ガチャ1175回目:第二層一掃
エスの到着により、第二層に何度も突風が吹き荒れた。その度にこの階層にいるモンスターの気配が目減りしていき……。
「残り半分、100、80、50、30、20……レアモンスターが3体出現。あ、撃破されたよ☆」
マップが見れない俺の代わりにイズミが報告してくれる。今までは広域殲滅の際は、シルヴィにマップを見せて貰いながら自身の『風』で知覚して狩りをして来たんだろうけど、今はあいつ自身にも『アトラスの縮図』があるからな。シルヴィはちょっと寂しいだろうけど、おかげでエスの殲滅力はまた飛躍的に伸びた気がする。
「流石エスだな。あっさりと全部片付けてくれた」
『それほど広くはない階層だったからね。ただ、僕の『風』でも感知できない空白地点がいくつかあるみたいだけど』
エスの声が飛んでくる。もうこの階層はエスに支配されてるな。
「マップで見た通りだ。そういうよく分からん場所が散らばってるみたいなんだ。まあ俺はまだ目視できていないんだが」
そう言うと、端末が鳴った。面倒だから通話しようってことかな?
『それで、これからどうすればいいかな?』
「すまん、この先はなーんも考えてない。……あ、煙が動き出した。ひとまずその辺で待機していてくれるか?」
『了解』
通話を切り、動き出した煙を確認する。その動きは速くもなく遅くもなくといった速度で、大体時速10キロくらいか。普通なら見失う事はないが、このダンジョンの暗さだと話は別だな。
「このまま追う。この先に例の穴はあるか?」
『あるわ。一際デカいのが中央付近に』
煙を小走りで追いかけつつ、思考を巡らす。
「エスがレアを複数倒してたよな。なら、その煙も移動しているはずだし、もしかするとそこで合流を果たすのかもな……。イズミ、この階層に現在いるモンスターの残存数は、0で間違いないな?」
「うん、いないよ☆」
「よし」
さて、何が出てくるかなっと。
まあ、出て来ても詳細は視えないんだろうけどさ!
◇◇◇◇◇◇◇◇
暗い第二層を横断し、中央にある例の穴へと到達した。『アトラスの縮図』ですら探査不可能な暗闇の穴を目視したのはこれが初めてだったが、警戒心が一気に跳ね上がった。あの中はやばい。絶対に入ってはならない。理由は分からないが、本能でそう確信した。
その危険性を彼女達も感じ取ったらしく、半歩下がったり自分の身体を抱いて警戒を露わにしていた。
そしてその穴は、明らかに何か異質な空間がそこに存在しているかのようで、穴の向こうにあるはずの景色が見えなくなっていた。その上この空間もコハクやモンスターと同じく気配が希薄で、近付くまでその存在を知覚する事はできなかった。マップで先に情報を得られていなければ、俺もやばかったかもしれないレベルだ。
そんな空間にあの煙は入って行ったわけだが、絶対に追いかけたくはないな。
「ほんと、このダンジョンはやりにくいな……」
そうぼやいて彼女達が頷いていると、空間の中から敵意のようなものが溢れてくるのを感じた。全員で後ろへと飛ぶと、不可視の空間から体高3メートルを超す巨大な怪物がゆっくりと姿を現した。相変わらずそのボディーは黒い闇に包まれており詳細は見えなかったが、その造形からしてあの虎に関係のあるレアモンスターなのだろう。
相変わらずステータスは見えないが、やるべきことは必要だ。
『GRURURU……』
魔帝の剣を取り出し、構える。
出てきた今がチャンスだ。あまりこいつを暴れさせるのは得策じゃない。
「ハーフブースト、『閃撃・灰燼』!!」
『GRUA!?』
『斬ッ!』
レアⅡは回避行動を取ろうとするが、青く燃える剣閃がその黒い胴体を引き裂き、真っ二つにする。そのまま剣閃は異空間に入り込んでいき、消えた。
中に何があるのか、はたまたなにも存在していないのかはわからんが、『閃撃・灰燼』を飲みこむ空間なんてただ事じゃないだろう。秘密は分からないままだが、触らぬ神になんとやらだ。
【レベルアップ】
【レベルが225から280に上昇しました】
「おっ、おお!?」
「わっ!」
奴が消失すると共にレベルが上がったが、驚くべき変化があった。
まず1つは、煙が完全に消え去りドロップが魔石だけだった事。これはショックな出来事だったが、次に起きた事象の方がインパクトは大きかった。
その事象とは、世界が明るくなった事だ。
「おお~」
「わぁ~」
『とても見やすくなりましたね』
『これでかなり探索も気を抜けるようになったかしら』
『キャンッ!』
今度は誤差の範囲ではなく、一気に暗さが軽減されたと言って良い。数値で言うなら大体……明るさ-60くらいか?
「夜明け前の空が明るみ始める頃を0とするなら、今は月明かりの鬱蒼とした森の中くらいの明るさだな」
「お兄ちゃん、微妙に分かりにくいよ?」
「まあ要するにさっきの5、6倍は遠くが見えるってことだ」
『キャン!』
キュビラに抱えられたコハクも嬉しそうに尻尾を振っている。
「心なしかお前、ちょっとデカくなってないか?」
『クゥ~ン?』
『そうですね、明るくなった時に変化したようです』
ずっとコハクを胸に抱いて持っていたキュビラが気付かない訳ないよな。
「でもまだまだ子犬サイズだな」
例え明るくなることでコハクが大きくなるとしても、このペースでの変化なら最大サイズでもそこまでデカくなることはなさそうだな。
「よしよーし」
『キャン!』
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