色はいらない
いつからこんな風に考えるようになったんだろう。
誰もがわたしを見捨てる気がした。誰もがわたしを嫌う気がした。
そんな風に考えていて、普通に生活できるわけもなく、気づけば人と話せなくなった。目を見れなくなった。
だからいつもどこか遠くを見ながら話した。でも誰も気づかないから、やっぱりわたしはどうでもいい子なんだなって思い知らされる。
友達なんだ、と言って笑ってる人たちを見ると、どうせひとりになるのに何言ってるんだろうって思う。
悲しい考え方だと思うけど、でもね、他の人も大概悲しい考え方だよ。
友達だとか言うけれど、いざとなったら自分をとるんでしょう? 最低だね。
わたしはそうはならない。絶対に。なにがなんでも友達を優先…でも、友達ってだれ? わたしに友達なんているの? いくらわたしが友達だって思ってても、向こうはきっと…。
わたしは、わたしは……。
「わたしは…」
ぐらりと身体が前に倒れる。反射的に隣の柵を掴んだ。
「……」
さっき落ちたのは夢だったのだろうか。まさか、こんなところで寝れるほどわたしはのんきな人間ではない。
「そこで何をしてる」
ハッと後ろを向くと、黄色い麦わらぼうしを被ったいかにも作業員といった風貌のおじさんがこちらに向かってこようとしていた。
このまま捕まると学校や家に連絡される可能性がある。
わたしは素早く立ち上がって走り出した。
「こら、待て」
そんなセリフで止まるばかがいるのなら、お目にかかってみたいものだ。
『まあ、逃げてくれれば面倒ごとには巻き込まれないか』
確かに作業員の声で聞こえた。
でも、まさか。
作業員は口を開いていなかったはず。じゃあ誰が今、話したんだ?
嫌な予感を感じながらも、わたしはただ走り続けた。




