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闇ニ玉散レ百剱  作者: 亜空間会話(以下略)
王歴8年:灰白はやがて黒へ
18/61

Tales1「離れ形見」

 世界を理解するために必要なパーツ、それが「Tales」です。今回は離れ形見について。


 どうぞ。

 三つの頭を持つ蛇と出会った騎士は、生き残るべく必死に戦った。蛇とは思えぬ力を持ち、青白く輝く角を持ったそれを倒すことができず、ついには両者倒れ込むことと相成った。どちらも同じときに起き上がり、そして互いの命をつなぐことに力を注いだ。食物を集め、体を温め、彼らは一時的に協力し合う。


 騎士は蛇の背に乗せられて祖国へと帰還し、別れ際にその背から落ちた鱗を受け取った。不思議なことに、その鱗は体から離れても体にくっついているときと同じ状態を保っている。騎士は何かの縁を感じ、その鱗を大事に持つことに決めた。


 ある日、鱗が深い青の輝きを放ち、以前とは比べ物にならない力を感じさせることに気付いた騎士は、蛇の成長を察した。鱗自体の大きさも変わり、手に持つことが危険になったことで、彼はそれを宝物として保管した。同じ時期に見つかった「蒼竜蛇」は、奇妙なほどおとなしく、人間には危害を加えなかったと伝わっている。


 年月は経ち、騎士は衰えて代を息子に譲った。そうして騎士が死ぬ前夜、街の近くに巨大な三つ首の竜が現れ、その死の瞬間には長い叫びが轟いたという。その夜が明けた翌日、蔵の鱗はまた大きくなり、今度は永劫にも近い時間を経た氷のような色彩を宿していた。


 しばらく街の近くにいた氷竜蛇は、新天地を求めてグレベルス痕源野から飛んできた「響鳴竜」と恐るべき争いを繰り広げ、どうにか街には被害を出さずかれを退けた。その代償は大きく、攻撃のほとんどを身に受けた氷竜蛇は鱗という鱗を剥がし、甲殻のほとんどが弾け、血にまみれながら倒れ伏した。


 そのとき蔵の掃除をしていた小間使いは、鱗から氷の輝きが消えるのを目撃した。代を継いだ騎士は急いで竜のもとへ向かったが、かれの命はすでになく、その氷の力も失われ、氷を纏っていた角や頭部はずぶ濡れになってふやけ、泣き腫らしたように見えたという。






「離れ形見」(はなれ-がたみ)


 ある程度の知性を持つ生物が無意識に行う行動。体の一部を生きたまま分け与えるという不可思議極まりない現象であり、原理はいまだ解明されていない。いわゆる「竜児」と呼ばれる才能あるものが行うことが多く、これを受け取ったものは神話の目撃者になることが約束されているという。


 分け与えられた体の一部は、それを持っていた生物の状態と同期する。そのため、大きくなったり印象が変わると享華したことが分かり、魔力を失うとその命が失われたことが分かる。この形見を失うことは決してなく、誰かに盗まれても知らぬ間に戻るか、盗んだ者たちが恐るべき死を遂げることで発覚し、確実に渡されたものの手にあることが約束される。これらを受け取ったものの身近にある人物はそれを記録し、後世に伝え、神話の伝承者とならねばならない。

 なんだったか、「重神機パンドーラ」で言ってた「エンタングルメント」(量子もつれ)みたいな感じですかね。離れたところにあってもその状態は同期する、みたいな……あんまりよく理解できてなくてすいません。だいたいこんな説明で理解の糸口に立ってるはず。

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