ガチャ1131回目:サプライズイベント
「だぅー」
「あー」
「うー」
「ニィ……」
「よしよーし」
『ゴーゴゴ』
『ポー?』
『プルーン』
『キュイキュイ』
『♪♪』
『キュキュー』
『キュキュ』
子供達をあやしつつ、エンキ達やペット組に囲まれながらゆったりとした時間を過ごす。俺は、久々に平穏な時間を過ごしていた。
ダンジョンが終われば基本的にどこか旅行に行ったり結婚式挙げたりと、割とイベントが目白押しだったが、今回は生まれたばかりの子供がいるため旅行はなし。皆で家やその周辺でゴロゴロ休暇を楽しんでいた。
まあ、俺が家で何日も平穏な日々を送っているのは、子供達と一緒にいたいという動機もあったが、それ以上にサクヤさんからお願いされたんだよなー。
「ショウ君。しばらくお家にいて欲しいの」
そう上目遣いに言われては断れるはずがない。……一応誤解のないように訂正するとするならば、サクヤさんのお願いだから聞いたわけではない。基本的に普段は誰もそんなお願いをしてこないだけで、嫁からのお願いなら誰でも2つ返事で了承はする。ただまあ、そんな風に考えていても、サクヤさんが一番効果的であることは皆も理解してるからこそ、彼女が率先して言ってきたんだろうな。
……だが、そんなお願いをされてかれこれ1週間近く経過したわけだが、今日はどういう事か、朝食以降嫁達の姿を誰一人として見てないんだよな。というか、朝食からずっと子供部屋に入り浸って、この子達と一緒に居る訳だが……はて。誰も来ないな?
家の中からは微かに気配を感じる以上誰かは家にいるんだろうが、不思議な事にいつも以上に気配を感じ取りづらいんだよな。何かが起きているのは間違いないが、嫌な予感がしない以上は何も問題は無いのだろう。逆らったりせず、堂々とここで待っているしかないな。
「なあ、お前達は何か聞いてるか?」
『ゴ。ゴゴ』
『ポーポポ』
内緒らしい。
『キュー??』
『キュキュ』
『キュイキュイ!』
『キュー……』
そして案の定、ルミナスは知らされていなかったらしく、他の面々が知ってたことに落ち込んでいた。
「ルミナスは素直だからなー。ま、俺と一緒に何があるのか楽しみに待とうぜ」
『キュ~♪』
そうして子供達と遊び続けていると、遊び疲れたのか子供たちはすやすやと寝息を立て始めた。その様子を皆で眺めていること十数分、扉がノックされる。
この気配は、薄っすらとしてるが覚えがある。これは――。
「エスか?」
「お待たせ兄さん。準備できたから居間に行こう」
「準備って、なんのだ??」
「はは、兄さんは本当に……いや、ネタバラシはなしさ。さあ行こう」
『ゴーゴゴ』
『♪♪』
エンキとセレンが子供達を持つというので手渡し、そのままエスの後を追う。皆もゆっくりと付いて来るらしいので安心して部屋を出る。
そのタイミングで初めて、俺は家の中に無数の気配がある事に気が付いた。先ほどまでは薄っすらとしか感じなかったのに、こんなに人数がいたのか!?
この数、明らかに50人以上の気配がするぞ!? こんな気配に気付けなかったのは、恐らくは魔導具の類だろうが……。あ、扉の影にあった。
名称:気配隔絶の魔導具
品格:≪伝説≫レジェンダリー
種別:魔導具
説明:ダンジョン技術を用いてタマモが開発した魔導具。気配を隠蔽し、世界から隔絶させる効果を持つ。結界の向きを内と外の2種類に変更が可能で、結界内の気配を隠すことも、結界外の気配を感知できなくすることも可能。スイッチによるON/OFF機能付き。充電には中魔石を使用する。
結界の向き:外
隔絶率:98%
製作者:タマモ
あー、完全にタマモオリジナルの魔導具か。いつから作ってたのかは知らないが、用途的にこの日のための代物だよな?
あとで頑張ったご褒美に褒めてあげよう。
でだ、こんな凄い物を使ってまで何を用意していたかは……行ってみればわかるか。
「兄さん、念のためだ。目を閉じながら来てくれるかい?」
「あいよ」
「手を引こうか?」
「視界が無かろうと階段で転んだりはしないよ」
「それもそうだね」
そうしてエスの後をついて行く。廊下を渡り、階段を降り、リビングの中央へと歩む。
エスが立ち止まった事を感知して俺も足を止めるが、同時に大勢の人間に囲まれてることも知覚できた。
「目を開けて良いよ、兄さん」
「……お?」
『パン!』
『パパパパン!!』
1つの炸裂音を皮切りに、幾つもの音が連なって聞こえた。
ちょっと面食らって困惑したが、すぐに冷静さを取り戻す。どうやら無数のクラッカーから集中砲火を受けたらしい。全身が紙と糸でグチャグチャである。
『お誕生日おめでとー!!!』
「……!?」
え、タンジョウビ? 誰の?
……俺の!?
「あはは! ショウタ君凄い状況!」
アキの笑い声と共に、他の皆からも笑い声が漏れ出た。
「ふふっ、デロデロですわ!」
「新手のモンスターみたいですよ」
「ショウタさん、びっくりしましたか?」
「あ、ああ」
「やっぱりお兄ちゃん、自分の誕生日のことすっかり忘れてたみたいね」
「そこはほら、少し仕方がない部分もあるだろう」
「その声は……父さん?」
よく見えないけど、父さんの気配がする。
「僕だけじゃないよ。皆、ショウタを祝うために来てくれたんだ」
そう言いながら父さんがグチャグチャになった糸を軽く払い落としてくれた。そうして広がった視界には、今まで友誼を交わしてきた人達が映った。
第二チームの親族、関東エリアの支部長達、『一等星』の面々や、宝条院家のパーティで知り合ったSランクやAランクの一部冒険者達、義兄や義姉さん達、沢山の人達が祝いに来てくれていた。
去年はアキに軽く誕生日を祝ってもらいはしたけど、まさか1年でこんなに大人数から祝ってもらえるようになるとは……。ちょっと気恥ずかしいけど、悪い気分じゃないな。
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