ガチャ1169回目:子犬の紹介
謎のワンコの次は、天岩戸の開門。思わず素っ頓狂な声をあげてしまいそうになる。
こっちもまたいつの間に出現したんだ? 世界はまだ真っ暗闇なのに、確かに焚き火の影に揺られて大岩の中心に巨大な洞窟への入り口が出現している。その洞窟には確かにダンジョン特有の下り階段が存在し、『解析の魔眼』がいうには間違いなくそれは第二層に続く階段らしい。
けど、こんな存在がすぐ近くで出現したってのに気付けないほど俺は間抜けじゃない……はずなんだよなぁ。宴会や子犬との戯れに夢中になってて気付けないとか、情けないにも程があるぞ。
『マスター、大丈夫よ。あたし達から見てもこれの出現は一瞬の出来事だったから』
「そうなの?」
『そうですマスター様。だから気を落とさないでくださいっ』
『わっちらもアズに言われて気付いたのじゃ。それくらい何の前触れもなかったのじゃ』
「そうか……。なあアズ、この階段が出現したのはいつ頃だ?」
『それは……カメラの映像を見ればよくわかると思うわ』
あ、そういえばそうだな。
画角的にちょうどいい位置取りだったのは……。
『画角的には皆ベストな位置だったわ。けど、決定的瞬間を見るならタマモが良いわね』
「んじゃ、よろしく」
『すぐ用意するのじゃ!』
タマモはカメラを端末へと繋ぎ、録画データを再生した。そして、その映像がソレを捉えていた。
『クゥン』
腕の中に収まる子犬が俺の隣に出現した瞬間、階段も出現していたという事実を。
「ほぉ」
「やっぱり……」
「ってことは、この子が天照大御神様??」
「確か日本でのオオカミの語源は、大神って説があったよね?」
「でも、この子どうみても子犬だよ?」
「神話の全てを再現まではできなかったのかもしれませんし……」
「う~ん」
「光も戻って来ていませんね」
「世界は闇に呑まれたままですもんね」
「……いや」
この子犬が出て来た瞬間、何かが変わってる気がする。だが、本当に微々たる変化なんだろう。その違和感に誰も気付いている様子がない。
「タマモ、この子が出てくるシーンをもう1回繰り返してくれ」
『はいなのじゃ』
「……もっかい」
『なのじゃー』
あー……。なるほどな。
「理解した。この子はやっぱり天照大御神に関連する何かの可能性が高いな。この子が出現する前と後とで、世界に僅かに明るさが取り戻されてる」
『えっ!?』
こんなんもう誤差の範囲ではあるけど、太陽の光にさらされてる世界の明るさを+100、陽の光を完全に失った闇の世界を-100とした場合、今この世界は-98くらいの暗さをしてる。ほぼ誤差みたいなもんだが……。
「本当だわ、僅かに違う」
『焚き火が近いせいか、気付けませんでした』
「こんな変化にも気づけるとは、流石ですお兄様」
『ショータすごーい!』
『キャン!』
なんだかこのワンコにも褒めてもらったような感じがするな。
「ねえお兄ちゃん、結局その子はそのままで大丈夫なの?」
「大丈夫か大丈夫じゃないかでいえば、大丈夫だろ。少なくとも今はただのか弱い子犬だ」
『キャンキャン!』
頭を撫でてやると嬉しそうに尻尾を振って応えた。やっぱ、ただの子犬にしか見えないよなー。
「ショウタ様。これからどうなさいますか?」
「勿論、このまま降りていくし、この子犬もダンジョン攻略の要になりそうだから連れていく。ただまあ、そんなに大人数は必要ないだろうから、宴会してたいやつはそのまま宴会続けてて良いぞ。真っ暗闇ではあるが、焚火はあるしな」
そう言うと皆が顔を合わせた。そして誰が行って誰が残るかで話し合いをしている間、俺は子犬を連れて子供達のところへと連れていく。
「ショウ君。話は聞いてたわ」
「え? どこから?」
「エスさんが音を飛ばしてくれていたんです。タイミング的に、ショウタさんがワンちゃんの存在に気付いたあたりかと」
「音だけでそんな詳細に場面まで伝わったの……?」
「タマモがそちらで映像を再生した際、無線で映像データをこちらに送信してくれていたのよ」
「はー……」
うちの嫁達は何から何まで手際が良すぎるよ。
「それでショウタ君。その子が天照大御神様?」
「に、関係した何かってとこかな。今はただのか弱いワンコだ」
『キャン!』
「可愛いですわー! 旦那様旦那様、触っても良いですの?」
「良いと思うぞ。な?」
『キャン!』
「良いってー」
アヤネに抱っこさせると、子犬も嬉しそうにじゃれついた。やっぱ、抱かれるなら可愛い子の方がいいってか?
そこに他の嫁達も物怖じせず子犬を撫で回していく。あっちでは触るかどうかで躊躇してたのに、こっちの嫁達は子供を産んでるからか、肝の座り方が段違いだな。
「ま、ショウタ君に懐いてるってのが大前提としてあるけどね」
「神様かもしれないと思うと萎縮しちゃいますけど、そこがやっぱり大きいですよね」
「でも、可愛いは正義ですわ!」
「レベルが上がって以降、普通の動物との接触は諦めていたのですが、こうも普通に接してくれる子はありがたいですね」
「ショウ君。この子飼うのよね?」
「まあその予定だけど」
てか、ここに連れて来たのも飼ってもいいか聞くためでもあったしな。あと子供達に見せようかと思ってたんだが、そっちは今オヤスミ中のようだ。すやすやと眠っている。
「ショウタさんが太陽を壊した時は大喜びだったんですけどね」
「暗くなった事で、夜になったと勘違いしてしまったのかもしれません」
「今はぐっすりですわ~」
「そうか。ところでさっきはミルクを飲ませたんだけど、犬ってそもそも何喰うの?」
「基本的に雑食よ。でも明確に食べちゃダメなものと、個体差で色々とあるのよね~」
「そうですね。それと、子犬の時は大丈夫ですけど、大きくなったらミルクはあげちゃ駄目なんですよ?」
「そ、そうなの?」
『キャン?』
「まあこの子は普通のワンちゃんとは違うから大丈夫だと思うけどね。とりあえず、食べちゃダメな物はリスト化して皆の端末に送っておくから、後で確認しておいて」
「ありがと」
『キュキュ?』
『クゥン?』
海の白犬と陸の白犬が互いの鼻をヒクつかせて嗅ぎ合っている。挨拶なのだろうか。
「甲殻類じゃなければ魚はイケるはずだから、ルミナスと一緒に食事もできると思うわよ~」
『キュ~♪』
『キャン!』
まあ、仲良くできそうならよかった。
問題があるとすれば、ダンジョンを進める過程でこの子犬の姿が今と同じままなのかどうかだが……。どうなるかな~。
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