87 朝食はシチューとパンで
時刻は少し遡り、ノアが眠ったあとのこと。
大人組が寝るにはまだ早いので、見張りの順番を確認したり、装備品のチェックをしたり、各々がやるべきことをやりながら時間を潰す。
「ねぇ、ノアのことなんだけど、このままうちのパーティーで世話するので大丈夫?」
「何〜? ジャンは心配なの?」
「心配っていうか、ギフト持ちは確定してるけど、たぶん、祝福持ちでもあるんじゃない?」
「あぁ~、そうかも。誰か確認した?」
「いや、してない。ノアも隠してないし、これといって問題もなかったからわざわざ聞かなかった」
「でも、祝福持ちにしては身体が小さくない?」
「それだけ親が放置したんじゃないか?」
「放置されても、もう少し大きくなると思うんだけど…」
4人がウンウン唸りながら考える。結局、問題は起きてないし、そのうちノアから話してくれるだろうということでまとまった。
ちなみに、ノア自身は気づいていないが、前世の記憶や常識に引っ張られていて、この世界の常識が微妙に抜けている。
前世の感覚では3歳にしては大きいと思っていたが、現地人の彼らからすると違うらしい。
「それでも3歳にしては小さいな」
「だよねー。他の子供はもっとひょろ長いよ」
「頭がいいのは祝福持ちだからだと思うが、それならもっと大きいはずだ」
「祝福持ちについて調べてみる? 小さい原因がわかるかも」
「この国だとそういう情報って少なくないか?」
「祝福持ちを優遇してる国はかなり遠いぞ。この国まで詳しい情報は入ってこないんじゃないか」
再びそれぞれ考え込むがいい案は出なかったので、ギルドに寄った時にギルド長に聞いてみることになった。自分達だけで行動するよりギルド長を巻き込むほうが間違いない。
しばらくはノアがチノイダンジョンに執着しそうだから、帰ったらいろいろ話し合いをする感じになるだろうな。
「問題が起きなきゃそれでいいんじゃない?」
「そうだけど、何かしてあげたほうがいいのかなって思ったんだよ」
「今はまだわからないことが多いから、お互いに信頼関係ができたら聞けばいいんじゃないか?」
「わかった、そうするよ」
あの不思議な子供のことは気になるし、生意気な弟みたいには思っているので、放っておけないなと感じていた。
まあ、なるようになるかと流れにまかせることにした。なんだかんだ楽しんでいるし、上手い飯も食える。あの子供が不自由なく生活できるように手助けするくらい楽なもんだ。
見習い冒険者の面倒をみたこともあるから難しくは考えていなかった。翌朝、めちゃくちゃ腹の減る匂いで起こされるとも知らずに…。
ーーーー
「朝ご飯にしましょうか」
「待ってました!!」
素早く近寄ってきたかと思えばアイテムバッグから器を出して順番に並ぶ。うん、給食の時に見た覚えがあるな。
シチューと薄焼きパンを配ったら皆で食べはじめる。最初はスプーンで恐る恐る口に運んでいたのに、少し味わったあと勢いよく食べだした。
「……うっま。何コレ。うまっ!!」
「えぇ〜、美味しいっ。」
「初めて食べる味だな。何味なのかわからんがとりあえず美味い。」
「……」
無言で貪るミーヤさん以外はステーキの時と同じように感想を言いながら騒がしく食べる。フフン、美味いだろう。
味見した時も思ったけど、今ある食材で作ったにしてはかなりいい出来だと思う。他の調味料があればもっと美味しくなるだろうな。
美味いなぁ〜とのんびり食べていたらおかわりはしてもいいのか確認された。今のペースで食べたらあっという間になくなりそうだ。
とりあえず、自分の分だけ確保したらあとは自由にとってもらうようにした。ケンカしないでわけてほしい。
「片付けをしたら市場に行くか? それとも、ダンジョン行った帰りに寄るか?」
「先にダンジョンがいいです。昨日と同じ階層で食材を集めたいので」
「俺達も昨日と同じやつを集めればいいんだろ?」
「お願いします。集めたら集めた分たくさん食べられるので」
「よし、本気でやるぞ!!」
餌付けの効果は絶大だ。これからは放っといても勝手に集めてくれそうな勢いだな。今日は甜菜をいっぱい集めて、スキルで砂糖作りまで終わらせよう。
昨日の分と合わせたら結構な量になりそうだけど、4人も食べるだろうから多めに用意しないと。
でも、これで甘いパンケーキが食べれるな。バターをたっぷり乗せたパンケーキ、ヨダレ出そう…。
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