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学校では怖いと有名なJKヤンキーのアマガミさん。家ではめっちゃ可愛い。  作者: 結乃拓也/ゆのや
第1章 【 ヤンキーとあだ名で呼び合うまで 】
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第49話 『 夕景に染まる街路をキミと 』

 ――夕方。


「んん~! 今日はめっちゃ遊んだなー」

「僕もだよ。誰かとこんなに遊んだの久しぶりだな」


 ぐっと腕を伸ばしながら今日の感想を言うアマガミさんに、僕は微笑を浮べる。


「海斗とは遊ばねえの? 仲いいんだろ」

「外で遊ぶことはほとんどないよ。ゲームでならしょっちゅう集まってるんだけどね」


 中学生の頃はよく集まって遊んだりしたけど、高校に入ってからはめっきり減ってしまった。無論、放課後に集まってファミレスなりゲーセンに行くことはたまにあるけど、今日みたく一日使って遊ぶ、という事は現状ではほとんどない。


「ふーん。お前らの関係ってなんか複雑だな」

「そうかな。普通に仲良いい関係だと思うけど」

「いや。ボッチをたぶらかしてる時点でアウトだね。お前はこんなにいい奴なのにほっとくなんて悪い奴らだ。特に海斗は」

「たぶらかされてるわけじゃないよ。むしろその逆かも」

「なんでだよ?」


 不思議そうに小首を傾げるアマガミさん。そんな彼女に僕は「だって」と継いで、


「海斗くんよりもアマガミさんといる時間を優先しちゃってるから」

「……っ」


 真っ直ぐに彼女の瞳を見つめながら告げれば、赤瞳が大きく見開かれた。

 それから、アマガミさんはふいっとそっぽを向いて、


「ああくそっ。嬉しいこと言いやがって。なんでコイツはこう……」

「アマガミさん?」


 ぶつぶつと何か呟くアマガミさん。小声だからうまく聞き取れずに眉根を寄せていると、アマガミさんはわずかに頬を上気させながら振り向き直って。


「なんでもねえよ。海斗たちよりあたしを優先するのは英断だ。あたしの方がボッチを楽しませられるからな」

「優劣を決めるのはよくないけど、存外そうかもね。不思議と、アマガミさんといる時間の方が心地いいと思える」

「素直に認めるなぁ」


 アマガミさんが何か感情を抑えきれないように顔を手で覆って激しく振り乱れた。


「はぁ。こういう言葉にいちいち嬉しくなっちまうあたしも大概ちょろいのかもな」

「なんでちょろいの? アマガミさんは強い人でしょ」

「喜べボッチ。お前はあたし専用のデバフスキルを持ってる」

「なにそれ。そんなスキル持ってないけど」

「持ってるんだよ。この女たらしめ」

「なんで急に罵られたの僕⁉」


 訳が分からなすぎて狼狽する僕に、アマガミさんは半目で睨んでくるとビシッと指差してきて。


「いいか。あたし以外に気軽に女を褒めたり喜ばせるなよ」

「えぇ。そんなことした覚えないんだけど」

「なら今後は注意しろ。とにかくっ、ボッチはあたし以外の女を褒めるの禁止!」

「もししたら?」

「シバく」


 あこれガチなやつや。

 声のトーンから本気度がひしひしと伝わってくるのを感じながら、僕はぎこちなく頷いた。


「分かったよ。これからは注意して女子と話します」

「それでいい。……本当なら話してほしくもねぇけど、たぶんボッチには絶対無理だな」


 これから大変だな、と気負う僕。ため息を吐くと、不意に頭にぽん、と手が置かれた。

 見上げると、アマガミさんが僕を見つめながら微笑んでいて。


「ボッチ。今日は楽しかったか?」

「うん。とても。今日はありがとう」

「礼を言うならあたしのほうだ。いつもありがとな」

「ふふ。ならお互い様ってことで」

「ははっ。だな。お互い様だ」


 お互いに笑い合う。この心が通じているような瞬間が、僕はたまらく心地いい。

 キミといると、胸がずっと満たされる。


「これからもよろしくな。ボッチ」

「こちらこそ。もっとアマガミさんと仲良くなれるように頑張るね」

「もう十分だってのに。ボッチは本当に真っ直ぐで可愛い奴だな。だから手放したくなくなるんだよ」


 彼女の言葉に、僕は胸の内で同意する。


「(同じだよ。僕だって、アマガミさんと離れたくない)」


 しかしそれは言葉にはせず、胸裏に想い馳せる。

 言葉にしたらきっと彼女はまた照れてしまうし、僕も照れしまいそうだったから。


「へへ。アマガミさんに頭撫でられるの、僕好きだな」

「へぇ。奇遇だな。あたしもボッチの頭撫でるの好きだ」

「ねぇ、このままもう少し、撫でて欲しいな。ダメ?」

「うぐっ。なんつー甘え方だ。言ったろ。今日は礼をしに来たって。お前がして欲しいって言うなら、今日だけ特別に気が済むまでしてやる」

「ふふ。ありがと、アマガミさん」

「くうぅぅ。可愛すぎるなちくしょー」


 悶えながらも、僕のお願い通り頭を撫でて続けてくれるアマガミさん。

 彼女の手の温もりを堪能しながら、僕は夕景に染まる街路を歩くのだった――。



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