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レベルガチャ~ハズレステータス『運』が結局一番重要だった件~【コミカライズ第3巻 4/15に発売決定!】  作者: 皇 雪火
第三十二章 秘密の園

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ガチャ1180回目:見学

「……兄さん、またとんでもない事をしてるね」

「そうは言うが、結構有意義なデータが取れたぞ?」


 そう言いながら俺は、いまだ逆さまの状態で世界を見ていた。

 俺の視点で言えばエスやシルヴィ達が天井に張り付いているかのような見え方をしてる訳だが、このまま俺がその場でジャンプしたら頭から落ちる事になりそうだな。


「『水の親和力』を前提とした『水渡り』か。たしかに、それくらいの芸当はできてもおかしくはないだろうけど……。にしたって兄さん、それは傍から見ればとんでも状態なのは間違いないよ?」

「そうかな? そうかも……」

「カスミちゃん達がどんな反応するか、分からない訳じゃないだろう?」

「……むむ」


 呆れるに3人、喜ぶのに3人、とりあえず褒めてくる奴1人。

 容易に想像が付いてしまった。


『♡』

『キャン』


 首元にいるキュビラが頬ずりし、腕の中にいるコハクが愛らしく吠えた。当初この真っ逆さまの状態の俺について来ていたのは、狐化したキュビラだけで、他の面々は地面に降りて俺の実験を追うように徒歩で移動していたのだが、魔法の効果で地面スレスレの飛行試運転をしていると、コハクが飛びついて来たんだよな。そしたらその瞬間コハクの重力も俺に沿ったものとなり、結果()()()()()()になったので、慌ててキャッチした。

 普通のワンコならそんな摩訶不思議現象に遭遇したら軽くパニックになりかねんところだが、コハクは楽しそうに尻尾を振ってたし、やっぱこのワンコも普通じゃないよな~。


『クゥン?』

「リリス」

『はーいっ』


 コハクを軽く持ち上げると、察したリリスが受け止めてくれる。こういった受け渡しのような一瞬の交差は、重力の変転はおきないみたいなんだよな。だけど逆にコハクを両方で掴んでいた場合、俺の方が優先されてリリスも()()()()()()()んだが。

 レベルが上がった俺らなら可能でも、普通の人間の反射神経では間に合わないくらいには、この交差には割と猶予が無かったりする。


「アズー」

『はーい♪』


 続いてアズにキュビラを預け、彼女達が離れたところで小さく跳躍して半回転。本来の地面に降り立った俺は、水の足場を明後日の方角に投げ飛ばして解除した。


『バシャアッ!』


 少し離れたところで大量の水が爆発したように地面に降り注いだが、ダンジョンだし構わんだろ。


「ふぅ。楽しかった」

「それは良かった。じゃ、向こうも終わったようだし始めるね」


 そう言ってエスはフィールド全体に風を流した。その後、方々から断末魔の悲鳴が上がっては消え、上がっては消えた。そして多方向から更に甲高い叫びが聞こえてきたが、それもすぐに収まる。

 どうやら、レアも6体ほど湧いたようだが、すぐに処されたみたいだな。


「……ふむ?」


 『テイム』やアクセサリーで面倒な手間を省いて来たから忘れがちではあるが、本来なら攻撃に参加しないと経験値は共有されない仕様だ。そして俺達の間には直接的なパスは繋がっていないが、エスに渡した『親愛のバングル』がシルヴィの持つ愛シリーズを通して間接的に俺に繋がっているはず。

 けど、今回はレベルが上がらなかったな。なんでだ?


「ガチャを回す前ならともかく、今の兄さんに余分な経験値を渡す事になるのは避けたかったし、事前にバングルを外しておいたんだ。ここの敵は魔石しか落とさないなら、素の僕が倒しても損は無いと思ってね」

「なるほど。それなら確かにそうだな」


 エスの『運』じゃ魔石すら落とさないだろうが、たかが『中魔石』数百個程度、今の俺達にとっては誤差みたいなもんだしな。

 そうしてしばらく待っていると四方八方から煙が現れ、それを追いかけるようにカスミ達もやって来た。


「お兄ちゃーん!」

「おう」

「ごめんね、手間取っちゃって」

「良いさ。詳細が視えない相手だったし、慎重に戦うのも悪くないだろ」


 俺は早々に諦めて即灰にしたからな。


「それでね、お兄ちゃん……」

「次もやりたいか?」

「う、うん!」

「良いぞー。けど経験値は欲しいから、近くで見てるな」

「もちろんいいよ!」


 こういう時の為に、カスミ達のナンバーズにも手を施しておいたからな。


 名前:真愛のネックレス ナンバーズ改

 品格:≪遺産≫レガシー

 種別:アクセサリー

 説明:邪気を払い、心で通じ合うパートナーが身に着ける事で特殊効果が発動。ナンバーズ所有者が戦闘で得た経験値を、付近にいる全てのナンバーズ所有者と、条件を満たした者全員が得られる。強力な状態異常への抗体を持ち、いかなる存在もこのアクセサリーを破壊、または簒奪する事は不可能。

 製作者:アマチショウタ


 まあ距離が空きすぎると経験値は入ってこないんだが、正確な距離はアクセサリーにも書いてなかったんだよな~。戦闘を共にする事前提の設計だから、限界距離100メートルといったところかな?

 そうして穴を前にカスミ達が陣形を組み、俺達が少し離れたところで見守る態勢へと移行した数分後。中から野太い声が響き渡った。


『ゴゲエエエェェッッ!!』


 穴から現れたのは、3メートルを超す巨体の鶏だった。相変わらず全身が黒い影のようなものに取り込まれ、その素肌はまるで見えない状態だったが……明らかに鶏ではありえない造形をしていた。後ろの方から長い尻尾が生えており、その尻尾の先は爬虫類の頭が付いていた。


「あれは……蛇か?」

「蛇の尻尾に鶏の頭。あれはコカトリスだね、僕も1度だけ他のダンジョンで見かけたことがあるよ」

「俺はまだないな」

「じゃあ、これが初めての遭遇になる訳だ」

「俺と相対してる訳じゃないから初見カウントはしたくないかな……」

「はは、兄さんらしいね」


 コカトリスと呼ばれた生物の突進をハルが受け止め、レンカとイズミが支援攻撃を行う。そして背後のヘビにはカスミとハヅキが当たり、前後の頭がそれぞれの対応に追われていると、がら空きとなった横腹をイクサバが畳みかけるように技をぶつけた。


「おー。やっぱイクサバの『武技スキル』でも明るくはならないみたいだな」

「彼の技は焔を操る見事な攻撃だけど、彩りを奪われても威力は落ちていないようだね」


 そうして戦闘はつつがなく進み、ハルが1度ブレスを受けて足が石化してしまう状態異常を受けたが、即座に治療し討伐する事に成功していた。


【レベルアップ】

【レベルが40から310に上昇しました】


 ナンバーズの状態異常対策をもってしても発生する石化効果には興味があるが、それよりも今は暗さが更にマシになった事の方が重要だな。

 明るさ-30くらいか? もうだいぶ遠くまで見えるぞ。まあ、穴は相変わらず闇に呑まれてるけども。

★次回攻略先ダンジョンのアンケートを開始しました!★

★投票よろしくお願いしまーす!★

https://x.com/hiyuu_niyna/status/2034825747656020369

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