禍福は糾える縄の如し
「風呂空いたわよー」
「今入るって!」
ゲームの最中に横槍が入ると気分が悪い。
もちろん致し方ない事で、この後に入る家族を待たせる事になるから早々にゲームは切り上げて風呂場へ向かう。
(タオルと……下着もある)
冬の時期は風呂に浸かるまでが寒い。
衣服を脱いでからが勝負だ。
ガラッ。
風呂場の扉の開閉は最小限。
シャワーで初めに軽く体を流して風呂にイン!
ゴリッ。
「ゔぁっ……くっ…」
有り得ない音。激痛。
「小指がァぁぁ」
ダメだって…この寒い時期に小指はダメだって。
取れちゃうよ…俺の小指。
半ば倒れるようにお湯に浸かると、未だ感覚が戻ってこない小指を握る。
何故だ…小指よ…。
なぜお前のような弱点がつま先の最も外側に位置しているのだ…。
苦悶に耐え、風呂の暖かみを全身に感じた後、頭と体を丁寧に洗って風呂から出る。
風呂上がりはやっぱりアイス。
寒さとか知らん。アイスは一年中食べられる代物だ。
袋から取り出して手に持つと、自室へと向かう。
(この後は何しようか……)
「うわっ」
ボーッとして階段を登っていた末路。
手にアイスを持っていた俺は、最後の一段に思い切り躓いた。左手で何とか手すりを掴むことに成功し、顔面から床にダイブは免れた。
「あっ…アイスどこ行った?」
しかし右手に持ったアイスは何処へ。
探してみると、柵を超えたアイスが階段の下に。
「汚ねぇ…」
それも隅の誇りを綺麗に拭き取ったような汚れとともに。残念だが食べられたものではない。
捨てるしか無かった。ごめんよ。
(今日はついてないなぁ…)
妙に不幸が続く。不注意とも言うが。
『新ガチャ引いた?』
「やっべ…今日新ガチャの日か!ログインしなくちゃ」
友人からのラインで気がついた。
今日は新ガチャ、しかも待ちに待った新キャラ実装の日。時間は19時から。今は…19時一分前。
ログイン時間を入れればちょうどだ。
「当てるしかねぇ…」
気合十分。いざ参る!
俺はログインした画面から速攻でガチャ画面をタップ。石は前回のガチャの残りが大量に残っている。
「まぁ初めの十連ででるわけな………えっ?」
ちょ、ちょっと待て…初っ端から星5確定演出?!
まて…これは…
「き、きちゃぁーーーー!!!」
まさかの一発新キャラ当て!
神ガチャか?!
「ふぅ…今回はこの石全部引くつもりだったし…」
一度深呼吸。さすがに驚いたけど。
「20連目行くぜ!」
ポチ。
一瞬のロードの後にガチャ画面が。
「へっ?!ちょっと待てよ……二連続星5確定?!」
まさかの2連続。
普通は100連天井して一体ゲットするような確率なのに?
「うぉぉぉぉしかも今欲しいキャラ来たんだけど!」
ピックアップじゃない15%程度のキャラを当てていくっ!
「や、やばい…俺の心臓が持たないんだけど…」
ハァハァと過呼吸になる俺。
さすがに奇跡すぎる。
一度落ち着……けるわけねぇ!
とりあえずスクショしとこ。
「はぁ…とりま次行こ」
さすがに三連続は無いか。
でも結構星4出た。限界突破させたいし、星4目当てで引いちゃうか!
「さーて40連目。心臓も落ち着いてきたし」
ポチ。
お目当てのキャラは引けて大満足。
「は?う、嘘…だろ…」
また確定演出?!
これは夢か…夢なんだな。
「しかもピックアップキャラ来たァーー!!」
夢じゃありませんように。
まさかの一凸確定だと……有り得ん。
40連で3体目……俺は明日死ぬのか?
「スクショ案件やこれは」
もはや心臓の心配をしている場合ではない。
急いで報告だ!
『俺明日死ぬかもしれん笑』
『はぁ?どーなってんのお前のゲーム』
明日死ななくても殺されそうだな…笑。
運がカンストした俺は、その日は急いで育成に全ての時間を注いだ。
今日に限って学校かよ。めんどくさいなぁ。
昨日はギリギリまで育成してて寝不足なんだよ。
眠い目を擦り制服に着替えて外に出る。
昨日と違い暖かくなっている。
「ちょっと時間ギリギリだし急ご」
自転車にまたがった俺は少し急ぎめにチャリを走らせる。
(さすがに信号全部引っかかる事は無いだろ)
あったら遅刻確定なんだけど。
もちろんその日はしっかり遅刻した。
運悪ぃなぁー今日も。
禍福は糾える縄の如し : 禍が福になったり、福が禍の元になったりして、この世の幸不幸は繰り返す。幸と不幸は縄をより合わせたように表裏をなすものだ。
今回の話、実は半分実話でございました。
ガチャの件は事実でして……さすがに心臓の鼓動がやばい事になってました笑
どうも、ゲームよって運がいいものと悪いものの差が激しい、深夜翔です。
ありますよね。特定のゲームだけやたら運が良いやつ。次いでにめっちゃガチャ運が神な友人とかもいたりします。あるあるではないでしょうか?
まぁガチャは闇。これはどんな状況でも覆らないのです。課金は程々にしておきましょうね。
ではまた明日……さらば!




