↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
57/86

57

リオがアンと走り回って遊んでいる間、ギデオンとゲイル、ケリーとアトラスは地図のような物を広げて頭を寄せていた。何かを話し合っているようだ。ここへはアンを遊ばせる以外にも、目的があったのか。少ししてケリーが皆から離れる。

四人を横目で見ながらアンを追いかけていると、どんよりと曇った空から、ついに雨がぽつりと落ちてきた。どこかで雨宿りしなければと空を仰ぎ、流れる雲を見た。

リオが強い魔法を使えても、さすがに天気は操れない。自然を操れてしまったら、それはもう神の領域だと村の誰かが話していた。そんなことを思い出しながら「アン」と声をかけて視線を戻したリオは、恐怖で固まった。アンがいない。姿が見えない。つい先程まで、すぐ目の前で、揺れる花を前足でつついて遊んでいたのに。


「アン!どこだっ。濡れるから戻って来い!」


リオは声をはりあげて、アンが隠れていそうな茂みや岩や木の後ろを探し回った。

すぐにギデオンとアトラスが来た。


「どうした?」

「アン、どこかに行っちゃった?」


リオは泣きそうになりながら二人を見た。

アンはまだ小さい。いろんなことに興味がある。だから、少し遠くに行ってしまっただけで、すぐに戻って来る。そう思うけれど、心配で胸が(つぶ)れそうだ。


「俺が…ちゃんと見てなかったから…。どうしよう、アンに何かあったら!」

「リオ、大丈夫だ。アンはリオのことが大好きだろ?必ず戻って来る」

「そうだよ!俺、向こうを探してくるっ」


ギデオンに背中を撫でられ、リオは少し落ち着く。知らずに握りしめていた両手が震えている。怖いのだ。アンを失うかもしれないことが、こんなにも怖いなんて。

走っていくアトラスの背中を見て、リオはギデオンを見上げた。


「ギデオン達は、仕事の途中だったんだろ?中断させてごめん。俺、もう少し遠くまで見てくるから、仕事の続きしててよ」

「仕事のことは気にしなくていい。俺もアンが心配だ」

「…ありがとう。じゃあさ、俺は右側を探すから、ギデオンは左側を頼んでもいい?」

「わかった」


リオは頷き、走り出す。

後ろから「気をつけろよ」と声をかけられて、もう一度頷き林の中に飛び込んだ。


「アン!どこにいる?雨が降ってきたから帰るぞ。出てこいよっ」


大きな声で呼びかけながら、見落としがないようにアンが隠れそうな場所を丁寧に探す。しかし声も聞こえないし姿も見えない。


「アン…どこだよ。まさか、ここに魔獣がいるのか?襲われたりしてないよな」


恐ろしいことを考えて、一気に胸が苦しくなる。

俺が傍にいたら守ってやれるのに。どんなことからも守ってやるのに。なんで目を離したんだよ、俺のバカっ。

手のひらに爪が食い込むほど強く握りしめて、(おのれ)の行動を深く悔やむ。頬に雫が流れ落ちてくる。雨なのか涙なのかわからないが、シャツの袖で無造作に拭く。

そして再びアンを探すために走り出したリオの前に、いきなりケリーが現れた。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。