第15話 【双剣決闘】 2
強い人間は存在するだけで弱い人間を傷つけてしまうことがある。
結局、新太はアイリスの言葉に何も返すことはできなかった。
「……っと、はーい! これで治癒はできたよ! それにしても君たち、男二人で女の子達相手に数秒で負けちゃだめだぞ? さすがに情けないよっー?」
萌花は半笑いでからかい、男子生徒はバツの悪そうな顔を浮かべる。
「『達』か……」
「ん? どうしたの騎士さん? 先生何か悪いこと言っちゃった?」
「あ、いえいえ! そんなことより先生、あそこでも生徒が倒れてますよっ!」
「本当だっ! 見に行かなきゃっ!」
急いで駆け寄る背中が忙しそうで、どこか新太は眩しい目でそれを見ていた。
(俺は……なにもしてないんだけどね)
男子二人組は決闘円を後にし、どこかへ行ってしまった。
残されたのはアイリスと新太だけ。
アイリスの表情は先ほどとは打って変わって疲れていた。
「はぁ……初戦勝ててよかった」
「アイリスさんはその、勝ってうれしいの?」
「……おかしな質問。勝ってうれしくない事なんてない」
変なものを見るかのような視線に、さっきみたいな冷たい視線はなく、新太は安心した。
(やっぱり、アイリスさんはアイリスさんだ。自分が強いことや、誰かが弱いことをいつまでもいう女の子じゃない)
「でも、アリス」
まっすぐ、眼光が新太を貫いたーー。
「ど、どうしたの?」
「アリスは、何もしてない」
心臓が、激しく頷く。
図星。
一番突かれたくなかったポイントを、射抜かれた。
「そうだね、でも……」
「模擬戦第二戦目、楽しみにしてる」
それは皮肉か。
それとも、一度自分を倒した『仮双剣』への挑戦か。
どちらにせよ、アイリスの言葉は間違いなく新太に響いていた。




