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学校では怖いと有名なJKヤンキーのアマガミさん。家ではめっちゃ可愛い。  作者: 結乃拓也/ゆのや
第1章 【 ヤンキーとあだ名で呼び合うまで 】
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第50話 『 ミーティングという名のゲーム集会 』

 アマガミさんとのお出掛けを終えた夜。僕にはまだ予定が埋まっていた。

 まぁ、予定といってもまた海斗くんたちとオンラインで集まってゲームするだけなんだけどね。

 そして本日プレイするゲームは、お互いの旗 (フラッグ)を奪いあうFPS (ざっくりいうとシューティングゲーム)というやつだ。


『ボッチ氏。フラッグに二人向かってきたでござる』

「オッケー。僕に任せて」

『え一人で大丈夫でござるか?』


 不安げな声音で訊ねてくる誠二くん。僕はそれには応じず、精密なコントローラー捌きで敵キャラを仕留めた。


「よし。まとめてキルしたよ」

『二人ワンキルで⁉ マジかよ⁉』

『ボッチが覚醒しているでござる!』


 ボイスチャット越しに驚き声が響く。

 うん。今日はなんだかいつになく調子がいい。


「このままフラッグの防衛は任せて、海斗くんと誠二くんは敵のフラッグ撮りに行って」

『了解でござる』『惚れること言うじゃん』


 首肯した二人のキャラがそのまま敵陣に突っ込んでいく。

 二人が敵陣のフラッグを奪ってくれるまで敵キャラを捌いていると、同じくフラッグを防衛している遊李くんが不満そうに嘆息した。


『なぁ、ボッチ一人でここ守れるなら俺も攻めたいんだけど』

『いやいや。フラッグは二人で守らないとキツイだろ。それにあと少しで旗奪え……ぎゃあああ! 死んだあああ!』

『なんであと少しで奪えるというとこでやられるのでござるか海斗氏!』

『ほらね。海斗と誠二だけじゃ決定打になりえないわけ』

『お前もいうて上手くねぇだろ!』

『そうでざるそうでざる! 乱射しかできない男がなにほざいてるでざるか!』

『火力は正義でしょうが!』


 二人の猛抗議から口論へと発展してしまった。僕はそれを苦笑しながら聞いていた。


「そうだね。今日は調子がいいから一人でも守れそうだ。遊李くんも攻めていいよ」 

『よっしゃ! じゃ後は頼む! 攻めるぞ~!』

『こっち来るからには役立てよな』

『海斗よりかは役立てます~』

「はいはい。二人とも喧嘩はそこまで。さっさと勝っちゃおう」

『『カッケエ~!』』


 皆からの歓声を受けつつ、僕は攻め入る敵を追加で仕留める。


『今日のボッチはなんだかえらく頼もしいな』

『俺らも負けてられませんなぁ』

『ですな。ボッチ氏の負担にならぬよう、三方向から一気に攻めましょう』

『うし! じゃあさっさとフラッグ奪いますか!』


 僕が敵を足止めしているうちに、三人が一気に攻め込む。守備二人に対して攻撃三人は流石に対応に間に合わなかったようで、僕らのチームは無事に勝利した。

 それからロビーに戻ると、自然と休息の流れとなり、僕は肩の力を抜いた。


『やー。それにしてもお見事でしたな。ボッチ氏』

『だな。本日もMVPはボッチか』

『えー、俺だって最後活躍したじゃん』

『『最後ボッチ(氏)に守り任せたやつが何をいう』』


 不服気に声を上げる遊李くんに二人からの総ツッコミ。そんな三人のやりとりに声を上げて笑ってしまった。


『ちぇ。俺も半分冗談で言っただけだし、今日のボッチは確かにすごかったのは分かるけどさ』

『あの二人同時ワンキルは魅せプだろ。やってみてー』

「たまたま上手くいっただけだよ。ラグも少なかったし、反動抑えた武器を選んだのが功を奏したかな」

『いや。あれは武器の性能じゃなくてPS (プレイヤースキル)でござるな。一人でノラでもやってたのでござるか?』

「ううん。FPSは久々。あ、でも今日リアルでシューティングやったな。もしかしたらそれが活きたのかも」


 と答えると、海斗くんたちが「意外」とでも言いたげな吐息をこぼした。


『なに。今日誰かと遊んだの?』

「うん。アマガミさんと」

『『『は』』』

「え」


 僕らに沈黙が走る。

 そして数秒後、鼓膜がはち切れんばかりの大声が返ってきた。


『はああああああああああああああああ⁉ お前っ、今日、天刈と遊んだの⁉』

「うるさ。……そんなに驚くこと?」

『オンライン⁉ それともリアルで⁉』

「リアルに決まってるでしょ」

『そんなの決まってねえよ! いや、ちょ。ほんとに待ってくれ。頭の整理が追い付いてない』


 一人慌てる海斗くん。ご乱心の彼に代わって、まだ多少余裕がある誠二くんが代わりに質問してきた。


『ボッチ氏。それはいわゆるデートというやつですか⁉』

「違う違う。ただの買い物。映画観たり一緒にお昼食べたり、ゲームセンターで遊んだりしたんだ」

『『それをデートと呼ぶのでは⁉』』


 まぁ、呼べなくもないけど。でも僕とアマガミさんは恋人ではないので、やっぱり今日のお出掛けは〝デート〟の定義には当てはまらない。

 ……というか遊李くん。事情知ってるなら少しは助けてよ。さっきからお腹抱えて笑ってるの、ボイチャ越しでも分かるんだからね?


『ボッチ氏が知らぬ間に大人の階段を駆け上がっていくでござるぅぅ』

「いや駆け上がってませんけど」

『ダメだ。もう歯止めが効かなくなってる。このままじゃ天刈とボッチのラブコメが始まっちまう』

「…………」

『おい! なんで無言なんだよ! えなに、もしかしてほんとに天刈のこと好きになってないよな⁉』


 その問いに対し、僕は今日の出来事を脳裏に過らせながら、ふっと笑って答える。


「今はまだ、ね。でも、いつかその日が来たら、いいなって思ってる」


 今はまだ、これが恋なのかは分からない。けれど、少しずつ、しかし確実にアマガミさんに惹かれているのは事実だ。この気持ちをもう否定することはない。

 それを大事な友達たちに吐露すれば、


『――カハッ』

「海斗くん⁉ なんか吐血音が聞こえたんだけど⁉ 海斗くーん⁉」

『あー。これは完全にあれですね。受け入れられない現実を前に気絶したパータン』

「気絶するほど僕とアマガミさんの関係認めたくないかなぁ⁉」

『ボッチ氏。海斗氏のことは気にせず、天刈愛美と仲良くしてください。拙者はもう応援すると決めたでござ……うぷっ』

「拒絶反応示しながら応援しないでよ⁉」


 海斗くんと誠二くんが気絶し、それを遊李くんがゲラゲラと笑っていた。なに阿鼻叫喚な有り様。


「はぁ。皆にアマガミさんとの関係を認めてもらえるよう、僕ももっと頑張らないとな」

『この前のファミレスの時みたくアマガミさんの魅力語り二時間コースは止めてな』

「しないよそんなこと! もうっ!」


 どうやら、アマガミさんと僕の恋物語はまだまだ前途多難らしい。



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