白と黒
南の島の小さな町に
白いくまと
黒いくまが住んでました
白いくまは町中の人に愛され
黒いくまは忌み嫌われました
黒いくまは木こりをしていて
町はずれの森の入り口に
小さな丸太の家をつくり
ひとりで静かに暮らしていました
町に降りてくることはほとんどなく
森の中と家を行き来し
静かに暮らしていましたが
それでも町の人たちからは
忌み嫌われていました
町に暮らすひとりの娘は
黒くまの話ともなれば険しい顔をする
友達や知人らのに対し
どうしてそうも黒くまを忌み嫌うのか
不思議に感じていました
そしていつしか町の娘は
どうして黒いくまがこうも嫌われているのか
自分で調べてみることにしました
一方で
白いくまは町を代表するアイドルでした
この白くまと森の黒くま双方について
以前から詳しく調べているという
ジャーナリストの家を町の娘は訪ねます
「君か話が聞きたいと連絡をくれたのは」
「お忙しいところ申し訳ありません
私はルクス大看護学部の学生です」
「...学生さん
看護各部の学生が僕に何を聞きたいんだい」
「この町では知らぬものがいない
”白くま”と”黒くま”について
以前から調査されていると伺いました」
「いかにも調べているが
君はなぜ興味をもったんだい」
「あれだけの人気を誇る白くまさんが
いったいなぜこの町に住むようになり・・」
「ちがう..."黒くま"になぜ興味をもった?
という質問だよ」
「え・・・」
「白くまはベアハルトの生まれで
映画”プルダウン”で一躍人気となり
大都会を離れ南の島のこの村で静かに普段生活しつつ
映画やドラマやTVの仕事をする
この国では知らないものもいない程の有名人」
「・・・都会より田舎が好き と聞きました」
「そかし”黒くま”はどうだ
町中の連中が忌み嫌っていはいるが
他の町やベアハルトの連中が”黒くま”を知ってるかね?」
「黒くまさんはいつからこの町に?」
「白くまが引っ越してくる10年前かな」
「最初からあんなに嫌われて?」
「やはり
君の知りたいのは”黒くま”の方だったか・・」
町の娘はジャーナリストから聞いた話を思い出しながら
教えてもらった森の入り口にある黒くまの家へと向かった
町が見下ろせる丘の森の入り口に
小さな丸太でできた小屋があった
小屋の周りにはきれいな花壇がつくられていて
蝶が気持ちよさそうに飛んでいた
町の娘は玄関をノックする
しかし誰かが居る気配がそもそもない
町の娘は家の庭にある丸太のベンチに座って
少しだけ待つことにした
すると森の方から声がした
「嫌われのものの俺に何かようか」
町の娘は黒くまを初めてみた
これが町中いや島中から嫌われている黒くま・・
町の娘は立ち上がり
「あ、あ、あのはじめまして
特にあの、用事というものはないのですが、、」
その台詞に黒くまは大笑いをしながら
担いできた丸太や道具の入った袋を納屋に片付けはじめた
「用もないやつが来る場所じゃないだろ
正直にいわなければ食い殺すぞ」
その台詞におびえる娘を見もせず
黒くまは薪割をはじめた
「、、わたし、図書委員をしているんです」
「・・・」
「本が好きなわけではなくて、学校でインターネットが
その、自由にできるので、、その、、」
「・・・」
「それで、古い童話をインターネットで見つけて
そのタイトルが、、「くまどうわ」で、、その」
「俺の事じゃない」
「え?」
「とっくになくなってしまっているはずだがな」
「ご存じでしたか!いや、、あの、、やっぱり
この町のことが舞台なんですね?」
「黒くまや白くまが出てくるからといって
俺のことじゃないと言ってるんだ
本当に食われたいなら薪割終わるまでまってろ」
黒くまが相当機嫌が悪くなったのを察した娘は
薪割が終わらないうちに丸太の家をあとにしました
町の娘は翌日またジャーナリストの家に向かいました
ジャーナリストに黒くまに逢ったことを伝えると
よく無事に帰ってこれたなと感心された娘でした
ジャーナリストは娘が古い童話を読んだことを知り
何かを思ったのか
白くま黒くまのことを娘に話してきかせました
そして娘がみた童話は1話にすぎず
本当はもっとたくさんの話があり
全ての舞台はこの島での話で
そしてその中心に黒くまがいることを教えてくれました
ジャーナリストは大きな古い書架から
1冊の本を取り出し
「どうかこの物語にでてくる村の娘に
この本を渡してほしい
それが黒くまの遺言だ」
そう言って町の娘に本を託しました。
【CAST】
+町の娘
+町のジャーナリスト
+黒くま
+白くま




