臥薪嘗胆
復讐は虚しいだけだと、アイツと同じ人間に成り下がると、復讐になんの意味があるのかと、当事者で無い人間は皆口を揃えてそんな事を言う。
だが実際に虐められて、人生を狂わされた本人に向かってそれを言うことはあまりに無責任であり、それもまた虐めに当たるのでは無いか。周囲の人間は見て見ぬふりをしておきながら、なぜ辞めさせなかったのかと言及されるのを防ぐため、当事者に我慢を強要する。
『生徒の自殺について、担任は「いじめは無かった」と話しており、事の発端について調べている……』
目の前のテレビからは、朝から気分を下げるニュースをこれでもかと流す。国民の情報共有だ、発言の自由だと言って、子どもの自殺について流す事になんの意味がある。
誰も幸せにならない情報に価値があるのか。
そこまで考えイライラしてきたからテレビの電源を切った。
「行ってきます」
そして俺は今日も行きたくもない学校に行く。
行きたくない理由はこれまでの話で何となく察して欲しい。
学校に着くと、既にほとんどの人が教室に揃っていた。特に挨拶することも無く自分の席まで来るも、俺の席は無かった。椅子が。
どうせあいつらは先生が来るまで返しに来ないつもりだろう。
俺は半ば逃げ出すようにして、経った今入って来た教室を抜け出す。荷物を持っていくのは、教室になど置いておけるわけが無いからだ。
荷物を抱えて昨今では珍しく空いている屋上へと踏み入れる。ここは人が来ない穴場。謎に5階まであるこの校舎の屋上に用もなく来る物好きはいない。
「静かでいいや」
俺へのイジメが始まったのは中学に入ってから。
それまで関わっていた友人と呼べた奴らも次第に離れていき、今では一人。
中学3年とか言う受験シーズンだと言うのにめんどくさい奴らだ。
どうせ出来もしない勉強の鬱憤を俺にぶつけているだけだ。馬鹿共の相手をしているほどこっちは暇じゃない。
それにしては憎んでそうだって?
当たり前だ。俺はあいつら全員を許さないし、誰がなんと言おうと復讐する。
なんて言ったってあいつらは人の人生を踏みにじったんだから。人生一つを壊したんだから、それ相応の対価が必要だろう。
俺の?違う。
言い忘れていたけど、中学に入ったばかりの頃、いじめられていた俺にも変わらず優しくしてくれた友人が一人だけいた。
まぁいじめられていた俺と関わっている人の運命なんて簡単に想像が着くだろ。
気がついたら学校に来なくなっていた。不登校ってやつ。明るくて、良い奴だったのに。
だから復讐する。誰も望まなくとも、もう決めた。
キーン コーン カーン コーン。
「チャイム鳴ったか」
なんで俺は我慢してんのかって疑問か?
突然だけど、俺は勉強できるタイプの人間だ。
学年順位もトップ3には入るくらいの。
毎日必死に勉強して、先生にはいい顔して、いじめに耐えて。
今もこの辺では一番頭のいい高校を目指して勉強してる。もう就職先も大手企業にだいたい決めてるから、ここで止まる訳にはいかない。
それで見返してやるんだよ。お前らが虐めてた俺は、お前らよりも上なんだって。
だから今は耐える時。
今必要なのは友達じゃなくて成績と点数。
同情なんていらないし、俺が復讐にこれだけで終わると思ってもらっちゃ困る。
ピッ。
俺はポケットに入れた小型カメラとボイスレコーダーの電源を押す。
社長にでもなってさ、同窓会とかに行った時、あいつらの前でこの録音流したらどうなると思う?
最高の復讐だろ?
だからここでは止まらない。
最高の幕引きを迎えるまでは。
……その時には、友人も来てくれるといいな。
臥薪嘗胆 : 復讐を成功するために苦労に耐えること。目的を成し遂げるために、艱難辛苦をすること。
小説を書く時って、やる気もそうですが書いている場面も結構大事だと思うのです。
普段は一日1000文字程度進めばいい方なのですが、好きな場面ややる気のある時は一日5000文字を超えることもあるんです。
嘘じゃ無いですからね?
投稿頻度からじゃ想像もつかないとは思いますけど。
どうも、つまりモチベの上がらない日は一文字も書いていない事がバレた、深夜翔です。
安心してください、最低限この1日1投稿だけは守っていますので!
……いえ、しっかり同時進行で頑張っていますです。
そ、それではまた明日……さらば!




