第41話「カルボナーラの唐揚げ乗せ」
「お待たせしました~。天ぷら蕎麦です~」
そう言ってアオイが老人の前に置いたのは……唐揚げの乗ったカルボナーラだった。
「キリがないからカルボナーラでも出しとくか。唐揚げの一つでも乗せときゃ平気だろ」
という店長の案により、この高カロリー爆弾が老人の元に出されることとなったのだった。
「ふむ、変わった色をした天ぷら蕎麦じゃな……。しかし、この昆布の上品な香り。これだけでもいい出汁が出てると分かる」
「そうなんですね~。ありがとうございます~」
アオイにはチーズとブラックペッパーの香りしか感じないが、白々しく話を合わせる。
「この海老天もサクサクに揚がっておる。中も身が締まっていて、この噛み応え。まるで海老ではないようじゃ」
そりゃあ鶏の唐揚げですからね~。喉元まで出かかった台詞を無理矢理押し込め、苦笑いを浮かべるアオイであった。
「しかし婆さん来ないのぉ……どこへ行ってしまったんじゃか……?」
「どうしちゃったんでしょうねぇ……?」
唐突に当初の目的を思い出す老人。もしかしたら待ち合わせ場所そのものが間違っている、何ならそもそも待ち合わせなんかしていないのではないかという、一抹の不安がアオイの脳内をよぎった。
と、そのとき。
カランコロン。
鳴り響くドアベル。もしかして……!
「こんにちはー! お届けものでーす!」
はい違いましたと、静かに落胆するアオイ。
どうやら発注していた食材の数々が届いたようだ。
「お世話様ですー! ここに置いてくださーい!」
カリンが対応し、厨房の入り口前まで案内する。
配達員の男性は、カリンの言う通りに段ボール三つを積み上げると、印鑑を貰って帰っていった。
「いつものことながら、また随分な量届いたわね……」
「まあ、曲がりなりにも飲食店だしね」
積み上がる荷物を見てぼやくカリンとノア。この量を開けて仕舞うのは中々骨の折れる作業だ。
「まあやるしかないわよね……」
カリンは溜息を一つつき、近くの引き出しからハサミを取り出す。
近くの椅子を持ってきて、その上に立ち、一番上の段ボールにハサミを入れる。天面を開き、中身の食材群を取り出し、下で待機しているノアに片っ端から渡していく。そして、それをノアが手際よく冷蔵庫へと仕舞っていく。
その作業を延々と繰り返した末、ようやく一番下の段ボールまで辿り着く。中身を次々とノアへと渡し、中が空になった段ボールを潰し終えた、その時だった。
「あああぁぁぁ!」
突如として男性の絶叫が響き渡り、不意討ちにびっくりする一同なのであった。




