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そして満月の夜に
中でも全身銀色の毛を輝かせる虎が目の前に立ちはだかったときには、エルダも一巻の終わりと腹をくくった。あきらめなかったのはむしろフェルアとフォウロであった。二人は傷つきながらもテフォプを抱えたエルダを城へと進ませた。母子狼は近くにサルの群れがいるのに気づき、フォウロはなんとか一匹の子猿を虎の方に引き寄せた。子猿を救おうと、何百匹という猿がシルバータイガーに襲いかかり、ついには倒してしまったのだった。
その夜は天高く満月が美しく輝いた。月光の中、フェルアは人間の女性の姿と化してその美しさをエルダに見せつけた。長い黒髪の、艶めかしい女性の姿がそこにあった。エルダの心はゆらいだ。この闇の森の中、フェルアと子供と末永く暮らすのも悪くないという考えが心を過ぎった。




