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二章 五話 シャルドネの想い


「それから、そのモンスターはすぐさま私の仲間を襲って喰ったわ。

助けを求める仲間を引き離そうとしたけどモンスターは無残にも引きちぎった。その後も私の目の前で次々と仲間が喰われていった。腕を引きちぎられ、足を引きちぎられる。

その光景を見て私は恐怖のあまりに逃げ出したわ。他の仲間も逃げたけどモンスターに捕まって悲鳴をあげながら死んだ。残ったのは私だけ」


「可哀想に…」


「だから、私は奴らを皆殺しにすることに決めた。そして、仲間の仇を打つまで泣くことも止めた」


「だから、教官に言われたときそう言ったのか…」


「けっ!辛気臭いこと言ってんな、てめぇら!」それをいきなり言ったのはフラッタだった。

頬杖をつきこちらを睨んでいる。



「自分から命を投げ出してモンスターを殺すとか馬鹿じゃねえのか?生きて楽しけりゃいいじゃねぇかよ!」


「貴様、私の仲間を愚弄するのか!」

シャルドネがテーブルを叩いて立ち上がる。



「そうじゃねぇよ、てめぇの考え方が甘いって言ってんだよ。生きたくても生きれない奴らだっているんだ!てめぇは自分の命を蔑ろにしすぎなんだよ!」



「私は私のすべきことをしている!貴様に言われる道理はない!」


「はぁ〜、ケッ!おめぇだけが辛い想いしてんじゃねぇぞ!エリナはな………ちっ…!俺らしくねぇ!邪魔だ!どけッ!」

そう言うとフラッタは椅子を蹴り飛ばし食堂を出ていった。



「なんなんだ奴は、あんな動機の奴に言われたくない!…」

シャルドネが苛立っていた。


「まあ、落ち着いて」


「くそう!」

椅子に座り、怒りにまかせてシャルドネがパンを勢いよく食べる。


結構食べるんだな…。



フラッタか、確か奴の動機はこの世界で遊んで暮らすだったか。

それだけの理由であの過酷な訓練に耐えられるのだろうか?

なんだか腑に落ちない。

しばらく、俺とシャルドネは二人で会話して食事をし終えた。


「シャルドネ、頑張って一緒に合格しような!」


「ありがとう…あなたも頑張ってね応援してる」




にっこりとシャルドネが笑顔を見せた。

美人だなぁ。そう思わざる負えない美しさだった。



そろそろ、いい時間だし寝るか…。

ここに来るまでに見た部屋割りだと確か寝室は二階だったはず

シャルドネと別れ二階に進む。

俺の部屋に着くと、俺はミアのことを思い出しコンタクトを取ることにした。

ウィンドウのパーティー欄を開いてメンバーのミアを探してタッチする。

ウィンドウがキーボードに変わったのでコメントを入力した。


『>>ミア

そっちは、どう?大丈夫か?』


しばらくすると返信が来た。



『>>ラグナシアさん

はい、大丈夫です。教官に才能があるって褒められちゃいました(^^)ノ』



『>>ミア

凄いじゃん!こっちはめちゃくちゃしごかれてヤバかった。素振り10000回だぜ! 』



『>>ラグナシアさん

ラグナシアさん凄いんですね!10000回もですか!』



『>>ミア

明日のメニューも厳しいだろうなぁ…。ミアも頑張ってね!わしわし』



『>>ラグナシアさん

あうう〜。やっぱりラグナシアさん達といないと寂しいなぁ。早く会いたい。あと、そろそろ消灯時間らしいのでラグナシアさんおやすみなさいです(-_-)zzz』



『>>ミア

うん、俺も寝るよ。また明日、おやすみミア』



そうコメントを返信すると俺はベッドに大の字になり。

うとうとしてきたので寝てしまった。


「チュンチュンチュン」鳥のさえずりが聞こえる。


もう、朝か。

ふああと言いながら洗面所へ行き顔を洗う。

パシャパシャと顔を洗ってみると眠気が醒めた。

鏡をみて

「よし!行くぞ!」

そう言いながら気合いを入れる。


それから、階段を降りて朝食を取りにいった。

今日の訓練に向けて腹ごしらえを済ませ。

ブラックコーヒーを飲む。



しばらく、コーヒーを飲んでいると外から鐘の音が聞こえた。



「集合ー!」




志願者達が一斉に外へ出て急いで昨日のように整列する。


「揃ったな! では、今日の訓練を初める!」


「今日は、乗馬の訓練だ! 馬を自在に操りモンスター共に捕まらないようにする。騎兵スキルは技が豊富にあり。スキルレベルが上がれば並みのモンスターでは近づけなくなる!」


「まずは、馬の扱い方からだ!テキストを読み覚えたものから志願しろ!それと、馬は心配せずとも現実の馬よりは易しくなっている」


そう言うと教官はウィンドウを開き、皆にデータを配布した。


約三十〜四十分程するとテキストを読み終えたものたちがぞろぞろと並ぶ。



「馬は、十頭用意してある。十人ずつ交代でまずは、ゆっくりと馬を歩かせ外周しろ!」


「はい!」


「軽速歩始め!」


すかさず鞭を持ち、志願者十人が馬に跨り外周する。


意外と馬を歩かせるのは難しい。鐙に乗ってバランスを取るのが容易ではないし。軽速歩で立ったり座ったりするのはなかなか大変だ。現実と違って易しくなっている筈なのにテキスト通りにはいかない。

覚えるより、慣れろということか。


脚を使い馬に指示を出すと歩様が変わる。

志願者全体で五周ほどするとやっと軽速歩が身についてきた。


「よし、次は駆歩だ!」

難易度が上がる。今度は正しい手前で、駆歩発進だ。この頃には志願者の中に落馬してしまう者が現れてきた。


これも才能の差というものか。

しかし、ここまで来ると楽しい。風を切る感覚と馬を扱えている楽しさが志願者全体に染み渡る。乗っている、志願者の中にもちらほら楽しさのあまり笑顔になってしまう者がいた。






志願者全体が七周を迎えた頃には全体が駆歩をマスターできる様になっていた──




特に、シャルドネが一番様になっている。彼女は乗馬の経験でもあるのだろうか? 正しい姿勢と馬への指示が絶妙だ。

その姿には気品が感じられる。

志願者の中にはその美しさに注視するものもいただろう。


「よし、次。速歩!」


ここからが難しかった。志願者の中でも落馬するもの増えてきた。馬との連携が出来ていないと馬が暴れ出し落馬する。

注意すべきポイントだ。


アリサ・クルーエルなどはその典型ですぐ落馬してしまう。

「うぐぅう」

と呻く彼女は非常に痛々しい。しかし、彼女の凄い所は諦めないことだ。先の素振りでも最下位だったのにそれでもめげない。

確実に技術をモノにしていっている。この速歩が終わる頃には、彼女は全体の真ん中に食い込む位になっていた。



「よし!次は、切り返しの練習だ!軽速歩、駆歩、速歩を織り交ぜターンしろ!」


ここまで、くると今までの応用である。基礎をしっかり習得していれば訳わない。


皆、自在に馬を扱えるようになってきた。

この時点でも動きが鈍いモンスターならすぐにでも狩り取れるだろう。


念入りに練習する。

五周ほどすれば、全体の志願者がほぼ習得出来てきた。


「次は、剣を持ち速足で剣を振る練習だ!難易度は高くなるが頑張れ!」教官が声をあげる。


これが、難しかった。慣れてきたものでも剣を振るとバランスが取れずに次々と落馬する。

昨日練習した、『閃撃』を使ってみたが威力が半減するばかりか発動するのも難しい。


何度も落馬した。

そのせいもあり、落馬の衝撃で体にだいぶダメージが蓄積するのだった。





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