々とモンスターを葬っていく。
しかし。
「くっ・・・」
徐々にフェルンひとりではモンスターを捌ききれなくなっていく。
あまりにも出現してくるモンスターが多いのだ。
黒の一帯は今、完全なカオスと化していた。
ゲントたちはすでに四方からモンスターに取り囲まれてしまっている。
逃げることは、もはや不可能。
「フェルンさん大丈夫でしょうかぁ~・・・」
ルルムも指を組んで不安そうに見つめる。
(こんなところで見守ることしかできないのか?)
おっさんの自分がいつまでもこうして守られて、少女にすべてを押し付けるわけにはいかない。
そう決心したゲントは、ルルムにあることを訊ねていた。
「さっきみたいに魔剣の姿に戻ることってできないのかな?」
「ほぇ?」
「俺もフェルンさんと一緒に戦いたいんだ。このままじゃ彼女の身が危ない」
「あっ、なるほどですね♪ その手がありました~! ちょっとできるか試してみますよぉー!」
羽をぱたぱたとさせながら、ルルムは指を組んで「う~~ん!」と唸りはじめる。
その様子を見守っていると・・・。
グイイーーン!!
ふたたび黒い稲妻とともに妖気がルルムを包み込み、彼女は姿を変えることに成功する。
『マスタ~! できましたっ!』
「すごいぞ、ルルム。でかした」
ゲントはその場に突き刺さった魔剣を手に取る。
改めて見てもこの葬冥の魔剣は、ものすごい邪悪なオーラを発していた。
この魔剣がルルムだとは到底思えない。
「というか、会話できるんだ?」
『はい♪ 今、ルルムはマスターの脳内に向けて話しかけてる感じですっ~!』
「このまま攻撃に使っても大丈夫?」
魔剣に姿を変えてもらってなんだが、当然そこは気になった。
使うことによってルルムが痛い思いをするのなら、やはり扱えない。
けれど、サキュバスの少女はあっけらかんと口にする。
『それならだいじょーぶですよっ! 今ルルムの意識は魔剣と完全に切り離しちゃってますから~♪』
「そうなんだ」
『はい! だからルルムをご自由に使ってもらってかまいません♡ 実は今、マスターのお体に直接乗り移ってるんですよ~。うふふ♪』
憑依されているような感覚はまったくなかったが、ルルムがそう言うのだからそうなのだろう、とゲントは思う。
『なぜかわかりませんが、魔剣の使い方は覚えてるみたいです! なにかあれば訊ねてみてください~!』
「そっか。ありがとう」
(俺に乗り移っているってことは、魔剣を使ってもルルムが痛みを感じることもないだろう)
これなら余計な心配をすることなく自由に戦える。
「我が手に宿りし炎の情熱、破壊と創造をもたらし灼き尽くせ――火魔法レベル7〈焔神〉!」
「深淵より湧き出る澱みなき水の守護者、鮮やかな彩りを纏い踊り出せ――水魔法レベル6〈雲竜水咆哮〉!」
「雷霆の衝撃、天地を裂く轟音、電撃の矢が全てを撃ち滅する――雷魔法レベル6〈雷霆の裁き〉!」
「奇跡を構築する万象を統べよ、光輝く天空の力を授け給え――光魔法レベル7〈輝輝の煌めき〉!」
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[魔法名]
焔神
[魔法レベル/属性]
レベル7/火-攻撃
[必要MQ]
200以上
[魔力消費]
350
[効果]
敵全体に大ダメージの火属性攻撃。
大いなる超煉獄の力が宿っており、使い手自身の高い集中力と精神力が必要。
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[魔法名]
雲竜水咆哮
[魔法レベル/属性]
レベル6/水-攻撃
[必要MQ]
160以上
[魔力消費]
230
[効果]
敵単体にクリティカル率の高い大ダメージの水属性攻撃。
大洪水の流れを自在に制御し、濡れ状態の敵は行動が大幅に制限される。
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[魔法名]
雷霆の裁き
[魔法レベル/属性]
レベル6/雷-攻撃
[必要MQ]
170以上
[魔力消費]
280
[効果]
敵グループに大ダメージの雷属性攻撃。
発動時に周囲の雷雲を呼び寄せて雷のバリアを形成し、複数の敵を同時に攻撃する。
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[魔法名]
輝輝の煌めき
[魔法レベル/属性]
レベル7/光-攻撃
[必要MQ]
190以上
[魔力消費]
260
[効果]
敵単体に特大ダメージの光属性攻撃。
高密度のシャードと光の環を展開し、超強力な光線で捕らえた敵に全方位から攻撃を浴びせる。
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フェルンはあいかわらず、いくつもの攻撃魔法を放つ離れ業を披露していたが、それでも徐々に押されつつあった。
(フェルンさん・・・)
あれだけ圧倒的な戦いぶりを見せていた彼女が窮地に陥っている。
手助けするなら今しかない。
ゲントは葬冥の魔剣の柄を強く握ると、フェルンの前に踊り出る。
「ちょっとなにやってるんだ、ゲント君! こんなところにいたらキミまで危険だよっ!」
「でも、フェルンさんばかり危険な目に遭わせるわけにはいきません」
「そうは言っても・・・キミの魔力はゼロじゃないか」
「はい。俺には魔法は使えません。だからべつの方法で挑もうと思います」
「べつの方法・・・?」
「実はさっきある武器を手に入れまして」
「武器? そんなものどこにも――」
「とにかくやってみます。こっちの方はお任せしました」
ゲントは頭を下げると、フェルンの引き止めには応じず、モンスターの群れの中へ飛び込んでいくのだった。




