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レベルガチャ~ハズレステータス『運』が結局一番重要だった件~【コミカライズ第3巻 4/15より好評発売中!】  作者: 皇 雪火
第三十章 束の間の休息

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ガチャ1137回目:攻略前夜

『……』


 新ダンジョンには飛行系のボスが存在している。その言葉を発した後、アズは何か考え込んでいた。


「どうした?」

『あ、ううん。この言葉もノイズになるかなって思ってたんだけど、思いの外綺麗に通ったなって』

「まあ向こうの世界の情報やダンジョンの根幹には触れてないんだし、防がれることはないんじゃないかな」

『そっか。そうよね』


 発言前に覚悟を決めたように見えたのは、ノイズによって阻害される可能性を考えたためだったか。……ん? 待てよ?


「アズ、もしかしてあのノイズって、気分を害されるってレベルの阻害じゃなくて、実際にダメージが発生してる?」

『……ええ、あるわよ』


 そう言ったアズは、またしても驚いた顔をしていた。今のでもノイズになると思ってたのか。

 なら、今までアズが色々と黙って来てくれたのは、俺のネタバレ回避の意味合いもあるけど、ダメージを極力受けないようにするための自衛でもあったんだな。時折ベリアルが自爆してるけど、その時は大抵苦虫噛み潰したような顔をしてるし……。魔王が嫌がる痛みって、どんだけだよ。


「そんなにひどい痛みなのか?」

『そんな顔しないでマスター。公開しようとした情報セキュリティレベルに応じてダメージも増減するから、今となっては苦痛に感じるレベルの痛みはほとんどないの。それもこれも、マスターのレベルが上がったことで大抵は許されたり、発生してもチクッとした痛みで済んでるわ』

「そうなのか? あまりにひどいようなら聞かないようにするが……」

『問題ないわ。ようは、喋りすぎなきゃいいのよ』

『そうなのじゃ。御主人はあまり気にしなくて良いのじゃ~。それに、ノイズが走るタイミングをわっちはずっと観察しておったが、マスターが聞いてもいない事を喋り出した瞬間に起きていることが多いのじゃ~』

『むっ……』

『うっ、そうかも……』


 そういや、ノイズが走るのは喋りすぎた時に多い感じがするな。もしくは、最初の頃に核心に近い何かを聞いた時か。


『流石お姫様です♡』

『くふ♪』


 タマモもよく見てるな~。

 俺も褒めておくか。なでなで。


『くふふ~♪』

「んじゃ話は戻してっと。とりあえず俺が最初に挑むのは、この最初に見つけたダンジョンにする。見た感じこのダンジョンは、今のところ一直線に地球をぐるっと回っている訳じゃなくて。出現した場所を中心にフラフラと動いているみたいだから、この海域にいる間に叩いておきたい」


 この動きは今後もずっと続くかは不明だし、いきなり動き出す可能性だって考えられる。今ならまだ、『楔システム』の結界で繋げられる位置だからこそ、攻略できるうちに繋ぎ止めておきたいところだ。

 問題は、『楔システム』で縫い止めた場合大人しく動きを止めてくれるかどうかなのだが……。そこはまあ、攻略してみない事には分かんないよな。


「そう。ショウ君はここを攻略するのね」

「ふーん? なるほどねー?」

「え? 何?」


 めっちゃ意味ありげな目で見られるんだけど……。


「この……虹色の反応があるダンジョンにね?」

「虹色って確か、異世界の住人がいる事確定してるところですよね」

「また増えるんだ?」

『顕現してすぐに支配下に置かれる可哀想な子はどこの誰なのかしら?』

『知っている方だと面白いですね』

『わっちらにいじり倒される運命なのじゃ~』

「……あっ」


 そうか、そういや空中ダンジョンの現在位置でしか攻略する順番を考えてなかったけど、よく見れば虹色だけじゃなくて、このダンジョン()()()反応を示しているな。

 全然頭になかった。


「あー実はその……」

「お兄ちゃん、気付いてませんでしたって顔してるけど、無意識に選んでたんじゃないのー?」

「兄上、否定はできませんよね?」

「お兄さんのすけべー」

「まあお兄様ですし」

「増やされるんですよね? 分かってます」

「どうせ女の子でしょ☆」


 何も言い返せない。


「……あ、アズ。このダンジョンにいそうな異世界の住人の男女比率とか、分かるか?」

『ごめーん。あまりにも後続すぎて、どの勢力がくるか分かんないわ♪』

「そ、そうか……」


 ベリアルはどうせ知らないだろうし。


『何やら失礼な思考がアズ経由で流れて来たぞ』

「ん? じゃあ知ってるのかベリアル」

『他勢力の事など知らぬ!』


 だと思ったよ。


『やはりですか……』

『威張って言う事じゃないでしょ』

『お父さま、少し静かにしてください』

『情けないのじゃ』

『ぐぅぅ……』


 ついでにペット組からボコボコにされていた。まあ、これに関しては可哀想でもなんでもないが。


「それでサクヤさん、空中ダンジョンの具体的な大きさや、高度とかは分かりました?」

「ええ。ダンジョンによって差異はあるみたいだけど、まず大きさは中央の岩塊が直径500メートルほどで、周囲に浮かんでいるのは直径100から200メートルほどね」

「結構デカいな……」


 攻略したら浮力を失って落下したりとかしないよな??


「そして高度だけど、こっちは10000メートルから15000メートルといったところね」

「……それって、どのくらいなんです?」

「飛行機と同じくらいよ」

「あ~」


 それは分かりやすいな。そして寒そうだ。


「着陸できる場所があるなら輸送機での移動もできそうだけど……降りれるかどうかは実際に見てみないと判断つかないよなぁ」


 となれば、できる事は2つしかないが……ほぼ一択だな。


「以前のスタンピードみたく輸送機で乗り込む選択肢もあるが、向こうの岩塊が見た目通りとは限らないし、防衛機能とか持ってたらシャレにならない。安全のためにも、最後はエスに運んでもらうのが無難だな」

「はは、そうなるね。けど、僕は良いとして、一緒に運べるのは1人が限界だ。最初は兄さんだけになると思うよ? まあ、僕が輸送機を往復すれば良いんだろうけど」

「それなら問題ないさ。まずはタマモに『アトラスの縮図』を取得させる。それから子狐あたりに変身させてから同行させて、向こうのダンジョン内からワープさせて往復させれば無事解決だ」

「なるほど。流石兄さん」

「タマモも、できるな?」

『はいなのじゃ!』


 よし、決まったからには早速行動に移すとするか。まあ、今日は夜も更けて来たし、攻略開始は明日からになると思うけど。

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