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第34話:南の魔王の「手土産」と、究極の「全自動・生ゴミ処理機」

北の魔王ガストフの軍勢が、庭先で「揚げたての山菜天ぷら」に舌鼓を打っていたその時。突如として南の空が真っ赤に焼けただれ、凄まじい熱波が湖畔の家を襲った。


「ゼノス様、せっかくの冷房が台無しです。……南のトカゲ共が、厚かましくも熱気を撒き散らしながら近づいていますよ」


ミーシャが不快そうに指を鳴らすと、家の周囲に薄い氷の結界が張られ、ジリジリという蒸発音が響く。

現れたのは、灼熱の炎を纏った飛竜の群れ。その先頭には、身長三メートルはあろうかという巨漢――南の魔王『猛炎のレオン』が、マグマのように煮えたぎる大剣を担いで立っていた。


「ガストフの爺さん、随分と骨抜きにされたようだな! 人間の作った菓子や機械に現を抜かすとは、魔王の面汚しよ!」


レオンは高笑いしながら、地面にドスンと「巨大な黒い塊」を投げ置いた。それは、南の火山地帯でしか採れない超高密度の暗黒物質『奈落の黒曜石』だった。


「ゼノスとやら! 貴様の腕を見込んで持ってきてやったぞ。それはあらゆるエネルギーを吸収し、際限なく熱を放出し続ける呪いの石だ。これを制御して見せれば、貴様を我が城の『専属鍛冶師』として召抱えてやろう。……もっとも、並の人間なら触れた瞬間に炭になるがな!」


レオンは挑発的に笑うが、その実、自分の城の最深部で暴走し、処理に困っていた「厄介な廃棄物」を押し付けに来ただけだった。


「……あらゆるエネルギーを吸収して、熱を出す? しかもどれだけ入れても溢れないのか。それは便利だね」


俺はレオンが驚愕するのも構わず、素手でその『奈落の黒曜石』をひょいと持ち上げた。


「なっ!? 貴様、なぜ焼かれない!? それは数万度の熱を宿しているはずだぞ!」

「ああ、ミーシャが横で冷やしてくれてるから大丈夫だよ。……よし、じゃあこれを使って、ずっと欲しかった『あれ』を作ろう」


俺は工房から、使い古した「大きなドラム缶」と、教皇庁から取り寄せた「聖騎士の壊れた盾」を持ってきた。


「トントン、と」


【スキル:物質循環・概念熱変換エターナル・リサイクル発動】

【作成完了:神話級アイテム『全自動・超高速生ゴミ処理機(南の魔王モデル)』】


俺はその『黒曜石』を動力源としてドラム缶の底に埋め込んだ。

そして、天ぷらパーティーで出た大量の野菜のクズや、魔王軍が食べ残した骨をドサドサと投げ入れる。


シュゴォォォォ……!


一瞬で、生ゴミは黒曜石の超高熱によって分子レベルで分解され、そのエネルギーがさらに黒曜石を加熱し、余剰分が「最高級の無臭有機肥料」となって排出口からサラサラと流れ出してきた。


「よし。これであのポメラニアンたちのフンも、全部肥料に変えられるな」

「……ぜ、ゼノス殿……。我が領地の伝説の魔石を……『生ゴミの粉砕機』にしたというのか……?」


レオンは膝から崩れ落ちた。自分たちが数百年かけても制御できず、国一つを焼き尽くしかねなかった破壊のエネルギーが、今や「ポメラニアンの落とし物」を処理するために使われている。


「あ、レオンさん。お礼にこの肥料持っていく? これを火山の麓に撒けば、たぶん美味しいサツマイモが育つよ。焼き芋にしたら最高だと思うんだ」


俺が笑顔で肥料を差し出すと、レオンはその香ばしい(肥料なのに良い匂いがする)香りに鼻をひくつかせた。


「……サツマイモだと? 焼き芋……。……くっ、いただこう。我が領地は熱すぎて作物が育たんのだ……」


南の最強魔王は、空っぽになった黒曜石の代わりに、肥料が詰まった袋を大事そうに抱えて帰っていった。


「ゼノス様、これで南のトカゲも『農家』に転向ですね。……次は東の魔王が、どんな『便利家電のパーツ』を持ってくるか楽しみです」


ミーシャが楽しげにポメラニアンを撫でる。

俺たちのスローライフは、魔王たちの「破壊の衝動」を「健全な農業とリサイクル」へと変換しながら、さらに平和に、そして豊かになっていく。


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