81 我慢できずに外で料理
ソワソワしながらダンジョンを出る。早く帰りたい。お肉と砂糖が私を待っている。
自然と早歩きになっているけど、よく見たら4人が私に合わせて歩いているので結構遅い。今だけハクみたいに抱えて運んでくれないかな? ダッシュで帰ってほしいわ。
「そんなに急いでると転ぶぞ」
「ちょこちょこ歩いててカワイー」
「急いで帰るんです!」
「抱っこしてやろうか?」
うっ、運んでほしいとは思ったけど、抱っこって言われると拒否反応が…。ちょっと恥ずかしい。荷物みたいに持ってくれるならいいんだけど。
「大丈夫です…」
「遠慮しなくていいのにー。ノア軽いし、大丈夫だよ」
「またの機会にお願いします」
宿に到着したら急いで部屋に戻る。早くっ、早くっ。頭の中はガーリックステーキのことでいっぱいだ。甘いものは砂糖から作らなきゃいけないから後回し。今はガッツリ肉が食いたい。
クリーンの魔法をかけて全身をキレイにしたら料理開始だ。アイテムボックスの中から食材を取り出す。レッドボアのお肉とニンニク、塩だけだ。ハーブを使ったやつは次にしよう。
ホントはバターを使いたいんだけど、今はないから脂身の部分を使おう。牛乳はあるんだから絶対にバターは作らないと。忘れないようにしよう。
フライパンを火魔法の弱火で温めて脂身を溶かす。ジュワッと焼ける音がして香ばしい匂いが漂ってくる。おもわずゴクッと喉がなる。ヨダレが垂れたかもしれない…。
早く溶けろー、と念じながら待っていると、部屋に4人が戻ってきた。なぜかびっくりした顔をしている。
「もしかして、ここで料理するつもりか? さすがにここでは無理だぞ」
「えっ、ダメなんですか?」
「ダメに決まってるだろ。普通に怒られるわ」
「そ、そんな…。今すぐ食べるつもりだったのに…」
頭の中では、膝から崩れ落ちる私の映像が流れている。実際に崩れ落ちそうだ。
「部屋の中はダメだけど、下の食堂のキッチンなら使わせてもらえるかもな。今は忙しいから、もっと遅い時間になると思うが」
「バレなきゃ大丈夫じゃないですか?」
「匂いでバレるだろ。」
「どこかいい場所ないですか?」
「うーん、あっ、ダンジョン側の門を出た所なら大丈夫だよ」
「門の外?」
「あー、あそこね。確かに大丈夫だ」
「閉門に間に合わない人や、お金がなくて宿に泊まれない人なんかが野営する場所があるんだよ」
「料理だけ作って閉門前に中に入れば大丈夫だと思うぞ」
「今から行ってきます!!」
私の口はもうガーリックステーキになっているんだ、絶対に今日食べる。
出していた荷物を全部アイテムボックスに突っ込み、バタバタと部屋を出る。4人は呆れながらもついて来てくれた。
ハクはミーヤさんに抱っこされている。いつの間に!? とびっくりして見てたら、突然レストマさんに肩車された。
「うわぁ~!! 高いっ!?」
「早く行きたいんでしょ〜。落とさないから、そのまま乗っててね」
怖っ……。えっ、どこ掴めばいいの? 髪の毛か耳あたりかな? 揺れは少ないけど、体感的にはめっちゃ速い。とりあえず、頭を抱えておけば大丈夫だろう。
あっという間に城門につき、外に出る。たしかに、門から見える場所に小さな広場みたいなスペースがある。どうやら誰もいないみたいだ。
「早めに終わらせないと門が閉まるから気をつけろよ。時間になっても終わらなかったら、抱えて帰るからな」
「大丈夫です。最悪、1人で野宿します!!」
「食い意地すごっ。俺達の分もよろしくね」
「まかせてください」
アイテムボックスからさっきしまった荷物を取り出す。外なら薪を使ってもいいだろう。土魔法でかまどの土台を作って、薪を適当に突っ込み火をつける。
「ちょっと待った。火おこしは手伝うから他の準備しろ」
「ミーヤさん、ありがとうございます。んじゃ、薪はここに置いておきますね」
ありがたい。火おこしは苦手だから助かったよ。薪に火をつけるのは魔法でゴリ押しだからな…。
ニンニクの皮むきをしてスライスする。何枚も食べるかもしれないから多めに切っておこう。
火の準備ができたら、さっきの続きだ。フライパンで脂身を溶かす。熱いうちにしまったからすでにジュージューしている。ニンニクのスライスを入れてゆっくり焼く。
「ぐぅぅ〜」
誰の腹の音だろう? いや、私かも…。この匂い、たまらんね。なんで焼いたニンニクの匂いってこんなに美味しそうなんだろう?
「ちょっと、ちょっと、この匂い、ヤバくない!?」
「めっちゃいい匂い〜。宿でやらなくてよかったね」
「騒ぎになるな」
「とりあえず、今後も部屋で料理は禁止だな」
「はーい。ニンニクはもう取り出していいかな?」
カリカリになったニンニクを取り除き、塩を振ったレッドボアのお肉を焼く。ジュワーっといい音が響く。香ばしい匂いが立ちこめ、お肉にはいい焼き色がついてきた。焼き過ぎないように、でも、しっかり火は通さなきゃいけない。
フンスフンスと鼻息が荒くなる。もらった調理器具に小型の鍋があったので、鍋でも脂身を溶かしてガーリックオイルを作る。これですぐに追加分を焼くことができるな。
いい感じで火が通ったら皿に移す。このまま食べたいけど、今は我慢だ。4人の分も焼かなくちゃ。冷めないようにアイテムボックスにしまう。
残りのお肉を手早く焼き人数分用意した。これでやっと食べられる。アイテムボックスからガーリックステーキを取り出す。焼きたて、アツアツだ。湯気まで美味しい…。
「さぁ、食べましょう!!」
「「「「待ってました!!」」」」




