悪役令嬢になったんですけど…その1
「プリン王子は渡しませんわ!プリン王子の婚約者は私なのですから!」
ショコラはキャラメルを睨みつけた。
だが、いつもはそれで悔しそうに立ち去るはずのキャラメルは不敵に笑っている。
ショコラは不思議に思ったが、なおも言い募る。
「そういえば、あなたこの間ご両親が離婚されたんですって?お父様もお可哀想に。すべてあなたが悪いのよ」
キャラメルは苦虫を噛み潰したような顔をするも、すぐに気を取り直したようでにやりと口角を上げた。
……そして両手を顔の横に持っていき、頬にそえる。すると、キャラメルの目がうるうるとして、みるみる間に目尻に涙をためていく。
「え?…あなた急にどうしたんですの!?」
ショコラは呆気に取られるが、キャラメルは涙を流す。留めることなくぽろぽろとこぼれる涙。
ほんとにどうしたんですの!?
「なにをしている!?」
突然にショコラの背後から声がかけられた。振り向くとそこにはプリン王子。
「キャラメル!大丈夫か!?」
顔をおおって本泣きし始めたキャラメルに駆け寄り、心配する王子。
「…っ!」
はめられた。…私ははめられてしまった。騙された。
…そう思ったが、もう遅い。
「ショコラ!!何度言ったら分かるんだ!!キャラメルをいじめるなと言っただろう!?」
王子は私に鋭い追求をする。
…だけど、私は何もしていない。その女の涙は偽物だ。
あの女にしてやられるのは、これで何度目だろうか。
何度も繰り返しただけに、分かってしまう。この後の展開が、分かってしまう…。
…王子が私の言い分をを聞くことは無い。また私は悪者にされるのだ。
何も言い返さない私に王子は言う。
「言い訳も尽きたか。今回は、自分は悪くないとしつこくくいさがらないんだな。…明日の放課後、広場まで来い。絶対だぞ」
ショコラに冷たく目線をやって。キャラメルの背に優しく手をそえる。歩き去る2人の後ろ姿を見て、私は…。
悔しい、と思った。
あの女が。あの女が全部悪いのよ。そう、あいつが悪いんだ。全部全部私のせいにされて。王子も信じてくれなくて。あいつさえいなければ…。あいつさえいなければ王子は……!王子は俺だけのものに…!
…ん?王子は?俺のだけのものに…な…る…?
あれ?…私の?いや、俺の…だよな?
王子は俺だけのものに…いやいやいや。ならない。ならない。
おかしいな?今、俺はキャラメルに騙されて王子に冷たくされて…。王子の婚約者は俺のはずなのに…。
うん?ほんとにおかしいな?違和感半端ない。
なんで俺が王子の婚約者なの?男同士で婚約とかマジありえないんですけど。
う~ん…。
…あ!…思い出した。…ここは、ゲームの中の世界だ…。
何故か俺は今、ヒロインの恋の邪魔をする、悪役令嬢。
…さぁ、思い出そう。
俺はそう、男だった。ぱっとしない職場になんとなく務めてて。それなりに楽しく毎日を過ごしてた。
それで、職場の同僚がハマっているという乙女ゲームとやらを買いに出かけて…。うん。ここまでは覚えてる。
…まず、なんで男の俺をそんなゲームの買い出しについてこさせたんだろうね?
…それで、その同僚がちょっと気になってる女の子だったからちょっと浮かれてて。ちょっと洒落た服着て。「これってデートっぽくない?」とか思ってて。
店に着いて。同僚は無事目当てのゲームは買えたみたいで。
…目的を達成したから、すぐに「帰ろう」ってなってちょっとがっかりして。
帰り道はちょっとぼおっとしてて。
同僚が買ったゲームの話をするけどあんまり聞いてなくて。「大丈夫?」って声をかけられて。そっちを見たら、歩道にトラックが突っ込んで来てて。こっちに向かってて。慌てて同僚を突き飛ばして…。
…そこからは記憶が無い。
…うん、そうだね。これって死んだね。
…死んだらゲームの中って…。
なんでそう思うかって?だってこれ、思いっきりほとんど聞き流してた同僚の話じゃん。どう考えてもあの乙女ゲームってやつでしょ?
プリン王子なんて珍しい名前なかなかないし。ヒロインはキャラメルで悪役令嬢はショコラだよ?甘いよ!甘すぎるよ!こんな巫山戯たゲームが他にあったらびっくりだよ!
…そういえば俺、悪役令嬢だよね今?ほんとにありえない。性別変わってんじゃん?
それに悪役って物語の最後は死ぬよね?死ななくても幸せに暮らしましたーってのは聞いたことないし。
…なんか俺、お先真っ暗だね!
読んでくださってありがとうございます!
私の書いている作品は台詞の最後に「〜。」と読点入れたり入れなかったり、改行のタイミングが適当だったりして読みにくいかもしれません!
アドバイスとかあれば、ぜひ感想欄からお願いします!誤字脱字も、皆さんの厳しい目で直してくださると嬉しいです!!




