ガチャ1194回目:明るい第三層
「うーん……」
俺はコハクを持ち上げて、ぶらーんとなる毛玉ボディーを凝視していた。
『キャウ?』
「レアⅡを倒しても、特に変化ないみたいだな」
『キャン!』
ということは、レアⅡとの再戦は、ダンジョン攻略とは本当に関係がないということになる。まあ、関係あろうとなかろうと、地神塔の破壊を狙うなら雑魚との遭遇は避けては通れないんだし、そもそもレアモンスターは全部戦うつもりではあるからな。
さて、コハクは嫁達に預けて、俺は地神塔の破壊を優先するか。この中央クレーターにある地神塔は、他とは違ってちょっと造りが立派なんだよなぁ。他の地神塔は何も刻まれてないのに、こいつだけなんか刻まれてるし。……読めないけど。
けど『鑑定』してみても視える内容は一緒だし、とりあえずやることをやるか。浄化をばら撒いて……。
「『滅殺の矢』」
黒い閃光が音もなく飛翔する。だがその速度は雷鳴よりも速く、気付けば地神塔は上半分が消し飛び、その力の余波で、残った部分も灰となり、即座に塵となって消えて――。
『ズオオオオッ!!』
「む」
地神塔の内部から、黒いヘドロが噴き上がり空へと昇り始めた。まさか今までの地神塔の内部から発生していたヘドロが、あの中に溜まっていたのか?
けど、そのヘドロは一直線に空に登り続け、そのまま眺めていると煙となって消えていった。
……なんだったんだ?
「おっ」
だが、ヘドロが消えると同時にある変化が起きた。他のクレーターでは微々たるレベルでの変化だったが、今のでひときわ明るくなったな。現時点で、明るさ+40くらいか? 多少誤差はあるだろうけど、もうそれくらい明るくなった気がする。
『キャン!』
「またモフモフ度が増したな?」
「柔らかーい」
「ふわふわ~」
「お日様の匂いがします」
大人気だなぁ。
さて、一応確認しておくか。マップを開いてっと。
「……第二層は完全にモンスターの気配がなくなったな」
『再出現はしないようね』
『1度っきりなのでしょうか?』
『他のダンジョンとは構成が全然違いますねっ』
『こんなところもあるのね~』
全部制覇したらまた出現するのか、それとも完全に1度きりなのか……。まあ、今のところ貴重なスキルもアイテムもなにもないから、別に構わんのだが。
ああいや、一応『幻想』の反応があったんだっけ?
「イズミー。ここってそもそも何色の表示だったっけ?」
「白と黄金だよっ☆」
白が『幻想武器』で、黄金が秘宝だったな。
けど、いまんとこそれらしい反応は無いんだよなぁ。
「ま、地神塔とレアを全部制覇して、明るさ+100まで取り戻せば何か出てくるか」
『キャン!』
「そんじゃ、この調子で制覇していくか。キュビラ、今何時?」
『10時すぎですね』
「んじゃ、飯は第三層を片付けてからにしようか」
ドロップアイテムを回収し、俺達は第三層へと向かった。
◇◇◇◇◇◇◇◇
第三層でも同様に視界を飛ばし、マップの全域の情報を開示していく。今回は少し広いので、キュビラとリリスにも『視界共有』を施して3人でマップ更新に励んだ。
マップが大きくなり、クレーターの数が増すという事は、つまるところ雑魚の数も増える事を意味しており、現状確認できただけでもクレーター18個。雑魚の数は200オーバー。
これならレアとは2回ほど戦えそうだな。
「カスミ達もレアとやってみるか?」
「いいのー?」
「ああ、いいぞ」
「やってみたい!」
「あ、でもお兄ちゃん。経験値は……」
「いいよ、『充電』1回分くらい他で稼げるしな」
上級精霊を20から30体ほどしばけば達成できる程度だしな。
「よし。じゃあカスミ達はこのルートで、終わったら中央に来てくれ。俺はこのルートを通るからエスは中央待機な」
「はーい!」
「了解」
さーて、ここのモンスターは鶏だったな。レアは五月蠅い奴だったし、通常の雑魚でもそれなりに耳障りな奴だったが、果たして……。
『ゴケケケ!』
『ゴケケケケ!』
*****
名前:シャドウチキン
レベル:75
腕力:450
器用:400
頑丈:70
俊敏:320
魔力:750
知力:120
運:なし
【Bスキル】俊足、迅速
【Pスキル】身体強化Lv3、鳥爪術Lv3
【Aスキル】拡声
★【Eスキル】不協和音、幻惑のはばたき
装備:なし
ドロップ:シャドウチキンの羽
魔石:中
*****
ふむ。『拡声』に『不協和音』、それから『幻惑のはばたき』ね。耳障りな鳴き声だと思ったが、その手のスキル持ちだったか。まあ、そんな気はしてたが、その通りだったとは。
「にしても、肉は無いのか。イリスが悲しむな」
まあドロップになくても、イリスなら喜んで踊り食いするだろうけど。けど、あの鶏連中はヘドロの近くにたむろしてるから、そんなとこにイリスを飛び込ませたくはないが。
『そうね~。けど、見た目からしてこの鶏、美味しくなさそうじゃない?』
『影は纏ってないですけど、体毛真っ黒ですもんね。お肉も黒そうですっ』
『いえ、こちらの世界では黒い鶏は希少種だとかで、神聖視もされていたはずです』
『そうなのね。けどこの子は肉を落とさないのね』
「レアなら落とすかもな。とりあえず狩るか~」
『ゴケケケ!』
『ゴケケケケ!』
昨日は近付かれる前に原初の炎で焼き尽くしたんだよな。『幻惑のはばたき』ってやつが気になるし、今日は接近戦で挑んでみるか。
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