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第13話:2000万ptの贅沢! 『浄化の魔泉(※ユニットバス)』と、沸き立つ毒薬(※入浴剤)

「うう……体が、岩のように重い……」

「全身の筋肉が悲鳴を上げている……エナドリの反動、恐るべし……」

「アルト様……私、魔物の返り血でドロドロですぅ……」


エナジードリンクの強烈なクラッシュから半日後。

高級羽毛布団から這い出してきた三人は、完全にゾンビのような状態になっていた。

階層主を瞬殺した代償の極度の筋肉痛と、返り血や汗による不快感で、彼らのテンションは底辺まで落ち込んでいた。


「まあ、そうなるよな。……よし、ちょっと外に出ててくれ。建物を『拡張』するから」


俺は2400万ptという圧倒的な残高に物を言わせ、ウィンドウを操作した。

以前プレハブ小屋を買った『住宅・エクステリア』カテゴリーから、ずっと狙っていた高額商品をポチる。


【高級ユニットバス増築セット(全自動給湯システム・魔力不要) 特価:2,000,000pt】


――ズゴゴゴゴォォォンッ!!


プレハブ小屋の側面に、真っ白な新しい小部屋が物理的にガッチャンコと融合した。


「な、なんだ!? また白亜の城が巨大化したぞ!?」

外で見ていたエレノアたちが驚きの声を上げる中、俺は新設された浴室で『お湯はり』のボタンを押した。

何もない空間から自動的に適温の湯が張られていく、現代日本の英知の結晶だ。


だが、これだけでは終わらない。

ゾンビと化した彼らを癒すため、俺は『日用品』からあるアイテムを取り出した。


【炭酸入浴剤(森の香り・疲労回復) 特価:50pt】


俺は四角い固形の入浴剤を、張られたお湯の中にポンッと投げ入れた。


――シュワワワワワワワワッ!!!


無色透明だったお湯が、入浴剤が溶けると共に激しく泡立ち、鮮やかなエメラルドグリーンに染まっていく。


「なっ……!? ア、アルト、貴様何を投げ入れた!?」

浴室を覗き込んでいたヴィンセントが、コウモリの翼を逆立てて後ずさった。


「清らかな水が、一瞬にして禍々しい緑色の泡立つ沼に変わりましたよ!? まさか、あの恐ろしい階層主の毒腺を煮込んでいるのですか!?」

セシリアも十字を切って震え上がっている。


「いや、ただの入浴剤だけど。めちゃくちゃ疲れが取れるから、順番に入ってきなよ」


「こんな煮えたぎる毒沼に浸かれと言うのか!? いくら主の命令でも、それだけは――」

エレノアが抗議しようとしたが、俺は彼女の背中をポンと押して浴室に放り込み、外から鍵をかけた。


数分後。

浴室の中から、この世のものとは思えない声が響き渡った。


「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…………っ!!!」


「エレノアーーーッ!?」

ヴィンセントとセシリアが青ざめてドアに張り付く。やはり毒沼で溶かされてしまったのか!


「ち、違う……違うのだヴィンセント……!」

ドアの向こうから、とろけきったエレノアの声が聞こえてきた。


「この緑の湯……ただの熱湯ではない! 無数の細やかな泡(※炭酸)が、全身の皮膚から浸透し、エナドリの反動でバキバキになった筋肉を内側から優しく解きほぐしていく……! さらにこの『森の香り』……まるで世界樹の深部に抱かれているかのような安らぎ……っ!」


「な、なんだと!?」


「これは毒沼ではない……失われた神話の時代に存在したという、【生命と浄化の魔泉】だ……! ふぁぁ……極楽、極楽……」


最強の魔女は、完全にただのおっさんと化していた。


その後、ヴィンセントもセシリアも順番に「浄化の魔泉」に浸かり、プレハブ小屋には風呂上がりのホカホカになった三体のスライム(※腑抜けになった最強キャラたち)が出来上がった。


「アルト様……もう、一生ここから離れられません……」

「ああ、魔王軍なんてどうでもよくなった……」


冷えたコーラを飲みながらソファで溶けている彼らを見ながら、俺の異世界コンビニは、もはや「異世界リゾートホテル」になりつつあるのではないかと、密かに危機感を覚えるのだった。

最後までお読みいただき、ありがとうございます!

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