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異界の夏山は碧き世界を抱えて  作者: 妃 大和


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5/5

5. やってきました乙女のピンチ

 スマホから聞こえる電子音を半寝ぼけの頭で聞いて、私はベットから出た。

 ゴソゴソと身支度を整えていると、konkonとノックの音。シュリさんの登場です。

「透子ちゃん、おはよう。早いけど、朝食よ。」

 シュリさんの持つお盆の上には、サンドイッチとオレンジジュースらしき飲み物が乗っていた。お行儀が悪いけど、口に食べ物を入れながら荷物の確認をする。


 5時にお屋敷の玄関前に集合です。

 今回の視察兼私の観光案内に行くのは、私とうさ君。そしてうさ君の護衛4人とお世話係の2人。計8人。女子は私だけ。まあ、日帰りだし。フィアンセの私への待遇は良いはずと思う。

 従者のシュアくんとシュリさんはパーティの準備が忙しく不参加です。ラジェールさんも同様で。

 …いたいた。マロンちゃんも女子だったね。

 参加者は皆馬にに乗っていくので、馬も8頭いる。壮観だわ。ひときわ目を引くのはやっぱりうさ君の黒、ザ・ボスって感じだよね。新人のマロンちゃんのことチャンと見てねってことで、私は黒の脇腹をポンポンと撫でた。


『アルプの村はキリマジャー山の中腹にある。王都の北側を通ってガコウ川を渡ったところで休憩をとる。昼食はアルプ村で。知っているだろうが、レディトーコは初めての遠乗りだ。サポートをよろしく頼む。』


 うさ君の言葉に続いて私も頭を下げる。皆さんの協力無しでは何も出来ません。

 それにしても、私の事うさ君はレディトーコって呼ぶんだね。なんか照れくさい。私も皆の前ではミスターディと呼ぶべきかな。

 地球の知っている地名に似ているせいか、すごい山に向かうような気がしちゃう。

 身体に斜めにカバンをかけて、マロンちゃんにシュア君の手助けで乗って出発です。



 遠出なら本当は鞍無しで馬には乗った方が楽らしいけど、まだ鞍無しで乗ったことない私です。

 パカポコと軽快なリズムで馬の隊列は進んで行く。

 私が特別指示を出さなくても、かしこいマロンちゃんは他の馬たちにちゃんと合わせてついていくから素晴らしい。後でしっかりナデナデしなくてはね。

 フィアンセ決定レースの時はひたすら一生懸命だったから、お出掛けしていても周りの景色を楽しむ余裕がなかった。今回は見える見える。見たことの無い景色を楽しむ。観光ですよ。

 いやあ、こんな遠くまで見渡せるなんて初めてだわ。高い建物もない。土が場所によって色が違うなんて初めて知った。緑が何色もあることも。空気ににおいもある。日差しの暑さが場所によって全然違うのは裏月特有の気候のせいだし。


「楽しんでいるか?」


 うさ君が聞いてきた。

 単純に「うん。」と大きく私はうなずく。

 スピードを上げて隊列はグングン進んで行った。


 ザバザバと馬たちはガコウ川の浅瀬を渡って行く。わー、ドラマのワンシーンみたい。水綺麗だわ。

 渡った先のちょっと広いところで休憩です。


 ちょっと強面な感じの獣人さんがうさ君を取り囲むように見張りに立っている。護衛だもんね。

 2人のほぼ人型の獣人さんがテキパキと敷物を引いて、簡易かまどで湯を沸かし軽食の準備です。

 私とうさ君は馬達にねぎらいの言葉をかけて、水と人参みたいな黄色い野菜を与える。と皆でそれぞれの役割をこなす。

 ハーブティーと菓子パンみたいなのをもらって休憩です。私とうさ君以外は交代で休憩なのが申し訳ない。


 リラックスしてきて首や手首をグルグルしたりして、身体をほぐしていたら…来ました。乙女のピンチ!自然の摂理、物理現象!出物腫れ物所嫌わずです。

 レースの時は緊張していたし、チェックポイントにはトイレがあったんだよね。ここ大自然ではどうする?

 意を決してうさ君に質問です。


「うさ君、あのう、そのう…トイレに行きたいんだけど。」


 語尾の最後がやや小さくなったのはしょうが無いでしょ。久々にするうさ君との真面目な会話がこれとは。


「はい。」とうさ君に渡されたのは、棒がついた布きれとスコップ。も、もしや…思わずうさ君の顔を見る。

 大まじめに「囲って、穴掘って、埋めてね。あんまり遠くには行かないように。」と言われちゃいました。少しでも離れたいのが乙女でしょ。私が動き出したら護衛の1人が一緒に来ようとしたので、思わず「しっ、しっ。」としたのは許して欲しい。

うさ君が大笑いしているの見ましたよ。もう、笑わないでよ。私だって大まじめなんです。



 それから再び軽快に馬を繰り、草原や森を抜け、上の方に雪が見える大きな山の麓で2度目の休憩をした。

「寒くなる」と言われたとおり山道を登っていくとだんだんと涼しくなり、うさ君からマントを受け取ってはおる。うさ君カラーの緑色です。

 木々は広葉樹ぽいのから針葉樹ぽいものへと変わり、太陽が一番高くなって少しした頃、ログハウスのようなかわいい家が集まっている集落に到着した。



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