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レベルガチャ~ハズレステータス『運』が結局一番重要だった件~【コミカライズ第3巻 4/15より好評発売中!】  作者: 皇 雪火
第三十章 束の間の休息

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ガチャ1136回目:飛行する岩塊

 新ダンジョンは空に浮かんでいる。

 その情報に俺は思わず立ち上がってしまった。実際に浮島の階層を経験してはいたが、本当にダンジョンそのものが空に浮かんでくるとは想定外だった。

 

「……となるとスタンピードが起きた時どうなるんだろうか? 浮いているダンジョンの規模感次第だが、浮島みたいになってるなら無害なことこの上ないが、それでも溢れて落ちてくるとなると話は別だよな。下が海ならまだしも陸地が広がっている場合、モンスターが降ってくる事を考えると、高度にもよるだろうが基本的に軽い連中ですら人が巻き込まれれば即死だろうし、重い連中なんて降って来た日にゃ、建物なんて余裕で倒壊させるだろうな。しかもそれは飛べないモンスターのみで構成されてた場合であって、飛べる連中がいたら広範囲で散らばるだろうし、収束も困難を極めそ――ん?」


 物思いにふけっていたが、皆の視線が気になったので思考をストップさせた。


「どうしたの?」

「ショウタ君、全部口に出てたよ?」

「……マジで?」

「しかもすっごい笑顔でしたよ」

「喋ってる内容と表情がまるで一致しない状態でしたね」

「ワクワクが限界突破してましたわ~」

「お兄ちゃん、楽しみなのはわかったけど、外ではやめてね? 今まで以上に変な人になっちゃうから」

「そんなに……?」


 楽しみだからって思考駄々洩れとは恥ずかしい。

 そもそも、皆の前だと言葉にしようとしまいと変わらず伝わるから、深くは考えてなかったけど……たぶん、普通にテンション上がりすぎて口に出ちゃってたんだろうな。


「けど、ショウ君の懸念は尤もなのよね。このタイプのダンジョンが今後も増加していくのなら本当に厄介なんだけれど……まず注視すべきは今回出現したダンジョンよね」

「そうなるわね。サクヤが調べている間にこっちも『ワールドマップ』で確認してたんだけど・同じように動くダンジョンは全部で5つあったわ」

「やっぱりそうなのね。実はアメリカだけじゃなくて、ロシアにドイツ、インドにも情報を提供してもらったの。その結果、5つとも全て空に浮かんでいるダンジョンであることが判明したわ」


 そう言ってサクヤさんが、テーブルの上に5枚の写真を並べた。

 それはまるで岩塊のような複数の物体が、円形だったり直線上だったりで、奇妙に連なっているという不思議な写真であった。

 これは……宇宙からみたダンジョンの画像か?


「そうよ。宇宙から見下ろした、動くダンジョンの写真になるわ。どれも似たような……いえ、同じように見えるけど、昨日まで存在していなかった物体だもの。衛星もいち早く検知してくれたみたいね」

「おおー」

「今までのダンジョンではあまり役に立たなかった気象衛星だけど、ここに来て本領を発揮できたのは皮肉かしらね」

「ふふ、そうですね。新ダンジョン発見のためにと、昔は気象衛星を増やそうとする動きが各国にありましたから。結局、現存する気象衛星ですら地上のダンジョンを全くと言って良いほど見つけられなかったので、誰もが諦める事になりましたけど」


 ふむふむ。

 地上や水中に発生したダンジョンの情報は、気象衛星の力を借りても大した成果は得られなかったんだろうな。上から見ただけじゃ、洞窟ができたなんて言われても、ほとんど分からないレベルだろうし。

 ミクロレベルの間違い探しだ。そんなの、分かるはずもないし、そこに労力を割くくらいなら足で探した方が早い。


「だけど今回は、『ショウ君が空中に存在するダンジョンを見つけた』。その事実だけで、各国は驚くほど協力的に動いてくれたわ。よっぽど、貴方に恩を感じているのか、それとも敵に回したくないのか。……ふふ、どちらでしょうね」

「まあ、恩を感じてくれてるなら嬉しいですけどね。ところで、さっき上がった国名に、俺と関係ないところがありましたけど、あれって……」

「インドの事ね。あそこは世界中が国交断絶の風潮が流行った後も、こっそりと仲良くさせて貰ってる数少ない友好国よ。あの国も、広い国土に散らばるようにダンジョンが存在しているみたいだから、その内助けてあげて欲しいわ」

「そういうことなら喜んで。まあ、直近は無理でしょうけど」


 空中ダンジョンは行くことが確定しているからな。

 それはともかくとしてだ。さっきから……異世界組が一言も発してないな。多分何かしら知ってるので口だけでなく目も閉じてる組と、全く知らないから余計な事を言わないよう黙っている2組に分かれるんだろうが……。けど、雰囲気的にも『直感』的にも、圧倒的に前者が多そうなんだよな。

 ちなみに後者はイクサバとリリスとベリアル組だ。リリスはアズに倣って目を閉じてるが尻尾はソワソワしており、イクサバはお祝いパーティーの後という事もあってか、例の変声機付きの面頬を装着しているので、目が開いてるのかすら分からん。ベリアル達はどうでもいいかな。


「……」

『……!』

『……!?』

『……ッ!』


 アズ、タマモ、キュビラと順番に凝視すれば、全員視線には敏感なようで、三者三様に目を開けてはそっぽを向いたり、慌ててり、思いっきり目を閉じたりと様々だった。絶対皆ネタバレ回避のために目線を合わせないようにしてくれてるんだろうなぁ。俺としてはその反応だけで満足したというか、地球の危機になる可能性があるのに聞かないでおくというのはちょっとできそうにない。

 という訳で……。


「アズ」

『な、なあに?』

「最悪、5つのダンジョンのスタンピード処理に間に合わなかったとき、どうなると思うかだけ言ってくれるか」

『えっと……』


 少し目が泳いだが、すぐに覚悟を決めたように深呼吸をした。


『間違いなく1つでもスタンピードを許せば、この星の生命は命の危機に晒されるはずよ。だって、どのダンジョンにも()()()()()()()()()()()がいる可能性が高いもの』

「そうか」


 飛べるタイプのボスか。そりゃあ……厄介なんてもんじゃねえな。

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