最終話:この力で手にした最高の宝物
『世界のバックヤード』から地上へと戻る「悠久の旅路号」。
その姿は、世界のOSをアップデートした影響で、さらに神々しく、それでいて親しみやすい究極の形態へと進化していた。
「ゼノス様、見えてきました! 私たちの帰る場所、ドーム・シティです!」
ミーシャが身を乗り出して叫ぶ。眼下に広がる地上は、ゼノスが仕掛けた「全自動・世界メンテナンス」のおかげで、かつてないほど鮮やかな緑と澄み切った水に満ち溢れていた。
「よし、せっかくの帰還だ。みんなが驚くような、最高の『お土産』を持って降りよう」
俺は「神の作業机」の引き出しで見つけた「全自動・紙吹雪生成器」、ステラが未開の大地で集めた「虹色の光の破片」、そしてウルが道中で蓄えた
「極上のモフモフ・マナ」を一つに合わせた。
「トントン、と……」
今回の槌音は、ファンファーレのように高らかに、世界中に響き渡った。
【スキル:祝祭演出・概念凱旋発動】
【神話級アイテム:『全自動・次元移動式パレードカー「絆の凱旋号」』】
旅路号がまばゆい光に包まれ、巨大な動くお城のようなパレードカーへと変形した。
その車体からは、空中に「全自動・ホログラム映像」が投影され、一行がこれまでの旅で出会った仲間たちや、修復してきた星の記憶がダイナミックに映し出される。
「わあぁっ! パパ、みんながいるよ! 叔父ちゃまたちも!」
ステラが窓から身を乗り出すと、地上からは数え切れないほどの人々と魔族たちが、空を埋め尽くさんばかりの歓声で俺たちを迎えていた。
ドーム・シティの広場。
そこには四魔王全員と、教皇庁の面々、そしてアステリオスが並んで待っていた。
「ゼノス殿ー! おかえりなさい! 貴殿が世界を直した瞬間、我が筋肉が『これからは平和のために使うべし』と囁いたぞ!」(南の魔王レオン)
「うむ。我が北の大地も、今や全自動でココアが湧き出る温泉郷となった。すべてはゼノス殿、貴殿の功績だ!」(北のガストフ)
パレードカーがゆっくりと着地し、タラップが降りる。
真っ先に飛び出してきたのは、ステラと、中型ポメサイズに安定したウルだった。
「おじちゃまたち、ただいま!」
『――わん!(我の毛並み、さらに進化して戻ったぞ!)』
魔王たちは、自分たちより遥かに巨大な「星の魔力」を秘めたステラに圧倒されつつも、その愛くるしさに一瞬で陥落。膝をついて「ステラ姫、おかえりなさいませ!」と平伏した。
「ゼノス様……本当に、長い旅でしたね」
ミーシャが俺の隣に立ち、繋いだ手にそっと力を込める。
「ああ。でも、不便を解決するために歩き回った結果、世界中に『家族』が増えた。これ以上の道具(成果)はないね」
俺がそう言うと、アステリオスが焼きたての「全自動・特大おかえりパン」を持って駆け寄ってきた。
「ゼノス様! 今日は宴会です! 世界中の全自動調理器が、勝手に最高のご馳走を作り始めていますから!」
「ははは、それは助かる。俺も今日は、道具を作るのを休んで、一人の『ただの呪具師』として楽しませてもらうよ」
パレードの紙吹雪が舞う中、俺たちの物語は一つの区切りを迎えた。
追放されたあの日には想像もできなかった、魔王も神も人間も、みんなが心から笑い合える世界。
「パパ、あしたは、なにつくる?」
ステラが俺の服の裾を引いて尋ねる。
俺は彼女の頭を優しく撫でて、地平線の向こうを見つめた。
「明日はね……『全自動・みんなの夢を叶える地図』でも作って、またみんなでピクニックに行こうか」
「わぁ…!楽しみ!!」
追放された呪具師が手にしたもの──
それは便利で、時に切なくて、それでも心から笑い合える、かけがえのない宝物たちとの日々だった。
だからこそ、
みんなが願うこの幸せを、俺はずっと守っていきたい。
きっとこのスローライフは、これからも、どこまでも続いていく――。
【完】
ご愛読、本当に本当にありがとうございました!!
byクマさん




