第1話 パメラの部屋
書いても書いてもうまくならないです(笑)
でも伝えたいことが、たくさんあります。最後までおつきあい頂けると嬉しいです。
これは、今から45年くらい前の話になる。
関西のとある百貨店の一角に、「パメラの部屋」と呼ばれる占いブースがあった。
当時、私は水晶とタロットを前に、毎日さまざまな人の運命を読み解いていた。
水晶で見えるカルマは、あくまで私がリーディングに使うだけで、本人には決して伝えない。
それが私の流儀だ。
そしてそんな日々の中で、とても印象的な3人の少女がいた。
毎週土曜日の午後になると、決まってその3人の少女が現れる。
後に占いをしたので、彼女たちが
よしこ、あやこ、みどりという中学3年生だということは
私の知るところとなるものの、
名前も知らない3人の少女が、いつも少し離れた場所から、
まるで珍しい動物でも観察するように私を見つめていた。
占いに興味があるのだろう。しかし、どこか半信半疑という感じだった。
そんな彼女たちが、バレンタインを目前にした2月の第1土曜日、
ついに私の前に立った。
「やっとお小遣いがたまってん」
よしこが嬉しそうに笑った。
3人とも、にこにことほほえましい。
時節柄、恋の行方を知りたいのだと予想したが、
(私の占いはよく当たると評判だが、私の予想は笑えるほどに当たらない)
占ってほしい内容は、将来の職業、結婚、ざっくりとした未来の自分の姿だった。
トップバッターはよしこ。
癖の強い剛毛を今時珍しいおさげにしている。
着ている服もいかにも母親が若い頃に着ていたものを譲り受けました、
というような年代を感じさせる、古いデザインのものだった。
少し変わった雰囲気の子だが、3人の中ではリーダー格のようだ。
水晶に手をかざすと、よしこのカルマが静かに浮かび上がる。
――正義感が強く、立場の弱い人の代弁者となり革命的な行為を好む一面。
――繊細で小心者、いつもと違うと不安になる保守的な一面。
――極端な二面性が周囲を混乱させ、本人も生きづらさを感じている。
水晶の中のよしこの生きづらさに、私は胸が締めつけられた。
思わず涙声になってしまう。
「よしこさんは、困っている人を助けたり、子供と関わる仕事がしたいと
思っていらっしゃると思います」
「なんでわかったん!?」
「でもよしこさんはとにかくお優しいので、そういう仕事につかれるとご自身が苦しむことになります。
人に関わるお仕事ではなく、何かクリエイティブなお仕事を選ばれるとよいと思います」
「クリエイティブていわれても、絵描きさんとか?小説家とか?
そんなん、よっぽど才能あるか、運がよくないとなられへんやろう」
あやことみどりが口をそろえる。
「よしこは絵もうまいやん。童話作家とか似あいそうや」
私は微笑んだ。
「あまりまだ今は一般的ではありませんが、コンピュータプログラマーは
技術分野でクリエイティブな力が求められると聞いています。
よしこさんはそういう道にすすまれる可能性がありますね」
「プログラマー???聞いたこと無いな」
「結婚は27歳。それを逃すとかなりの晩婚になりますが、お相手には恵まれます。
とても良い縁です」
「えー27て遅ない?」
27歳でも自分の予想より遅いと感じたらしい。
こうして、私は、占いで見たその人の「運命」を伝える。
相手の反応が良ければ占い師としても嬉しい。
しかし期待と違った場合、どう向き合うかは、結局その人次第なのだ。




