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5話「妹たちと温泉旅行」2日目 菜摘side

「おーい、菜摘。 起きろ! 海鮮丼」

「え! 海鮮丼? どこ? どこ? ってないじゃん! 陽ちゃんの嘘つき!」

「おはよう菜摘。 そろそろ朝食の時間だぞ起きろよ」

「おー! 朝食かあ! 起きる起きる!」


私、松江菜摘は陽ちゃんの幼馴染だ。

生まれた頃からの幼馴染でかなりの長い付き合いだ。

そんな一番近い存在の陽ちゃんに隠していることがある。

それは……私は本当は天然キャラではないことだ。

恐らく、学校の皆やお父さんとお母さんも気づいていないと思う。

全ては陽ちゃんに「天然な菜摘可愛い」って思ってもらって、私のことを好きになってもらうためなのだ。

だから! 今日も私は天然! 天然なのだ!

ちなみに海鮮丼に反応して起きるのは本当だ。


「陽兄〜。 あーんしてー」

「バーカ。 しねえよ」

「いいじゃん。 あーん」


けっ。 この兄妹の妹はいちいち陽ちゃんにベタベタしやがって……

陽ちゃんは私のものだ!


「陽ちゃん、あーん」


私も対抗して陽ちゃんにあーんする。


「菜摘も対抗すんじゃねえ!」

「えへへ〜、兄妹仲よさそうだったからさあ〜。 私兄妹いないから羨ましいんだあ〜」


あはは〜と私は微笑む。

双子の妹からは睨まれてるが、陽ちゃんには「まったく、菜摘は天然だなあ」って思われてるだろう。 よしっ。


「陽兄〜、あーん!」

「んぐっ!」


双子の妹は陽ちゃんの口へ無理やりほうれん草を突っ込んだ。


「陽兄、美味しい〜?」

「ごほっ……ごほっ。 バカヤロウ! 無理やり突っ込むやつがあるか!」


くそが!!!!

私も陽ちゃんにあーんしたい!!!


「ニヒヒッ。 ごめんね陽兄〜」


双子の妹は陽ちゃんに微笑み、そして私の顔を見てニヤリと笑った。


こ、このくそアマあああ!!!


「いいねえ〜、兄妹仲良しが一番だねっ!」


私は頑張って正気を保ってそんなことを言う。

ここの中では勿論ブチ切れている。

これが十数年かけて築き上げてきた私の天然キャラだ!

陽ちゃんにイマイチ効いているかわからないけど……

とにかくこの旅行中に一歩でも陽ちゃんとの距離を縮めるんだ!

私はそう決意し、右手の拳を強く握りしめた。

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