4.5 疑問
ギース隊長視点。
短いです。
「ふう」
溜め息を吐きながら、私は手に取った厚みのある資料を閉じた。
その本は、長年この国に落ちてくる異界人を研究したデータが記載されている書物だ。
先程、我々と違う異世界から落ちてきたという女性を保護した。黒い髪に黒い鱗はまさに咎人である証で、すぐに捕まえなければいけないと思っていたが、こうした経験が豊富である私自身も躊躇う程、その女性の瞳は凛としていて、鱗も光沢があり美しかった。
通常、咎人である黒い鱗の異界人はもっと瞳の色は濁り、艶のないどす黒さがあるのだ。その世界でどんな罪を犯してきたかはこちらが聞く前に自慢のように話し、脅してきたやつもいる。
卑しい笑みを浮かべて媚びへつらうか、晒された体を使って難を逃れようとする女もいた。
しかし、あの女性は違った。多少の戸惑いはあるものの、落ち着いた様子でライズ達に連れられて行った。
大体は、異界人嫌いのマクザとひと悶着あるのだが、それもなく挙句の果てには怪我をしていたレイズを気遣ったのだという。
彼女からの要求は、布一枚のみ。
晒された体を隠したいという理由から。
「何かひっかかるな……」
ふしだらな気持ちではなく、あの女性の素性を知りたい。
確か、この国に落ちる前の選別を取り仕切るのは……。
その時、勢いよく書庫のドアがノックされる。
「失礼いたします! ギース隊長はおられますか⁉ 先程の落ち人の件で至急お伝えしたい事が……!」
静寂なる書庫には似つかわしくない声量で私を呼ぶ、隊員に返事をして、私は書庫を出た。




