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第12話:エナドリの代償! 覚醒した居候たちが迷宮の『階層主(ボス)』を瞬殺してきた件

エナジードリンクを飲み干し、完全にカフェインでガンギマリになった三人の居候たちは、「ちょっと仕入れに行ってくる!」と叫び、凄まじいスピードでプレハブ小屋から飛び出していった。


それからわずか、十分後のことである。


『ズドォォォォォォォォォォォォンッ!!!!』


迷宮の奥深くから、第十層全体がひっくり返ったかのような、規格外の地響きと爆発音が轟いた。

プレハブ小屋の陳列棚のカップ麺がいくつか落ちるほどの揺れだ。


「おいおい……あいつら、テンション上がりすぎて何やってんだ……?」


俺が落ちた商品を拾い直していると、遠くから土煙を上げて、三つの影が猛スピードで戻ってきた。

セグウェイで爆走するセシリア、コウモリの翼で低空を滑空するヴィンセント、そして黒剣を引きずりながら全力疾走するエレノア。


その三人が、プレハブ小屋の前に『ドゴォォン!』と何か巨大なものを投げ捨てた。


「ふははははっ! アルト、見ろ! この圧倒的な戦果を!!」

エレノアが、異常に充血した目で高笑いする。


「まさか、あの覚醒の秘薬を飲んだだけで、我ら三人の連携がこれほどまでに高まるとはな! 第十層の魔物を文字通り『根絶やし』にしてやったぞ!」

ヴィンセントも、普段のクールな面影はゼロで、肩で風を切っている。


「アルト様! やりました! この神の戦車の突撃と私の聖なる光で、あの忌まわしき『階層主フロアボス』のトドメを刺してやりました!」

セシリアに至っては、修道服がボロボロになりながらも、親指を立てて満面の笑みだ。


俺は、彼らが投げ捨てたものを見て絶句した。


それは、見上げるほど巨大な黒竜の頭部と、バスケットボールほどもある禍々しい深紅の『極大魔石』だった。


「……これ、第十層のボス『深淵の黒竜アビス・ドラゴン』じゃないか……」


普通、国を挙げて騎士団と魔法使いの精鋭部隊を編成し、数日がかりで討伐するようなバケモノだ。それをたった十分で……?

エナジードリンク(とセグウェイ)、恐るべし。


俺は震える手で、その極大魔石をウィンドウに近づけた。


『ピロンッ! 階層主の魔石を吸収しました。20,000,000ptチャージされました』


「に、にせんまん……っ!?」


俺の累計ポイントは、ついに2400万ptを突破した。もうちょっとした国の国家予算レベルではないのか、これ。


「さあアルト! もっとだ! あの覚醒の秘薬をもう一本くれ!!!」


エレノアがプレハブに乗り込もうとした、その時だった。


「ふはははっ……あれ? なんか、急に……視界が……」


エレノアの足が、ピタリと止まった。

彼女だけではない。ヴィンセントも、セシリアも、突然糸が切れたマリオネットのようにグラリと揺れた。


「あ、あれ……? さっきまでの無限の活力が……急激に、泥のような重さに変わって……」

「頭が……割れるように痛いです……それに、とてつもない動悸と悪寒が……っ!」


ドサッ、バタッ。

最強の魔女、吸血鬼、そして聖女の三人が、プレハブ小屋の前で折り重なるように倒れ込んだ。完全に白目を剥き、ピクピクと痙攣している。


「あー……」


俺は額に手を当ててため息をついた。

徹夜明けの社畜なら誰もが知っている、エナジードリンクの恐ろしい副作用。

カフェインと糖分で無理やり前借した元気が切れた後に襲ってくる、地獄のような疲労感——通称『カフェイン・クラッシュ(エナドリの切れ目)』だ。


「……だから言っただろ、反動が怖いって」


階層主を瞬殺するほどの力を引き出したのだ。その反動も、魔王軍幹部が気絶するほど強烈だったらしい。


俺は2400万ptという莫大な財産を眺めながら、ウィンドウの『寝具』カテゴリーから、高級な羽毛布団を三つポチるのだった。

最後までお読みいただき、ありがとうございます!

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