第4話 【ルームメイト】 3
無論、現時点でアイリスはまさか自分自身の【ルームメイト】が男だなんて思っていないだろう。
「で、話戻すけど。魔法祭、アリスはもうペア決めたの?」
ベッドの上で寝返りを打ちながらアイリスは疑問をぶつけた。
上段ベッドの立てたみしっという嫌な音が下段ベッドの新太に聞こえると同時に、新太は『決めていないよ』、とだけ返答した。
「ふーん、そうなんだ……」
アイリスの言葉に再びの静寂が生まれる。
部屋の中は幾度とないアイリスの寝返り音が残響していた。
(アイリスさん、さっきから落ち着かないな……どうしたんだろう)
寝返りを打っているとは知らずに、上段から聞こえてくる謎の音に新太は不安を覚える。
「ア、アイリスさん……一体何を?」
「決めた!」
「え……」
一番大きな、みしっという音が部屋に響いた。
唐突に終焉を迎えた静寂。
そして、その終焉をもたらしたアイリスが、堂々とその言葉を口にする。
「ウチ、魔法祭でるよ! アリスと!」
そう。
実はアイリスが寝返りを打っていたわけはこのことをずっと考えていたからなのだ。
突如として現れた双剣魔法祭という興味をそそられるモノに手を出すべきか否か。
それを思案した末に導き出された答えがこれなのだ……!
アイリス・ステファニー、こう見えて割と単細胞なのである。




