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知恵の足掛かり

「私を呼んでどうするの?」


「あぁ、性急だ。勢力は違えど、立場は同じ。急ぐことも無いだろう?」


 急ぐこともないって言われても、別に私は話すこともないし、ここに居たい訳でも無いんだけどね? それより休んだ方が良いんじゃない? フェイクライフって呼ぶと長いから、フェイクさんで良いかな、凄く具合悪そうに見える。


「早く話終わらせて、休んだ方が良いんじゃない?」


「あぁ、俺の姿が、どう見える?」


「んー、病人に見える」


 フェイクさんは苦笑してるみたい。でも、病人か働きすぎで体調崩してる人にしか見えないよ。私だって解ってるよ? 天使が病気とか、疲れて倒れるような事は無いんだろうなーって事くらいはね? でも、他に話す事もないんだもん。


「天使は、こうあれという想いに依って姿を保っている。法の天使が法の天使であるように、美の天使が美の天使であるように。あぁ、どうやら、俺の事を疲れてると思っている者が多いようだな」


 言ってること、回りくどいよ! 凄く回りくどいよ! つまり、フェイクさんの事を疲れてるんじゃないかって思ってる人が多いから、疲れてるような姿になっちゃうって事だよね? なんか天使ってよく解らないねー、悪魔の方が解りやすいような気がするよ。


「なんか、解りにくいね」


「あぁ、機械と同じようなものだ。こうあれと、その想いを元に創られるのだから。故に、俺はお前を呼んだ」


「あ、うん。そうなんだ?」


 もしかして、フェイクさんって人の話を聴かない系の人なのかな? それとも、私が話についていけてないだけ? もっとストレートに話してくれないかなぁー、理解する自信がないんだよ。


「問おう。俺は知恵の天使だ。ならば、知恵とは何だ」


「えっと、知識とか、そういうのじゃないの?」


 なんとなーくは解るけど、改めて言われるとどう説明したら良いのか解らないよね。それにしても、どうしてそんな質問するんだろ? 私に聞かれても大した受け答えなんて出来ないんだけど。


「多くの回答があるだろう。言わば、究極的な洞察だ。それをもって、俺は正しき道筋と解釈したのだ。ならば、正しき道へ導く事こそ役割なのだろう」


「あー、うん。そうなんだね?」


 そんな事言われても私はどう返事したら良いんだろ? 在り方とかそういう話なんだろうけど、まだ何も実感して無いんだよね。だから多分、権限とかっていう凄い力も使えないんだろうけど。


「正しき道へ導くのならば、正しさを知らなければならない。それこそが知恵と言うものだろう。あぁ、お前はどう思う。正しさとは何だ」


「えぇ、正しさとか言われてもよく解らないよ。初めから正しいとか、間違ってるとか、そんな事言っても意味ないんじゃないのかな?」


 私はそういうの考えても意味ないと思うんだよね。だって、どうすれば良いとか、そんなの解るわけ無いよ。なるようになるしかないんじゃないかな。今までそうだったようにね。


「あぁ、解っている。正しさなど存在しない。だが、知恵の天使たる俺は、正しくなければならない。そう望まれた故に、そうあるのだから」


「なんか、めんどくさいね」


 無いって解ってるのに、それを探し続けるって事だよね。それが天使の制約なのか、よく解らないけど、もっと自由になれても良いのにな。そういえば、悪魔も何かしばられたりするみたいだし、私も何かにしばられてるのかな?


「あぁ、天使は望まれて誕生する。救済を望まれ誕生した信仰の天使は、支配による救済を実行した。健全を望まれ誕生した節制の天使は、抑圧による健全な世界を目指した。慈愛を望まれ誕生した愛の天使は、愛を持つものだけを残す為選別し、持たぬ者を消し去った」


「あ、その一つだけなんか聞いたことある」


 信仰の天使と、節制の天使の事は知らないけど、愛の天使ってフォール君の事だよね。確か愛の教会だったっけ? 話を聞く限りうまく行ってなかったみたいだけどね、組織が無くなっちゃったみたいだし。


「未来を望まれ誕生した勇気の天使は、試練により可能性を引き出し未来を見出だそうとした。秩序を望まれ誕生した正義の天使は、法により全てを制御し秩序をもたらそうとした。次は知恵の天使、知恵を見出だし正しき道へ導くために、全てを知ろうとしている」


「ええっと、全部を知るっていうのが目的って事?」


「あぁ、だからこそ。紙上の折手は事実のみを収集する組織。多くの事実を集め、正しさを見出だすため、知恵を見出だすため。それ以上も、それ以下も何もない。例え勇者という詐称でさえ、そういった事実がある。それだけの話だ」


 うーん。フェイクさんの話を聞くと、今まで聞いてた紙上の折手の印象が違ってくるというか。考えても何か解りそうな気はしないから、そんな気がするとしか思えないんだけどね。


「私には難しい事解らないから何も言えないけど、それならなるようになるで良いんじゃないかな」


「あぁ、解っているのだろうな。俺の名が偽りの命というように、またそれも一つの事実だ。事実からは逃れられない。スフィア、お前は呑まれぬようにしろ。今はただ、導かれている事を理解しろ」


 うーん。何が言いたいのか結局よく解らなかったよ。フェイクさんはそれだけ言うと、いつの間にか運ばれてきてた紙の束を確認し始めた。もう話はおしまいって事なのかな? 待ってても仕方ないから、部屋から出ると青喇さんが待ってて、外まで案内してくれたよ。

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