五十嵐本家の長は考え中
真姫奈ちゃん、なんで、例の男に抱きあげられてるんですか?
早く帰りましょう。
「私、守護戦士になれないですよね。」
真姫奈ちゃんが例の男に抱き込まれたまま言いました。
まったく…手の早い事です。
まだ、例のビルの中です。
あたりはバタバタしていて人身売買のスタッフ及び客を拘束する。
守護戦士がいっぱいです。
ヒロシ・ファーリィー特級守護戦士も例の男になんか言おうとしてましたが。
さっき、花山一樹一級守護戦士に呼ばれて向こうに行きました。
さらわれてた、占い師が捕まってる所が見つかったからです。
「真姫奈、オレのところへこい。」
例の男…ガイウス・ヒフィゼが真姫奈ちゃんに
私の目の前でプロポーズしやがりました。
「ヒフィゼギルド管理官長にご迷惑はかけられません。」
真姫奈ちゃんが泣きそうになりながら言いました。
うーん、誤解しているようです。
全国守護戦士協会は真姫奈ちゃんは被害者認定なんです。
なんと言っても、オークションかけられたのが、証拠です。
かけられなくても、無理矢理、オーキアス医師の助手をさせられてる時点で、被害者です。
まあ、誘拐被害者ですけどね。
「オレは迷惑なんて思ってない、部屋はいくらでも空いてる、グーレラーシャで暮らそう。」
ガイウス・ヒフィゼがそういって真姫奈ちゃんの頭を撫でた。
「そんな、申し訳ないです。」
真姫奈ちゃんが言った。
なんか、通じてないみたいです。
あわれになってきました。
でも、大事な側近、確保のために情けは無用です。
「真姫奈ちゃん、大丈夫です、守護戦士になれますよ。」
私は言いました。
「本当ですか?文月さん。」
真姫奈ちゃんの顔が明るくなったのがわかりました。
「ええ、真姫奈ちゃんは被害者ですから。」
被害者のもう一人は私に取っては
申し訳ないですがおまけです。
「でも、オーキアスの指示で色々してましたし。」
真姫奈ちゃんがしょぼんと例の男の胸に顔をうずめた。
例の男がそれはそれは嬉しそうに真姫奈ちゃんを抱き込みました。
気に入らないです。
「オーウェンとか言う、アレシマ軍州国の男性がなにを言っても、真姫奈ちゃんは被害者なので大丈夫です。」
ええ、それに依頼を受けましたし。
アレシマ軍州国の将軍から。
部下を助けてくれと。
「アレシマ軍州国?どこですか?そういえば、セファムって何者?」
真姫奈ちゃんが聞きました。
まあ、バイト先のパーウェーナ世界じゃありませんからね。
「紫世界と言う異世界の魔法使いです、かつて、古ハタヤ王国と言う国の貴族で、あちらでも人身売買をしていたようです。」
情報収集は得意です。
「そんな危ないやつがこの世界に渡ったのに、気がつかなかったのか?」
例の男が言った。
「情報の共有が遅れたんです、それに、かつての被害者がこの世界を離れていたものですから。」
早めに入っていれば、こんなことにはなりません。
「長、占い師さんたちは全員保護しました。」
一樹さんが言いました。
わざわざ、シレルフィール遺跡からお嫁さんとお子さんをおいて出てきたのは、かなり年下の従妹の真姫奈ちゃんが心配だからですね。
アクアウィータ王族の血をたしか二人とも引いてたはずです。
だから、大斧が二人とも武器なんです。
『水の使者』が『水の斧』で『塔世界』を動かす時に一緒に戦えるようにらしいですね。
アクアウィータ王族の血をひくこの二人は雰囲気が柔らかくて本当に守護戦士?って感じです。
器量もいいですし…。
まあ…一樹さんには隠れ筋肉があるんですが…。
「そうですか…ユカリさんは落ち着きましたか?」
もう一人の被害者は恋人に抱きあげられたまま泣きまくったのでまだ話を聞いていません。
「あっちは甘甘過ぎていたたまれないんです…こっちもですね…。」
一樹さんが遠い目をした。
「…まあ…そうですね。」
どっかのロマンス小説のシークがスーツ姿の美少女をさらいそうな感じです。
なんで、紺のスーツ姿なんですか?
スカートだし…オーキアスの趣味?
それでも…オーウェンを倒すあたりさすが五十嵐の分家、風見家ですよね。
そして…私の未来の側近です。
「ともかく、大丈夫だから医者に行くのです、明正和次元に帰りましょうなのです。」
ええ、例の男になんてやらないのです。
「はい。」
真姫奈ちゃんがそういって例の男の腕の中から出ようとした。
「真姫奈?オレはもうお前をこの腕の中から出す気はないぞ。」
例の男が色気をまとって言いました。
噂のグーレラーシャの男の行きすぎた求愛行動ですね。
どうにして引き離しますかね。
「ヒフィゼギルド管理官長…私、大丈夫ですから。」
真姫奈ちゃんはそう言ってまだ抱え込もうとする例の男の腕を力づくでといて
床に降りました。
「真姫奈、もどってこい。」
狂気を少しはらんだ色っぽい目で例の男が言いました。
なにかしでかしたら攻撃しないといけません。
私は刀の柄に手をかけました。
「このことがかたずいたら、また、傭兵ギルドでバイトしていいんですか?ありがとうございます。」
真姫奈ちゃんがとんちんかんな事をいって嬉しそうに笑いました。
「…ああ、まってる。」
例の男が少し正気に戻ったようです。
高校生に求愛行動なんて…早いです。
今度しやがったら、完膚なきまでにたたきつぶします。
「真姫奈ちゃん、帰りましょう。」
私は真姫奈ちゃんの手を握っていったのです。
「はい…ヒフィゼギルド管理官長…皆さん助けてくれてありがとうございました。」
真姫奈ちゃんが言いました。
「真姫奈、良かった。」
例の男が甘い笑みをうかべていったのです。
真姫奈ちゃんが真っ赤です。
たぶん、絶対間違いなく、真姫奈ちゃんは
例の男が好きなのです。
でも…五十嵐本家の未来の為に…。
大事な未来の側近をあきらめるわけにいきません。
例の男…ガイウス・ヒフィゼからなんとしても
真姫奈ちゃんの心を取り戻さなければなりません。
どんな若手守護戦士が良いですかね…。
真姫奈ちゃんのお婿さんは…。
かえったら、ふみふみワンコと五十嵐の長老と相談です。
内弟子の立場をこちらから利用させていただきます。
例えば…一緒に朝稽古とか…守護業務の指導役につけたりとか…。
ともかく…出あわせないといけないですよね。
グーレラーシャ傭兵国なんて…パーウェーナ世界になんてお嫁にやりません。
葉月の二の舞はごめんですからね。




