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メゾン格ゲー  作者: みおま ウス
第四章 対決!三魔像編
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第十一話 無敵技には隙がある

 検証せねばならない。

 希望の光が差してきたのだから、私のやる気は天元突破だ。

 いくぞ!



 ドフン


 どうでもいいんです……



 内なる力を分散させると心の力までも放出されるのか。

 この瞬間、私はまさに無気力人間。


 だらけた私を敵の拳が打つ。

 だがこの一コンマ何秒程の間は、ほわわわ〜んと攻撃の力が何処へと消えていく。

 内なる力が外に出され、外力を巻き込んで分散し虚空へと消えていく。


 無敵だ。


 そして敵もノーダメージ。

 それは当然、私が敵に攻撃できないからである。


 何よこの“じっとしてたら敵の攻撃は無効”の能力みたいな仕様は。

 いや気力が無くなる分タチが悪い。

 全くの無意味ではないけれど。

 ないけれども、使い方が限られすぎでしょう。

 これじゃ攻撃のできない“避け”と同じでは。


 無敵中に攻撃できまいかと、なんとか事前に頑張ろうとしていても、無敵中は思ってしまう。


 どうでもいいんです……


 一体どうすればいいんだっ!?

 やる気を出してチャレンジしては無気力になる。

 中庸、中道とは対極な心のありように、私は人生を歩むことの難しさを知った。








「ご主人様〜難しい顔してないで、ご飯でも食べたらどうでありますか?」


 悩む私にレベッカが笑顔で勧めてくる。

 心遣いゆえ……ではない。

 奴のヨダレを見ればその心は丸分かりだ。

 そう、人化して食の楽しみ方を覚えた故の、欲望に忠実なだけの言動である。


 食材のゲットは容易い。

 修行の合間に探索も続けており、通常の魔物が出る場所も発見しているんでね。


「自分で料理すれば?」

「くわ……」


 ジワ、と涙を浮かべられると私がいじめているみたいじゃないか。

 料理を覚えないのが悪いのに。

 仕方ないから今日だけ、今回だけ、と料理に取り掛かる。


「くわーい! であります!」


 箸とフォークを振り上げ喜びを示すのはいいが、テーブルを離れ手伝ってはどうだろうか。

 完成した料理を運びつつ、私は魔物がペットフードをドロップすることを願わずにはいられなかった。


「あ!」


 無敵中攻撃やら魔物ドロップやらについて考えごとをしていたら、何も無い所で躓いてしまった。

 倒れる先にはレベッカが振り上げた箸とフォークが……!


 ドフン


 ここ最近の修行のせいで、つい無敵を発動させてしまった。

 箸とフォークぐらい何とでもなったのに。

 無気力が皿を持つことも億劫にさせる。


「はべらっ!?」


 放り出された皿に目を奪われたレベッカは、倒れかける私の頭突きを顔面でまともに受けた。

 痛そうだけど大したダメージではないだろう。

 不意打ちを受け驚いた、というのが実際のところではないか。


 いいよいいよ。

 これは大いなるヒント、いや答えそのものと言っても過言ではない。


 要するに攻撃を仕掛けておけば良いのだ。

 無気力でやる気が無くなるその前に。


 よし、そうと分かれば後は色んな技を無敵に組み合わせるだけだ!

 くくく、夢が広がり私のやる気は最高潮よ。








 む、難しい。


 予想はしていたけど、無気力時にはだらけるから、姿勢の制御ができない。


 今のところ成功したのは自爆技のみ。

 自分を中心に魔法を仕掛け、無敵中に炸裂するように調節すればいい。

 それが意味あるのかは分からないけれど。

 魔法を炸裂させてガードすればいいだけのような気もするし。

 敵に囲まれて身動きが取れないとか、猛攻に耐えられないで距離を取りたいとか、そんなケースに使うかもしれないぐらいかな。



 自爆技以外だが、地に足を付けた状態での攻撃は絶対に無理だ。

 パンチだろうがキックだろうが頭突きだろうが、全て動作の途中でヘニャヘニャと力を失い、敵に体を預けるぐらいにしかならなかった。

 ラッキー(マンの)パンチの方がまだ勢いがあるだろう。



 比較的相性が良さそうなのが突進系だ。

 トンダ得意の超頭突きや、ブランク印の回転アタックなど、地面と水平に敵に体当たりする技は、慣性で何とかなりそう。


 ーーと思ったけどこれらも中々難しい。


 超頭突きはピンと伸びた体が真っ直ぐ全体重を敵に突き立てることで最大の威力を発揮するものだ。


 回転アタックは鋭い回転が体を開こうとするから、それを押さえつけるのにかなりの力を必要とする。


 どちらも体の力が抜けると威力はガタ落ちなのだ。

 勢いは確保できる。

 後はいかに衝突の瞬間に体を固めるか。




 さて試してみると、これがまた難問であった。


 力が抜けるのなら魔法でどうよ、とやってみた。

 土属性で自分を覆い固めてはどうか。

 きっとゴーレムが戦っているみたいで格好良くはないだろうと、それでも威力を確保できるなら良かろうと我慢した。

 しかし魔法は無敵が発動した瞬間に霧散した。


 なるほど、外力を無効化するのだから、自身を覆った魔法も無効になるのは当然か。

 ふうむ困った。




 困った困ったと言いつつも、試行錯誤を重ねて様々な技に無敵を取り入れる。


 地面から放物線を描き敵に両足蹴りをする技。

 地面を離れた直後に無敵になると、頭が地面を向き、足が空を向く方に回転してしまう。

 これは放物線の頂点で脚が下を向き始めてから無敵になれば、何とか足を敵に当てることができる。



 無敵技の王道、対空系飛び上がり攻撃。

 その場ジャンプアッパーなら拳を振り上げながらジャンプして無敵になれば、勢いで飛び上がり拳で天を突ける。

 脚を振り上げジャンプするのも同じ。

 どちらも体の力が抜けるから敵に当たると軸がぶれて威力に欠ける。


 また、どうしても力感の無さがカッコ悪い。

 ゾンビが攻撃してるような生気の無さを感じるから。


 でも、とりあえずこれらを取り入れておいて、実戦で洗練させていこうかと仮決定した。








 実戦で思わぬ発見をした。


 無敵技は普通に当ててもやはり弱い。

 しかし、敵の攻撃を無効にする形で、つまりカウンターで当てた時には大変高い威力を発揮するのだ。


 そりゃそうだろって?


 そんな普通のカウンター理論じゃないんです。

 敵の攻撃が私に当たって無効化されると同時に私の攻撃が当たると、敵の攻撃がそのまま威力に上乗せされるんです。


 え? それがカウンターじゃないかって?


 だから違うんですってば。

 攻撃をそのまま反射してるレベルの話なんです。


 外力はすぐ消失しているのかと思ったけれど、どうやら消える前のほんの一瞬、私に弾かれているらしい。


 いい。

 これはいい。

 無気力になるが故の、無敵直後の隙の多さはあるが、それも無敵必殺技だからこそ、って感じじゃないか。

 これぞ格ゲーに相応しい技よ。

 私はとうとう長年の研究を結実させたのだ。








 それから十数日を無敵技の習熟に費やした。

 やはりカウンターで敵に当てるのは難しい。

 無敵と攻撃のタイミングを誤ると空振りしてしまう。

 こんなところも格ゲーチックだ。

 じっくりやり込んだお陰で、それも大分慣れてきたが。


 それにしても久しぶりに格ゲーを堪能した気分だ。

 できないことを懸命に練習してできるようになるのは楽しい。


 懐かしき思い出に浸らせてくれたこのステージに感謝である。

 三魔像にも、これに関しては礼を言いたい。


 さて、そろそろここを出る時か。

 お別れ前に超獣とスーパー超獣、原子力ザコで我が力を測るとしよう。

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