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第27話:墜落する教会と、究極の「マシュマロ・マット」

「ええい、なぜだ! なぜ落ちる!? 神よ、我らをお見捨てになるのですか!?」


エネルギーを「お茶の湯沸かし」に使い果たされた黄金の神殿船は、もはやただの巨大な金属の塊だった。

エンジンである魔力炉が完全に沈黙し、枢機卿の絶叫を乗せたまま、船はゼノスの拠点に向かって真っ逆さまに墜落を開始した。


「ゼノス様、あれだけ巨大なものが落ちてくると、お庭が少し凹んでしまいますね。掃除の手間が増えるのは嫌なのですが」


ミーシャが紅茶を優雅に飲み干しながら、眉をひそめる。


「大丈夫だよ、ミーシャ。さっき放り投げたマシュマロが、そろそろ『仕事』をする頃だ」


俺が指をパチンと鳴らす。


その瞬間、空中に放り投げられた一粒のマシュマロが、墜落する神殿船に接触した。


【スキル:物質膨張・衝撃反転マシュマロ・リアクター発動】


ボヨヨォォォォォンッ!!


爆発音ではない。

間が抜けた、しかし凄まじい反発音が響き渡った。

一粒のマシュマロは、神殿船の重力エネルギーを吸収して急膨張し、船全体を包み込む「巨大な白くてふわふわなクッション」へと変貌したのだ。


「な、なんだこれは……!? 壁が、床が……甘くて柔らかい!?」


船内にいた聖騎士たちは、衝撃で死ぬどころか、壁一面に張り付いた「最高級のマシュマロ」に埋もれ、身動きが取れなくなっていた。

そのまま神殿船は、マシュマロの浮力によってゆっくりと、それこそ羽毛が舞い降りるような速度で地上に着陸した。


「……よし。着陸成功だ。あ、そのマシュマロ、食べても美味しいし、一週間は空腹を感じなくなる呪い(バフ)付きだよ」


俺がテラスから声をかけると、船のハッチから這い出してきた枢機卿が、全身に白いネバネバをつけた無様な姿で現れた。


「ひ、異端……異端者がぁ……! 我らが誇る神殿船を、菓子パンの材料に……ぐ、ぎぎぎ……!」


あまりの屈辱に泡を吹いて倒れる枢機卿。

それを見た避難民たちは、教会の威厳など微塵も感じることなく、むしろ「あ、あのマシュマロ美味しそうだな」と、船の周りに集まり始めた。


「ねえ、お兄ちゃん! このおじいちゃんについてる白いやつ、食べてもいいの?」

「いいよ。でも、枢機卿さんの顔についてるのは、ちょっと汚いから別のところを剥ぎ取りな」


俺の言葉を聞き、聖騎士たちは戦意を完全に喪失した。

自分たちが命を懸けて守ってきた神殿が、今や「近所の子供たちのおやつ会場」と化しているのだから。


「ゼノス様……。あの枢機卿、そのまま放置しておくと腐って肥料にすらなりません。いっそのこと、以前話した『全自動・肩揉み機』のおもりとして再利用してはいかがですか?」


ミーシャが提案する。


「いいね、ミーシャ。枢機卿を『動く錘』にすれば、ちょうどいい不規則な振動が生まれて、肩凝りに効きそうだ」


【作成完了:希少級アイテム『枢機卿おもり付き全自動・肩揉み機』】


こうして、大陸最強の宗教組織の特使は、物理的に「ゼノスの肩を揉むための道具」へと成り下がった。

教会の「神の威光」は地に堕ち、代わりにゼノスの拠点の「利便性」は、また一歩、神の領域へと近づいたのである。


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