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「うわっ!」


リオは盛大に驚いて、思わず尻もちをついた。

ケリーが謝りながら、リオの腕を引いて立たせてくれる。


「ああ、驚かせてごめん。アンを探してるんだろ?あっちに走って行くのを見たんだけど。追いかけようとしたけど足が速くて」

「えっ、どこっ!」

「ついて来て」


ケリーがリオの腕を引いて早足で歩き出す。

リオは手を離してほしいと思ったが、アンが心配で、そのままにしてついて行く。

空がゴロゴロと鳴り、大きな雨粒が落ちてきた。激しく降る雨に打たれて、すぐに全身がずぶ濡れになる。しかしそんなことはどうでもいい。

早くアンを見つけてやらないと、雷に怖がって震えているかもしれない。寒がってるかもしれない。


「なあ、アンはどこに…」

「いた、あそこだ」


ケリーが足を止め、前方を指さした。

ケリーが示した先を見るけど、雨が(けむ)ってよく見えない。


「どこっ」

「ほら、あそこ。尾が見える。震えているな」

「アン!」


ケリーの手が腕から離れた。

リオはケリーの前に出て、アンがいるという場所へと走る。しかしアンはどこにもいない。

どうして?移動した?どこに行った?それとも隠れてるのか?でも俺を見たら、アンは必ず走り寄ってくる。ということは、ケリーが嘘をついた?

リオは振り返ると、ケリーを睨んだ。


「アン、いないじゃねぇか。嘘ついたのか?」

「嘘はついていないよ。だってほら、クソ犬はここにいる」

「は?」


ケリーが持っていた布袋を持ち上げた。

アンを探すことに必死で、ケリーが袋を持っていることに気づかなった。

ケリーが袋の口を開けて中を見せる。中にはびしょ濡れで丸まったアンがいた。


「アン!あんたっ、何をした!」

「おっと。まだ渡せないよ。心配しなくても眠ってるだけだから」

「ぐっ…アンを離せっ」


リオは叫びながらケリーに飛びついた。ケリーの腕を掴んで袋を取り返そうとするが、腹を蹴られてしゃがみこむ。

容赦ない蹴りをくらい、内蔵が口から飛び出そうなくらい気持ち悪い。足に力が入らない。立てない。震える。でもこの震えは、痛みでも寒さでもなく、怒りからだ。ケリーは一体、何のためにこんなことをしているんだ?俺に対しての嫌がらせなら、アンを巻き込むな!俺の大切な家族を傷つける奴は、絶対に許さない!

リオが睨みつけると、ケリーが楽しそうに笑った。


「へぇ、怒ると目の色が濃くなるね?綺麗だよ」

「あんた…なんでこんなことするんだよ」

「ちょっと確かめたかったからさ」

「なにを」

「まあまあ。今からそれを試すから。リオ、君の後ろって崖なんだよな」

「は?」

「今日、広場に来るまでに結構登ってきただろ?だから危険な高さの崖なんだよな。落ちたら助からないよな」

「なに…」

「この犬、頑張って助けてみろよ」

「…やめっ」


嫌な予感がする。まさか、嘘だろ…と思った瞬間、ケリーがアンが入った袋を思いっきり投げた。

袋はリオの頭上を越え、崖の下へと落ちていく。

リオは動いた。考えるよりも早く、身体が勝手に動いた。袋を追いかけるようにして、大きく飛んだ。



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