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自ら定める在り方

「あー、何か疲れたなー」


「殆どお前の自業自得だけどな」


 やっと長い話とかが終わって、宿の布団に飛び込むと、ギレーアに冷たい目を向けられたよ。仕方ないじゃん、仕方ないじゃん! あんなことになるなんて思い付かないよ!


「私が勇者だって、変な話だよね」


「仕方ないだろ、そういう設定になったんだから」


「あーあー、なんであんな都合よく見つかっちゃったんだろうねー」


 紙上の折手に知られたからには、世界中に広まるから、私に勇者として行動しろってさー。そうじゃないと、この町の嘘がバレて凄く大変な事になっちゃうんだって。そうそう、この計画を考えたのは町長さんで、この剣を知り合いに打ってもらったんだって、そして、幾岐さんがお話にして噂を広めたって言ってた。


「そもそも、監視されてたんじゃないか?」


「え、どゆこと?」


「今まで聞いたことの無いような噂が急に出回れば、おかしいって思うだろ? それなら、監視しててもおかしくない。紙上の折手は、良くも悪くも関係なく事実を収集する組織だ」


 それなら、始めっから見られてて、私が引き抜いちゃったから、偶然を装おって集まってきたって事? それ、もう全部町長さんが悪いんじゃないかなぁ。完全に私巻き込まれただけじゃん。


「もう、めんどくさいなー」


「めんどくさいのは俺の方だ」


「まぁ、良いじゃん。私に付いてくるつもりだったんでしょ?」


「おまえなぁ」


 ギレーアは私と一緒に居たから、勇者の仲間ってことになっちゃったんだよね。だから、私と当分は一緒に居ないといけないし、姿を変えるわけにもいかなくなったってずっと文句言ってるよ。


「そんなにその姿でいるの嫌なの?」


「……いや、別にそんな事は無い」


 物凄く嫌そうな顔で言われてもね。折角美人って感じなのにもったいないよ。話し方だって凄く粗暴だし、もう少し何とかなんないのかなーって結構前から思ってた。


「ねぇ、もっと丁寧な話し方出来ないの?」


「急にどうしたんだよ」


「だって勇者だよ? 勇者パーティーだよ? あんまり乱暴な言い方はしない方が良いと思うなー」


 勇者ってなんだかよく解んないけど、町長さんが言うには観光に来た人に愛想よく接したりしたら良いんだって。それって勇者っていうよりも、アイドルみたいな感じじゃない? 私は別に嫌いじゃないんだけど、ギレーアって愛想良くないんだよねー。


「そんな事を俺に求めるなよ」


「とりあえず、最初はその俺っていうのを止めよ? ほら言ってみてよー、私って」


「ふざけんな、今さらそう簡単に変われるわけがないだろ」


 一度身に付いたものってなかなか忘れないっていうよね。そういえば、ギレーアってどれくらい生きてるんだろ。見た目だけで考えると、30行ってるようにはー、あまり見えないかも。そんな感じだけど見た目って当てにならないみたいだしね。


「やっぱり、長い間生きてきたの?」


「数えるのもバカらしくなる程度にはな」


 うん。今更変われるわけ無いだろって言いたくなるよね。実際の年月とかよく解んないけど、そういうものらしいし。ちょっと待って? そうなると、ギレーアはずっとこんな感じって事なのかな。友達とか居なさそう。


「ギレーアって、友達とか居るの?」


「急にどうしたんだよ?」


「だって、ずっとこんな感じって事は、友達出来なさそうって思ったから」


「お前、ものすごく失礼な奴だよな……?」


 確かに、気にしてる人にとってはあまり言わない方が良かったかも知れない。まぁ、ギレーアだからね、いっか。でも、反応したってことは、やっぱり気にしてるのかな? よし、それなら!


「大丈夫だよ! 私は友達だからね!」


「いや、別に俺は……」


 一緒にいることになるんだから、仲良しな方が良いよね! それに、やっぱり色んな人と仲良くなった方が良いと思うんだよね。ずっと1人でいるなんて面白くなさそうだもん。


「ほら、もっと愛想良くしよーよ。ほらほらー」


「おい! やめろ!」


 そのぶすっとしてる顔を笑顔になるようにって引っ張ったら怒られた。力を入れすぎたみたい、頬が赤くなってる。この身体、微妙に力加減が難しいんだよね。後で練習しとかないと、相手の手とかぐしゃってしたらビックリになっちゃう。


「そんなに嫌なんだ」


「そもそもな、俺達悪魔は、自らの意志が、在り方にも、姿にも、その精神性にもなり得るんだ。そう簡単に変わることは出来ない」


 前にも何かそんな事言ってたよね。でも、確かギレーアはまだ在り方を受け入れてないとか、そんな感じだったはず。それなら、まだ決まったって事にはならないんじゃないかな?


「でも、ギレーアはまだだよね?」


「まぁ、俺が気軽に姿を変えられる理由でもあるからな。だけど、在り方は他人によって見出だされるものじゃない。これだけは、どの従者も同じだ」


「うーん。何だか良く解らないよ」


「その内わかるだろ。あー、そうだ。お前は寝たりするのか?」


 そういえば、そうだったね。布団に飛び込んだものの、全然眠いとかそういうのはないんだよ。もしかして、寝る必要無かったりするのかも。うん、機械だからね。それは、そうかな


「うーん。あまり眠くないー。ギレーアは寝たりするの?」


「悪魔は寝ようと思えば寝られるが、別に寝る必要もないな」


 そうなるとー、朝まで時間があるって事だよね。明日になったらもしかしたら色々お話しないといけないかもだし、ギレーアにもちゃんと話できるようになってもらわないと!


「それなら、私が仲良くできる方法教えてあげるね!」


「おい! なんでそうなった! 俺の話を聞いてたか!?」

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