プロローグ
耳を覆っている。
両手で、力強く。
強く押しつけた手が、ぶるぶると震えている。
気がついたら、わたしはそうしてうずくまっている。見上げると、うねるような虹色の光の先にどす黒い雲が立ち込め、大粒の雨を送り出している。
その先に、空を泳ぐようにして浮かぶ黒い物体がある。
龍。
あれは、龍だ。
無心で龍のその姿を目に焼き付ける。巨大な龍は、どす黒い空を悠々と泳ぎ続けていた。……何か考えなければいけないのに、心は動かない。
地響きのよう音。自分の手を刺し貫いてくる強い音が、幾重にもなって視界を揺らしている。
ーーー二十二世紀、日本。
わたしを押し流していったのは、時だけだったのだろうか。何が今のわたしをつくりあげたのだろう。わたしはいつになったら、自分を赦せるのだろう。
赦す……? わたしは、赦されたいのだろうか。わからない。
ただ、世界だけがそこに在る。
わたしはそれを、憎いと思う。
見つけてくださってありがとうございます!♡
こちらの作品は、中高生の時になんとなく構想していた漫画を、23歳になってアニメ化を目指して小説として改めて描いたものです。
ディストピアSFファンタジーと銘打ちましたが、その核にあるのは「アイデンティティとは?」「生きるとは?」「いのちとは?」という哲学的なものです。
絶対に後悔させません。少しずつ改稿しながら公開していきます。ぜひ最後までお付き合いいただけると嬉しいです。(そして忌憚なきご意見をお寄せください)




