ガチャ1189回目:ぶつかり稽古
「わっ、ステータスが視れる!」
「そうね。これなら……」
「ああ。スキルを取り損なう事もないし、安全に戦える」
ようやく今まで通り戦う事ができそうだな。
昨日まで溜まりに溜まったフラストレーション、ここで発散させてもらうとするか!
『ヴオオオオッ!』
「またか」
イノシシだったはずなのに、またサイみたいに角が生えて、鎧のようなゴツゴツとした姿に変わったぞ。3メートルくらいある体躯は何も変わらんけども。
スキル名的に『陽炎』か『虚像』のどちらかが自在に姿を変えるとスキルと見た。これでまたスキルが見えない中での戦いだったら、めちゃくちゃ警戒したし混乱もしただろうな。
「スキルが見えるってやっぱ最高だなっ!」
『ガインッ!』
『ヴオオオッ!!』
「くっ!」
突進してきたサイの角を正面から受け止める。事前に『Bスキル』のラインナップと、『チャージアタック』の存在、更には『荷重圧Ⅲ』なんて露骨なスキル名が見えていた事から、突進による突破力と重圧はある程度予測する事ができた。おかげでこちらも発動する『Bスキル』を調整することで、ちょうどいい塩梅に正面から受け止め拮抗する力加減ができたし、それにより純粋な力勝負に持ち込む事ができた。
「ぐぬぬぬ!」
『ヴオオッ!!』
「ぐぎぎぎ!」
『ヴオッ、ヴオオッ!!』
「……ふんっ!!」
力のせめぎ合いに勝利し、短剣を振り抜く。バランスを崩した奴はたたらを踏みながら、側面の壁へと激突した。
『ドゴンッ!!』
角は思いっきりダンジョン壁に激突したが、奴は何事もなかったかのように角を引き抜き、こちらへと睨み返してきた。
『ヴオオ……!』
「くっそ頑丈な奴だな」
あの角、リヴァイアサンダガーとの鍔迫り合いを終えても、折れるどころかヒビすら入ってない。こっちは叩き斬るつもりで振り抜いたんだがな。つーか、『ウォールブレイカー』を持ってないのに易々とダンジョンの壁を貫くなよ。どんな攻撃力してやがる。
ただ、若干削れはしたかな……? 今の攻防を数十回繰り返せば叩き割れそうな気はする。
『ヴオオッ!!』
「よし来い!!」
◇◇◇◇◇◇◇◇
「うおおおっ!」
『ガギイィン!!』
数十回の鍔迫り合いを終え、ようやく角に限界が訪れたらしい。奴の角は根元から砕け散った。
こっちも3回目辺りで『固有』のマインゴーシュが悲鳴を上げ始めたので、短剣二刀流から、短剣+長剣の変則的二刀流に切り替えて相手する事になった。品格的には『高位伝説』のリヴァイアサンダガーに並び立てるのは、『幻想』のグラムか、『伝説』の偽・聖剣(真)くらいしかないからな。
『ヴオォ……』
「お?」
角が砕けた以上あとは仕留めるだけかと思っていたのだが、奴の姿が揺らめき姿を変えていく。そしてまたサイのようなガチガチの形態から、毛皮っぽいイノシシに似た形態へと姿を変えた。
『フゴッ』
「んん?」
だが、その姿に変化した奴からは敵意らしきものはまるでなく、何かを呼んでいるかのようで……。
『キャン!』
「コハク?」
『クゥ~ン』
コハクはキュビラの腕から飛び出し、足元までやって来てイノシシをじっと見つめていた。
『フゴッ』
『キャン』
「……なるほど?」
つまり、あいつの前まで連れて行きゃ良いんだな?
俺はコハクを抱えてゆっくりとイノシシへと近づいていく。その間も奴からは敵意らしきものはまるでなく、むしろ神聖な気配すら感じた。
『『……』』
手を伸ばせば届く距離にまで近付くと、両者は互いをじっと見つめ合った。
ルミナスにしていたように、鼻をくっつけて挨拶でもすればいいのかな?
【レベルアップ】
【レベルが4から424に上昇しました】
「お」
ちょんと鼻同士をくっつけあった瞬間、イノシシの姿は煙となって消え、俺のレベルは上昇。さらにドロップアイテムを撒き散らして消えて行った。
ということはコハクも……。
『キャウ?』
モフモフ度が上がっていた。
「なんで?」
『クゥ~?』
まあ可愛いから良いか。
コハクをわしゃわしゃ撫でまわしていると、アズとイズミが飛びついて来た。
『マースター♪』
「お兄様~☆」
「お?」
戦闘が終わったから甘えに来たんだろう。
そんな2人を抱きしめ、出遅れた嫁達も順番にハグしていく。
「あ、リリアナもハグする?」
『えっ? わ、私はこっちがいいかな』
「おっけー」
リリアナはおずおずと手を上に掲げたので、ハイタッチを交わした。心地良い音が空間に広がる。
さて、早速『充電』を済ましてっと……。
『エネルギー残高 7/500』
それにしても、初めて遭遇するタイプのモンスターだったな。討伐することなく撃破判定になって、アイテムも経験値もくれるなんて。
……それはそれとして。
「キュビラ~」
『はい、マスター様。戦闘に掛かったお時間ですか?』
「そうそう」
『40分ほどですね♡』
「40分か……」
結構時間かけたな。
『最初の鍔迫り合いで4分ほどでした。それからはどんどん時間が短縮されて行きましたが、28回にも及ぶ衝突がありましたから』
「そっか」
『キャン』
それに、コハクとイノシシとのご挨拶もあったしな。
『ねえねえマスター』
「ん?」
『ドロップなんだけどね、マスターの視えてたスキルの内、1つだけ落ちてないみたいなの』
「どれだ?」
『『陽炎Ⅴ』ね』
『陽炎Ⅴ』は『Uスキル』だ。『Eスキル』が落ちないならまだしも……。今までにも見えていたのに落ちないスキルはあったが、今回もそれ関連か?
ちょっと詳細を見てみたくはあったんだがな……。残念だ。
「まあないなら仕方ない。外に出ようか」
明るさがどうなっているか気になるしな。
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